『マグニフィセント・セブン』イラスト付きレビュー

映画『マグニフィセント・セブン』ヴィンセント・ドノフリオのイラスト(似顔絵)

正義のためにその身を捧げた崇高なる7人の勇者たち。黒人、白人、フランス系、アジア人、メキシコ人、ネイティブ・アメリカン、そしてデブが揃った多国籍軍。「デブ」は人種じゃないだろって?こんなに立派に育った微笑みデブを見てあんたよくそんなことが言えるな!

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作品データ

『マグニフィセント・セブン』
The Magnificent Seven

  • 2016年/アメリカ/133分
  • 監督:アントワーン・フークア
  • 脚本:ニック・ピゾラット/リチャード・ウェンク
  • 撮影:マウロ・フィオーレ
  • 音楽:ジェームズ・ホーナー/サイモン・フラングレン
  • 出演:デンゼル・ワシントン/クリス・プラット/イーサン・ホーク/ヴィンセント・ドノフリオ/イ・ビョンホン/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/マーティン・センスマイヤー/ヘイリー・ベネット/ピーター・サースガード

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

西部開拓時代。悪徳実業家によって乗っ取られようとしている町を救うため、命をかけて戦う7人の男たちの雄姿を描いた西部劇です。監督は『エンド・オブ・ホワイトハウス』や『イコライザー』を手がけた現代の職人B級監督アントワーン・フークア。

なかったことにしよう

黒澤明の傑作時代劇『七人の侍』を西部劇へと翻案した『荒野の七人』のリメイク作ということで、この『マグニフィセント・セブン』はリメイクのリメイクというなんだかもうよくわからない「いったい誰の子供?」状態なのですが、そんだけネタがねーのかハリウッドよ。

とはいえ、『七人の侍』も『荒野の七人』ももう長いこと観ておらず、それなりに面白かったと記憶はしているものの、自分にとって思い入れのある作品かといったらそれほどでもなく、実は今回の再リメイクにはひそかに期待を寄せていた次第。

アントワーン・フークアが監督をしているのだから、「これは愉快痛快血みどろ西部劇になっているのではないか?」とね。お行儀のいい西部劇ではなく、ひたすらバイオレンスで、むせかえるぐらい男臭い、現代版のマカロニウエスタンになっているのではないか?とね。

んでまあさっそく期待に胸と股間を膨らませた結果なのですが、「これはもうなかったことにしよう」というのがボクの正直な感想です。『七人の侍』と『荒野の七人』があればもう十分に事足りておりますので、こんな映画はなかったことにしたほうが世のため人のため。

と思っていたら意外なことに皆さん高評価。「ここは日本人らしく多数派に右に倣えしとくほうが無難かな?」なんてことはこれっぽっちも考えず、ひたすら酷評の嵐でこの感想を埋め尽くす所存。誰がなんと言おうと、自分にとってこれはなかったことにしたい映画なのです。

物語は古典の教科書をなぞっているだけなのでいたって単純。弱者を虐げている悪者どもを正義の味方がやっつける。ただこれだけ。まあ元ネタにはこれだけではない複雑な要素が絡み合っておったのですけど、この再リメイク作はそれらを見事にスポイルしておりました。

要するにですね、複雑な要素をすべて取っ払ってひたすら単純明快にしておるわけです。悪い奴らはとことん悪く、虐げられている弱者はみな善良で、ヒーローたちは知らないあいだに絆を手に入れ、なんの動機ももたずに正義のため自らの命をかけてカッコよく戦い抜く。

物語は単純でも構わない。でもドラマは必要でしょう?グッドナイトとビリーのあいだには何やらドラマめいたものもありますが、それらは単なる表層でしかなく、中身が伴っておらんのですよね。表層だけはそれっぽく取り繕って、中身は観客に補填してもらう。

彼らが戦う理由もまたしかり。そら深読みすらなんぼでも動機は出てきますし、特に動機もなく命をかけるバカな男たちというカッコよさも存在しますが、ボクにはなんとなく選ばれて、なんとなく集まって、なんとなく戦って、なんとなく死んでいったようにしか見えなかった。

だいたい理由もなく命をかける男たちの生きざまを描くのであれば、チザムの最後のアレは最悪の極みでしょう。なんだかんだ言って結局は私怨じゃん!そのために他人を巻き込んで、自分はのうのうと生き残ってやがる!なぜ7人全員玉砕するという大変革をやらなかった!

「それじゃ諸々含めて『ローグ・ワン』だ!」という声もあるでしょうが、今このネタをリメイクするのであればそこまでやるべきだった。全員玉砕して、最後のとどめは胸の谷間オバケが乳で刺す!乳こそ正義!乳こそ愛!乳こそマグニフィセント(崇高)!となるべきだった。

燃えるドラマのないアクションは単なる運動でしかないし、キャラクターの死は単なる犬死でしかない。さらには脚本の大味さだけではなく演出、編集まで大味ときて、ラストのアクションはもう誤魔化しの嵐。ひたすら鈍臭いうえに位置関係がわかりにくいったらありゃしない。

最後に生き残るのが黒人、メキシコ人、ネイティブ・アメリカンというマイノリティだけなのも時代におもねる感じで好きではない。悪魔の銃ことガトリングガンの威力が生ぬるい。悪役の演技が気持ち悪く自分に酔いすぎ。村人との絡みが薄い。etc.

てなわけで、宣言しましたとおり酷評の嵐でこの感想を埋め尽くしてみました。もうひとつ付け加えると、死人に鞭打つようですがジェームズ・ホーナーによる音楽も弱かったですよね。それはエンドロールでかかるエルマー・バーンスタインがすべてを物語っておるかと。

アントワーン・フークア。大味だけどそれに勝る熱さと突破力を誇る職人B級監督としてそれなりに評価していたのですけど、どうにも最近はいけませんね。大味にさらに拍車がかかったうえ、近頃は無駄な冗長さまでチラつかせ出して正直観ていて疲れました。

ぶっちゃけこの程度の内容の映画であれば90分もあれば十分でしょう。2時間強も使うのであればもうちょっと中身も充実させなさいよ。たいした中身もないのに無駄に長い映画というのは疲れるのだよ。だから悪いけど、ボクのなかではこの映画なかったことにさせてもらうぞ!

個人的評価:3/10点

集団特攻映画の感想はこちら

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コメント

  1. マーフィ より:

    先日観てまいりました。私は七人の侍になかなか思いいれがありますので怒りに震えました。スパイクロッド様の酷評で胸のすく思いです。

    これはなかったことにしましょう。

    • スパイクロッド より:

      マーフィさん、コメントありがとうございます!

      マーフィさんも怒りに震えましたか!なんかボクのTwitterのタイムラインでは絶賛評ばかり流れてきていて、「あれ?怒ってるのはボクだけなのか?」と思ったりしていたのですけど、お仲間がいたようで安心しました。こんな内容であればわざわざリメイクなんぞする必要はなかったですもんね。とりあえずふたりだけでもなかったことにしてしまいましょう!

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