『レヴェナント:蘇えりし者』感想とイラスト 森のクマさん(実話バージョン)

映画『レヴェナント:蘇えりし者』のイラスト

ディカプリオ一世一代の鼻水唾液うめき声演技。それを蹴倒すルベツキのドヤ顔超絶技巧。圧倒的なる自然の力。芸術性。結局のところ最後に残るのは、クマさんだよ!クマさん!

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目次

『レヴェナント:蘇えりし者』感想とイラスト 森のクマさん(実話バージョン)

  1. 作品データ
  2. 予告編動画
  3. 解説
  4. あらすじ
  5. 感想と評価/ネタバレ無
  6. ルベツキ、オンステージ
  7. 映像のツマとしての物語
  8. クマ殺しのデカプー(実話)
  9. 目指すべきはモンド映画

作品データ

『レヴェナント:蘇えりし者』
The Revenant

2015年/アメリカ/156分/R15+
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
原作:マイケル・パンク
脚本:マーク・L・スミス/アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:坂本龍一/アルヴァ・ノト
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ/ドーナル・グリーソン/ウィル・ポールター

予告編動画

解説

3年連続アカデミー撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキのドヤ顔テクニックを吐きそうになるほど満喫できるサバイバル・アクション映画です。原作は西部開拓時代に実在したヒュー・グラスの半生を描いた『蘇った亡霊:ある復讐の物語』。

監督は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレンハンドロ・G・イニャリトゥ。2年連続のアカデミー監督賞獲得です。撮影監督は前述したとおり3年連続でオスカーを奪取した『ゼロ・グラビティ』のエマニュエル・ルベツキ。

主演は迫真の鼻水演技で悲願のオスカーを獲得したレオナルド・ディカプリオ。共演は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ、『エクス・マキナ』のドーナル・グリーソン、『メイズ・ランナー』のウィル・ポールターなど。

あらすじ

1823年、西部開拓時代のアメリカ北西部。隊長のアンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)の指揮のもと、狩猟をして毛皮を採取する一団があった。あるとき彼らは毛皮を狙ったネイティブアメリカンたちの襲撃に遭う。

生き残った者は隊長のヘンリーをはじめ、荒くれ者のフィッツジェラルド(トム・ハーディ)、隊で最も若いブリジャー(ウィル・ポールター)、そしてガイド役のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)と息子のホークを含め、わずか数人。

船を捨てて陸路での逃走を試みた彼らだったが、偵察に出ていたグラスが運悪くグリズリーと遭遇。瀕死の重傷を負ってしまう。ヘンリー隊長はフィッツジェラルドとブリジャーに彼の最期を看取ってから帰還するように命じるのだったが……。

感想と評価/ネタバレ無

第88回のアカデミー賞で監督賞・主演男優賞・撮影賞の3冠に輝いた本作。特にレオナルド・ディカプリオは5度目のノミネートにして初の受賞。自信をもって彼のファンではないことを断言できるボクですが、その勇姿はとりあえず拝まねば。

なんたってデカプー以外にも、監督のイニャリトゥは2年連続、撮影監督のツベツキにいたっては3年連続のオスカー受賞ですからね。さぞかし凄い作品なのでしょう。自宅静養をねだる腰をなんとか説得し、勇んで出かけた感想をばさっそく。

ルベツキ、オンステージ

2時間半にも及ぶ上映時間にボクのかわいい腰は悲鳴と非難の声をあげ続けたものの、それ以上の衝撃を我が眼球に刻みつけたのがエマニュエル・ルベツキによる超絶技巧の数々。2時間半にわたるルベツキのドヤ顔オンステージ。

その技巧の詳細を書き連ねることすらアホらしくなってしまうほどに超絶。自然光がどうの、マジックアワーがどうの、長回しがどうの、そんなことをしたり顔でほざく自分がアホらしくなってくる衝撃。書く必要も読む必要もない。観ればわかる。

しかし、しかしだなぁ、そんなドヤ顔超絶技巧自慢がまさか2時間半、延々と続けられるとは夢にも思ってみなかった。こんなに見せつける意味があるのか?いや、凄いのよ。凄いのは百も承知よ。でもこの映画の主役って誰?ルベツキ?って話よ。

はっきり申しましてこれがほとんどネイチャー映画なのよ。しかも雄大で美しくて力強い自然が主役なのではなく、あんなこともこんなこともできちゃう、おまけにどんなことでもやっちゃう俺ってどう?って感じのルベツキ主役映画なのよ。

演出をしているイニャリトゥでも、体当たりの鼻水演技を披露しているデカプーでもなく、ルベツキが主役に躍り出ちゃってるのよこの映画。いや凄いのよ。確かに凄いのよ。凄いのはわかるけど、ドヤ顔も度が過ぎると鼻につくって話ですわ。

映像のツマとしての物語

そんな撮影監督が主役に躍り出ちゃったこの映画。物語としては正直スカスカです。ある裏切りに遭った男が死の淵からよみがえり、「復讐すんべ!」と死にもの狂いで生にしがみつく姿を超絶技巧によって映し出しているだけ。

いや凄いんですよ。ほんのこて凄いんですよ。しかしそこで描かれるデカプーの生への執着は、復讐に動機があると見せかけてその実、圧倒的自然に立ち向かう卑小な人間を描いているにすぎず、その果てに得られる達観のなんとお粗末なことか。

そこまでやっちゃったらやったも同じ。何も委ねておりゃしません。テーマや手法としてはタルコフスキーやヘルツォークを彷彿とさせるものの、彼らの芸術性や狂気の足元にも及んでいない。ただルベツキのカメラが雄弁に自己主張しているだけ。

結局のところやりたかったのは「撮りたい画を撮る」ってことなんでしょ?木を、水を、火を、いかに撮るか。クマと人間とのガチンコリアルファイト。激流でどんぶらこっこするデカプー。馬の腹の中で眠るデカプー。それが撮りたかったんでしょ?

クマ殺しのデカプー(実話)

しかしクマ!クマとデカプーとのガチンコリアルファイトだけは悶絶した!行けクマ!やれクマ!その爪で、牙で、にっくきデカプーをぶち殺してしまえ!と、もちろんクマさんに向けて熱い熱い声援を送っていたボクなわけであります。

彼、ではなくて彼女の荒い息遣い、圧倒的突進力、鋭い爪、強靭な牙、重量感、デカプーの顔をクンクンレロレロする愛らしさ。クマに襲われた人間がいかようにして死の淵へと叩き落とされるのか、懇切丁寧にご披露くださっておりました。

基本的に実話だと謳っておきながら、息子の存在も含めて肝心な部分が創作で占められている本作ですが、クマとの生死をかけたどつき合いだけはガチの実話です。まあ本当はフィッツジェラルドとブリジャーも加勢したようですけどね。

劇中では単身で、我らがクマちゃんと鮮血飛び散る死闘を辛くも制し、見事「クマ殺し」の称号を勝ち取ったデカプー、もといヒュー・グラス。ここから得られる教訓は、「クマに死んだふりは効かない!」という驚愕の事実であります。

目指すべきはモンド映画

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でも書いたように、やはり自分とイニャリトゥとは相性がよろしくありません。考えてみてください。この映画の撮影監督がルベツキでなかったらどんな映画に仕上がっていたことか。

ルベツキによるドヤ顔映像美がなかったとしたら。低予算で有名俳優も出ていないB級映画だったとしたら。これって単なるモンド映画のたぐいではないのかしら?だとしたら、家族愛とか信仰とか歴史とか芸術とかなんとか失笑もん。

イニャリトゥが目指すべき地点は、芸術性によって誤魔化されたその実モンド映画などではなく、ルベツキのドヤ顔映像美によって高度に彩られた真正モンド映画だったのではないか?そうであったならボクは諸手をあげて絶賛したことでしょう。

しかしそうはならなかった。こういう変にカッコつけたところが好きではないのです。出演者はデカプーひとり。彼が未開の極寒の地で、原住民に襲われ、クマと戦い、激流にのまれ、生魚をむさぼり喰い、馬を寝袋にし、必死で生にしがみつく。

これだけですべての事は足りるのです。余計な芸術性によって目くらましをし、無駄に上映時間を引き延ばしたところで腰痛もちにはきついだけ。その点もうちょっと腰にやさしい映画制作を志向してはくれませんか?イニャリトゥさん。

個人的評価:5/10点

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コメント

  1. ケフコタカハシ より:

    たぶん私は観ないな。
    さて今度こそ投稿できるかな〜?

  2. スパイクロッド より:

    ケフコタカハシさんコメントありがとうございます!
    映画館で観るべき映画だとは思いますが、はたして映画館まで足を運んで観る価値があるかどうかは微妙です。DVDにでもなったらどうぞ観てやってみてください。映画の評価なんて人それぞれですからね。
    ところで何かコメントを投稿できない不都合でもありましたか?トラックバックのほうは出来たり出来なかったりなようですけど。

  3. ケフコタカハシ より:

    何がいけないのかわかりませんが、迷惑コメントと判定されて書き込みできないことが続いてます。
    さっき別な記事でまたはじかれました。こっちはいけるかな〜?

  4. スパイクロッド より:

    ケフコタカハシさん、こちらでは何も設定はいじっておりませんので、申し訳ありませんが原因は不明です。一時的な不具合かもしれませんので、しばらく間を置いてからでもコメントしてやってください。ボクにとってはまったく迷惑なコメントではありませんので!

  5. れんか より:

    ぱちぱちぱちぱち!!よくぞ私も思てったようなことを的確に書いてくださった!
    そう、映像美とかは素晴らしいし、これだけ撮るの大変だったでしょ~とその激務ぶりは称賛に値するけど、ほら、めっちゃお金かけてるのがアリアリの映画なんてハードだけでグレード上がっちゃって役者がどーでもよくなっちゃう感あるんですよね。レオ様だって受賞したけど、大変でしたね~、ご苦労様でした賞だとあたしゃ思いました。それほどキャラに揺さぶられなかったもの。
    ただひとつ・・・映画終わって、トム・ハーディの名前がスクリーンに映り…あっそうだった、トムハでてんだった!でどれだったの?と思ったらあのフィッツジェラルドがそうだった!出てるの失念してたら、全然気づきませんでした。(はじまり5分ほど遅れて着席してしまったのですよ)あまりのばけっぷりに感心しました。個人的にはそれが一番の大喝采点だったかも・・・
    まぁ、映像が映像なので映画館で見たほうがいいのは確かなんですが、受賞作品だから必ずしも自分的に大絶賛・・・とはならぬ事を改めて実感しました。

  6. スパイクロッド より:

    れんかさんコメントありがとうございます!
    エマニュエル・ルベツキによる圧巻の映像美はもうそれだけでお金が取れるのです。でも撮影監督が映画の主役になっちゃいけませんよね。これに対する個人的な意見を述べさせていただくと、イニャリトゥとルベツキの格の違いなのかな?と思ったりしております。キュアロンと組んだときのルベツキはそんなことありませんから。あくまで個人的な意見ですが、イニャリトゥがルベツキに負けたのです。
    トム・ハーディはけっこうカメレオンですからね。しかもどんな役をやってもただならぬ違和感みたいなものを発散させている。普通ではないのですよね。そういう意味ではデカプーよりもトムハのほうがいい演技をしていた。ただデカプーは鼻水垂らして頑張りましたから。努力賞ぐらいはあげてしかるべきかと。

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