『ビッグ・アイズ』感想とイラスト 凡庸化していくポーズとしての変態

映画『ビッグ・アイズ』クリストフ・ヴァルツのイラスト(似顔絵)

ティム・バートンって変態なのでしょうか?変態ってもっと気合いの入ったものだと思うのですよね。普通ですよ普通、ティム・バートンなんて。ただし、この映画のクリストフ・ヴァルツは変態ですよ。↑この顔見てくださいよ!

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目次

『ビッグ・アイズ』感想とイラスト 凡庸化していくポーズとしての変態

  1. 作品データ
    1. 予告編動画
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ多少
    1. ティム・バートンは変態か?
    2. 妻と夫どちらに付くか?
    3. 異端に寄り添えない無難
    4. 勝利と幸福が生む凡庸化

作品データ

『ビッグ・アイズ』
Big Eyes

  • 2014年/アメリカ/106分
  • 監督:ティム・バートン
  • 脚本:スコット・アレクサンダー/ラリー・カラゼウスキー
  • 撮影:ブリュノ・デルボネル
  • 音楽:ダニー・エルフマン
  • 出演:エイミー・アダムス/クリストフ・ヴァルツ/ダニー・ヒューストン/クリステン・リッター

予告編動画

解説

佐村河内守と高橋ジョージがクリストフ・ヴァルツに乗り移った伝記ドラマです。

監督は『バットマン リターンズ』のティム・バートン。脚本は同じく伝記映画だった『エド・ウッド』以来のコラボとなる、スコット・アレクサンダーとラリー・カラゼウスキーが担当しております。

主演は『アメリカン・ハッスル』のエイミー・アダムスと、『007 スペクター』でヴィランを演じることが決まったクリストフ・ヴァルツ。ニューヨーク・タイムズの芸術評論家を演じるテレンス・スタンプが怖すぎます!

あらすじ

1950年代後半のアメリカ。離婚を決意し、幼い娘とともにサンフランシスコへとやって来たマーガレット(エイミー・アダムス)。生活のために仕事を見つけなければならなかったが、彼女に出来るのは絵を描くことだけだった。

家具工場で働くかたわら、ノースビーチで似顔絵描きを始めた彼女は、そこで同じく画家だと名乗るウォルター(クリストフ・ヴァルツ)と出会って恋におちる。

ほどなくして結婚したふたりだったが、彼女が描いた瞳の大きな子供の絵“ビッグ・アイズ”が世間の注目を集めると、ウォルターは自分の作だと偽って大々的な宣伝を始めてしまうのであった!

感想と評価/ネタバレ多少

劇場公開時に行きたかったのに行けなかったこの作品。遅ればせながらようやく観ることができました。

麻原彰晃にサングラスをかけさせたような偽作曲家と、顔もデカいが態度もデカい偽ロッカーを彷彿とさせる内容ということで、おおいに興味があったのですが、自分は皆さん大好きなティム・バートンとは昔から馬が合わないのです。さてさて、今回はどうなることやら?

ティム・バートンは変態か?

しごく簡単に物語を説明してしまうと、夫のゴーストペインターにされた妻が受けるモラハラの話なわけですなこりゃ。

実話がもとになっているだけあって、いつもの変態性はやや抑えめであります。っていうか、このティム・バートンという監督の保守的な変態性は正直好きではありません。偽画家、偽作曲家、偽ロッカーに連なる、偽変態だとボクは思っております。

真の変態とは、クローネンバーグやリンチ、ホドロフスキーにポランスキーといった気合いの入った方々を指す言葉であり、ティム・バートン程度の変態性は単なるちょっと変わった奴にしか過ぎません。彼の不幸はそれが受けてしまったこと。

変態だ!異端児だ!異才だ!と騒がれたところで、彼は普通の人とはちょっと違う趣味趣向をもっているだけで、中身はいたって常識人なのだと思いますよ。押井守の言葉を借りれば「凡庸」だということです。

妻と夫どちらに付くか?

ちょっと話がそれましたね。変態かそうでないかはとりあえず置いといて、この映画の仕上がりはやはり凡庸そのものではないでしょうか?その理由はつまるところ、妻と夫、どちらに監督の興味が向いているのか?ということなのだと思います。

この映画の主体的自己は被害者であるマーガレット以外にはありません。彼女の虐げられた結婚生活と自分を取り戻すための闘い。フェミニズム的観点で撮られた現代的テーマを含みながら、嘘と真実のはざまで浮かれ沈む夫婦の姿をカラリと描く。

そんな普通に面白い映画。あくまで普通に。言い換えれば凡庸に。なぜそうなってしまったのかといえば、監督の立ち位置がどっちつかずだからだと思うのですよね。

もともとマーガレットのファンだったというバートンは、彼女が描く“ビッグ・アイズ”は大好きなのでしょう。しかし人間的にはどうなのでしょうか?

この映画を観るかぎり彼女はいたって普通の女性です。言い換えれば面白味のある女性ではない。エホバの証人がちょっとグッと来たぐらいで、監督の人間的興味はあきらかに夫ウォルターのほうに向けられているのですよね。

異端に寄り添えない無難

激しい劣等感と虚栄心。虚言癖。嘘に嘘を重ねてやがてそれを真実として錯覚していく素晴らしい思考回路。ポジティブシンキング。どう考えてもこっちのほうが人間として面白いし魅力的です。クリストフ・ヴァルツのやりすぎな怪演も楽しいし。

でも彼は主役ではない。アンチヒーローにもならない。人間的興味は異常者である夫に向けられながらも、常識的なフェミニズムの観点から妻の自立を中核として描かなければならない。ゆえに凡庸。ゆえに広く浅い支持の獲得。

これがティム・バートンの限界であり、変態でも異才でもない証拠だと思います。ダメな映画だと言っているわけではありません。面白くていい映画だとは思いますが、ただそれだけだというお話です。

勝利と幸福が生む凡庸化

ボクがティム・バートン監督作で唯一の傑作だと思っている『バットマン リターンズ』。異端者の悲哀をもっと掘り下げていればこれに近づいたかもしれませんが、現在の彼は成功も幸せも手にした勝ち組になったのですよね。

いまさら異端者の気持ちに寄り添うこともないのでしょう。ここで描かれている異端はもはやポーズでしかないのです。かくしてティム・バートンの凡庸化は年々進行していくというわけですな。

個人的評価:5/10点

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