『ブリッジ・オブ・スパイ』感想とイラスト マーク・ライランスにたまげた!

映画『ブリッジ・オブ・スパイ』のイラスト

スピルバーグとトム・ハンクス、ふたりのヒットメーカーが手を組んだ感動の実話!デタラメではないがマコトでもない。この映画を傑作たらしめたのは英国演劇界の至宝、マーク・ライランスだ!

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目次

『ブリッジ・オブ・スパイ』感想とイラスト マーク・ライランスにたまげた!

  1. 作品データ
  2. 予告編動画
  3. 解説
  4. あらすじ
  5. 感想と評価/ネタバレ無
  6. ただならぬオープニング
  7. 主役マーク・ライランス
  8. スピルバーグに泣かされる
  9. 最高傑作!と言ってもよい

作品データ

『ブリッジ・オブ・スパイ』
Bridge of Spies

2015年/アメリカ/142分
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:マット・チャーマン/イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:トーマス・ニューマン
出演:トム・ハンクス/マーク・ライランス/エイミー・ライアン/スコット・シェパード

予告編動画

解説

スパイの矜持とはパンイチ現場に踏み込まれても泰然自若のパンイチ姿を崩さないダンディズムにあると知る、実話をもとにしたサスペンス・ドラマです。

監督は『ミュンヘン』『宇宙戦争』のスティーヴン・スピルバーグ。脚本は『ヘイル、シーザー!』のコーエン兄弟。主演は『ハドソン川の奇跡』が控えるトム・ハンクス。共演は英国演劇界の重鎮マーク・ライランス。

あらすじ

米ソ冷戦下の1957年。スパイ容疑でルドルフ・アベル(マーク・ライランス)という男が逮捕される。彼の弁護を担当することになったジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、世間の批判にさらされながらも奮闘、彼の死刑を回避する。

時を同じくして、アメリカの偵察機がソ連領空で撃墜。パイロットのパワーズがスパイとして拘束されてしまう。アメリカ政府はパワーズ救出のためにアベルとの交換を打診。その交渉役として選ばれたのは民間人であるドノヴァンだった。

交渉場所は東西を分断する壁が建造中の東ベルリン。身の安全が保障されない危険な地で、意を決して困難な交渉へと望むドノヴァンだったが……。

感想と評価/ネタバレ無

2015年に映画界を賑わせたスパイ映画の一群。日本での公開は2016年となりましたが、この『ブリッジ・オブ・スパイ』もそのひとつと数えられるでしょう。劇場まで足を運ぼうかと悩んだ一作ではありますが、なんやかんやで断念。

断念した主な理由は、みんな大好きスピルバーグのことがボクはあまり好きではないから。変態を娯楽性によって隠蔽したえせヒューマニスト。変態性が前面に出た作品(『激突!』『ミュンヘン』など)は好きなものの、いわゆるヒット作には拒絶感。

んなもんで「DVDでいいや」と静観を決め込み、『パディントン』やら『白鯨との闘い』なんかを観ていた不届き者。そんな不届き者がこの『ブリッジ・オブ・スパイ』を観てどう思ったか?とりあえず、差別と偏見に満ちた自分をぶん殴ってやりたい!

ただならぬオープニング

自分。鏡に映る自分。自画像の中の自分。分裂した同じ人間の3つの顔を象徴的に映し出したオープニング。窓から射し込む陽光。ヤヌス・カミンスキーの卓越した撮影技術と、スピルバーグのこだわりが結実した完璧な構図によるショット。

すまんスピルバーグ。ボクの差別と偏見を許してくれ。このオープニングショットひとつでボクはこの映画が好きになってしまった!しかもそこで映し出される映画の顔が、男たる者こういう老い方はしたくないと切に願ってしまう残念な顔(失礼)!

そんな残念な顔をした、老いさらばえた肢体をもった、要するにしょぼくれお爺ちゃんの淡々とした行動。そしてそんなしょぼくれお爺ちゃんの行動を監視する謎の組織の存在。彼らの奇妙な道行きをほぼ無言でとらえたカメラの素晴らしさよ。

監督の演出、役者の演技、カメラマンの技術が結集したこの一連のオープニングシークエンスのみで、この『ブリッジ・オブ・スパイ』が近年のスピルバーグ作品とは一線を画す、ただならぬ複雑さを有したものであることがすでにうかがい知れる。

主役マーク・ライランス

しょぼくれお爺ちゃんの名はルドルフ・アベル。アベルを監視し、最終的に拘束したのはFBI。要するにアベルはソ連のスパイだったというわけ。とてもじゃないが敏腕スパイには見えないアベルの風貌は、これぞ映画のお約束を逆手にとったリアリズム。

このルドルフ・アベルを演じたのが英国演劇界の至宝マーク・ライランス。撮影時の彼の年齢はなんと54歳!ジェームズ・ドノヴァン役のトム・ハンクスが58歳ということは、あんたハンクスより年下かい!どうみても70過ぎの爺さんにしか見えんぞ!

しかしここで断言しておきますが、この映画を傑作たらしめている最大の功労者は、スピルバーグでもハンクスでもカミンスキーでもなく、70過ぎの爺さんにしか見えないマーク・ライランスその人なのである。彼がいたからこの映画は傑作になった。

迫真の脱力演技とでも申しましょうか。力抜けすぎで演技しているのかしていないのかわかりませぬ。つまりは驚愕のリアリズム演技。失礼な話ながら、ハンクスと並ぶと彼の凄さがさらに際立つ。なるほど。真の演技とはこういうことか。

スピルバーグに泣かされる

ソ連のスパイとして米国で拘束され、司法で裁かれることとなったアベル。そんな彼のことを弁護することになった、“不屈の男”ジェームズ・ドノヴァン。彼らふたりの闘いと友情、そしてその後の米ソによるスパイ交換を描いたサスペンス劇。

正直な話、単なるスピルバーグとハンクスのコンビ作では良心的な佳作がいいところでは?しかし、そこに劇的な化学反応を起こしたのがこのマーク・ライランスの存在。彼がいたからこそハンクスが底上げされ、ドラマに命が宿った。

個人、国、社会における分裂と分断、そして壁をテーマとしたこの映画の屋台骨を支えているのは、やはりほかならぬルドルフ・アベル(マーク・ライランス)以外には考えられませぬ。複雑な彼の人格とそれを演じたライランスの飄々。

東ドイツに渡ったドノヴァンの不屈の交渉術も確かにスリリングですが、そのスリルを陰で支えているのもアベルの存在。彼の信念、達観、そして命がこの実話のドラマを支えている。ドノヴァンのアベルへの想いが支えている。

アベルとドノヴァンとのあいだで形成される共闘と信頼、そして友情関係。恥ずかしながらグリーニッケ橋でのふたりの再会シーンには思わず涙がこみ上げてきてしまった。スピルバーグで泣くなんてうれしはずかし初体験だよ……。

最高傑作!と言ってもよい

もうひとつの化学反応コーエン兄弟、編集の妙、フラッシュの凶器、ベルリンの壁など、ほかにも書きたいことは山ほどあったのですが、とりあえずはアベル(ライランス)を中心にひり出させていただきました。これでけっこう忙しい身なの。

しかしこの映画を劇場鑑賞しなかった自分の鑑識眼のなさは本当にぶん殴ってやりたいですね。個人的な意見ですが『ミュンヘン』以来の傑作、もしかしたらスピルバーグ史上の最高傑作と言ってもよいかも?正直それぐらい素晴らしい映画でした。

最後にひとつ。ソ連のスパイを弁護する売国奴としてのドノヴァンを、米軍のパイロットを救った英雄としてのドノヴァンを、車中で見つめる人々の視線は等価なものですよね。こういう意地の悪い変態性がにじみ出ているスピルバーグ映画は好きよ。

個人的評価:8/10点

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コメント

  1. ミス・マープル より:

    ドノヴァンが序盤に交通事故の賠償の件で弁護活動をしますね。その交渉術がうまく本編に生かされてくるとは思わなかったです。
    とにかくラスト付近の橋の上での攻防が手に汗を握りました。
    見ごたえのある映画でした。

  2. スパイクロッド より:

    ミス・マープルさんコメントありがとうございます!
    そのへんも伏線として上手に使われていましたよね。ドノヴァンとアベル。互いに複数の顔を持った男同士ということで、何か相通じるものを感じたのでしょう。不屈の男と愚直な男。これが彼らの真実の顔なのだと思います。そんな彼らが最後に再会を果たす、グリーニッケ橋での攻防はホントに地味なんだけど本当に素晴らしい!しかし、まさか泣くとは思わなかったなぁ~。

  3. ハリー より:

    ご無沙汰してます。
    現実のスパイというのは、あういう「完全に市民に溶け込む」人物ですね。あのリアリティーはノンフィクションの醍醐味ですね。
    東側の微妙な関係(ソ連と東独)など、見せ場に事欠かない秀作でした。

  4. スパイクロッド より:

    ハリーさんコメントありがとうございます!
    映画としてはスパイという職種は派手にしないと絵にならないわけですが、本来は隠密を旨とする職業ですからね。目立たなくてなんぼなわけです。そういう映画的スパイ像とはかけ離れたマーク・ライランスの飄々としたしょぼくれ感が本当に絶妙でしたよね。スピルバーグもまだまだ侮れませんわ。

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