『小人の饗宴』感想とイラスト 小は大を映す

映画『小人の饗宴』のイラスト

ハイホ~♪ハイホ~♪なんて小人が楽しく歌い踊ってるなんて思ったら大間違いだぞお前ら!小人だって俺らとおんなじクズ野郎どもなんだよ!ペシテ!ペシテ!

スポンサーリンク

目次

『小人の饗宴』感想とイラスト 小は大を映す

  1. 作品データ
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ無
    1. 邪悪さの正体
    2. ひたすら疲れる映画
    3. まさかのBlu-ray発売!

作品データ

『小人の饗宴』
Auch Zwerge haben klein angefangen/Even Dwarfs Started Small

  • 1970年/西ドイツ/96分
  • 監督・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク
  • 撮影:トーマス・マウホ
  • 音楽:フロリアン・フリック
  • 出演:ヘルムート・ドーリンク/ゲルト・ギッケル

解説

小人さんたちの傍若無人なお祭り三昧を描いた、ニュー・ジャーマン・シネマ初期を代表するカルト映画です。

監督は『フィツカラルド』『ノスフェラトゥ』のヴェルナー・ヘルツォーク。基本、変な映画ばっかり撮っておる監督です。出演はたくさんの小人さんたち。っていうか、小人さんたちしか出ておりませんから。

あらすじ

ドイツ郊外の小人の教育施設。たまたまその日は所長以下の職員がほとんど外出中であった。それを狙ったかのように、日頃の不満を爆発させてクーデターを起こした13人の小人たち。

彼らは体制側の校長室を包囲し、電話線を切断。人質になっている仲間の解放を暴力によって求める。やがてその狂騒はエスカレートし、彼ら小人たちの暴動は一種の祝祭性を帯びていくのであった……。

感想と評価/ネタバレ無

1932年にトッド・ブラウニングが発表して自身のキャリアを破滅させた問題作『フリークス/怪物團』と同じく、モノホンの奇形の方々、いわゆる小人症の方々がスクリーン狭しと暴れ回る映画であります。

しかし、天然でやらかしちゃったと思われる『フリークス』とは根本的に異なる、明確な悪意の込められたとにかく邪悪な、ガチでヤバい問題作なんですなぁこれが。

邪悪さの正体

物語らしい物語、ドラマらしいドラマが何もなくて途方に暮れてしまうのですけど、じゃあこの映画にいったい何があるのかと申しましたら、ひたすら暴虐の限りを尽くして最後にはちょっと疲れて咳き込んじゃうという、小人さんたちの抑圧された魂の解放があるのみなの。

自分たちが収容されている施設を占拠し、あらゆるものを冒涜してハシャぎ回る小人さんたちの醜悪すぎるゲスっぷりは、「心の清らかな天使であらせられる障害者様」という良識派の無遠慮なレッテルを、粉々に粉砕し、踏みつけ、小便ひっかけ、燃えないゴミの日に出しちゃったりしちゃったりしておるわけでありますな。

いわく、「健常者も障害者も隔たりなく人間とはクズばかり!」。良識派の手前勝手な幻想の破壊、弱者の抑圧からの解放という狙いは理解できるものの、少々やりすぎとりますかねぇこれは?より下へ下へ、弱いモノへと向かっていく暴力と蔑みが見るに堪えませぬわ。

ひたすら疲れる映画

権威、宗教、博愛、自然といった守るべきあらゆるものを冒涜し、破壊し、笑い飛ばし、笑いすぎて最後にはちょっと咳き込んじゃうという、小人さんたちのゆがんだ精神の解放がなぜ健常者へと向けられないのか?

なぜ同胞やより弱いモノへと向けられるのか?そもそもなぜこの映画には小人しか登場しないのか?意図的に感情移入させない気なのでありましょうな。やっぱりヘルツォークとは嫌な男だ。あ、これって褒め言葉なのであしからず。

小人さんたちの傍若無人な乱痴気騒ぎに込められた、幻想的障害者という手前勝手なイメージの破壊、 権威の冒涜、差別と暴力の流れ落ちる先には、逆説的平等主義者ともいえるヘルツォークの嫌らしいしたり顔が浮かび上がって面白いことは面白いのですけど、はっきり言って疲れることこの上ありませぬ。

小人さんたちと一緒で最後にはもうヘトヘトですわ。暴動というものはやるのも見るのも疲れるもんです。

個人的評価:6/10点

まさかのBlu-ray発売!

モノホンの小人さんたちだけによる呪われた祝祭映画。長らくDVDは廃盤で入手困難な名実ともにカルト映画でありましたが、このたび松竹さんよりHDリマスター版のBlu-rayが発売される運びとなりました!

こんなマニアックな映画を再ソフト化して売れるのかよおい!?大丈夫か松竹さん?というわけで、翌日まで残る疲労感をまた味わいたいという方はどうぞご購入を検討してみてください。ちなみにボクは思案中。発売日は2016年12月7日の予定であります。

フリークス映画の感想はこちら

短い映画好きにおすすめ

コメント

  1. れんか より:

    この映画○十年前にドイツ文化センターまで観に行きました。
    こんな差別的な、ナチスに匹敵するような映画よくとったと思いました。
    この印象が強くって以降、映画に出てくる小人さんを見るためにこの映画を思い出します。
    子供と一緒に再び観たオズの魔法使い。たくさん出てくる小人さん(マンチキン)にやはりこの映画を連想し、気持ち悪くなってしまいました。
    ・・・なんか悲しかったです。
    チャーリーとチョコレート工場はCGで非現実的に小さい小人(ウンパルンパ)だったので今でも安心して見れます。
    もう一回見てみたい気もしますが…恨めしい映画です。

  2. スパイクロッド より:

    れんかさんコメントありがとうございます!
    ヴェルナー・ヘルツォークという監督の性格の悪さがよく表れてますよね(最大限の褒め言葉)。ちょっと差別的な表現になるかもしれませんが、人とは自分より弱いもの、下のものを見つけ出しては攻撃し、自分のゆがんだ自意識を充足させるということなのでしょう。それがひいてはナチスドイツの思想ともつながっていく。それを小人だけの映画でやったってんだからやっぱこりゃ強烈だわ!

トップへ戻る