『ラ・ラ・ランド』感想とイラスト 愛ゆえの攻撃性と保守

映画『ラ・ラ・ランド』ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンのイラスト(似顔絵)

夢に夢を見、映画で映画を観ていた時間、『ラ・ラ・ランド』。古き良き時代を取り戻し、愛するモノへの熱烈なラブコールが込められているわりには、いささか跳躍力が足らんのと違いますか?『ラ・ラ・ランド』よ!

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目次

『ラ・ラ・ランド』感想とイラスト 愛ゆえの攻撃性と保守

  1. 作品データ
    1. 予告編動画
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ多少
    1. 鮮烈なるオープニングからの…
    2. ゆきすぎた懐古趣味
    3. 好きすぎるゆえの攻撃性
    4. 凡庸すぎるドラマ
    5. オスカーの行方やいかに?
    6. 追記/アカデミー賞結果

作品データ

『ラ・ラ・ランド』
La La Land

  • 2016年/アメリカ/128分
  • 監督・脚本:デイミアン・チャゼル
  • 撮影:リヌス・サンドグレン
  • 音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
  • 出演:ライアン・ゴズリング/エマ・ストーン

予告編動画

解説

映画のなかで映画を語り、映画において夢を見るという、古き良き時代の復興と進化を模索した、アカデミー賞史上最多タイの14部門ノミネートを果たしたミュージカル映画です。

監督と脚本は『セッション』のデイミアン・チャゼル。主演は『オンリー・ゴッド』のライアン・ゴズリングと、『ゾンビランド』のエマ・ストーン。ほかにジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィッド、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズなど。

音楽を担当するのは『セッション』に引き続きジャスティン・ハーウィッツで、本作のオリジナル・サウンドトラックも全英1位、全米2位という快挙を成し遂げております。

あらすじ

ショービジネスでの成功を夢見る若者が集まる街、ロサンゼルス。女優志望のミア(エマ・ストーン)は映画スタジオのカフェで働きながら、いつか来るチャンスを求めてオーディションの日々。しかし結果は落選ばかりで、厳しい現実を目の前に打ち砕かれそうになっていた。

そんな日々のなかで、あるとき場末のバーから聴こえてきたピアノの音色。それを弾いていたのは以前に最悪の出会いを果たした青年セブ(ライアン・ゴズリング)だった。彼も愛するジャズを思う存分演奏できる自分の店を夢見ていたが、現状は惨憺たる有様だった。

その後も偶然の出会いを果たし、いつしか恋におちたふたりは、互いの夢を応援しながらそれぞれの成功に向けて邁進を続けるのだった。しかし夢見るふたりの前に現実は大きく立ちはだかり、彼らにさまざまな決断や妥協を強いてくるのであった……。

感想と評価/ネタバレ多少

たかが1分半の予告編を観るたびになぜか涙があふれてきてたいそう困った映画『ラ・ラ・ランド』。仕事の都合で公開初日には駆けつけられず、2日目のレイトショーでの鑑賞と相成りました。レイトでもまずまずの埋まり具合でしたので、皆の期待値の高さがうかがえます。

アカデミー賞の結果いかんではさらに客足は伸びることでしょう。しかしSNSでの評価はけっこう賛否両論ですので、自分の予想では「大ヒットには至らないかな?」といった感じです。それにはボク自身の評価の微妙さも含まれております。そう、ボクの評価は微妙なのです。

予告編ではパブロフの犬的に目からきったね~よだれを垂らしていたボクなのですが、本編鑑賞中はただの一滴もきったね~よだれは流れてこなかった。それではその理由を多少のネタバレ込みでここから書いていこうと思いますので、未見の方はどうぞ自己判断で。

鮮烈なるオープニングからの…

映画冒頭、大渋滞中のフリーウェイで突如として展開される一大ミュージカルシーンは圧巻でして、ワンシーン・ワンカットの長回し(おそらくは何か所かで巧妙に割っているとは思われるが)による、夢のような映画の幕開けを高らかに告げる幸福感あふれる演出です。

渋滞している車の列、それに搭乗している多種多様な若者たちはスターを夢見る順番待ちのメタファーであり、この映画がミュージカル映画であり、ショービジネスの夢と現実を描いた映画であることも示唆している、見事なまでのオープニングだったと思われます。

ミュージカル嫌いのボクでも(ゴメンなさい、実は嫌いなの♥)思わず期待に胸躍らせてしまう、そんな夢見がちなミュージカルシーンの雨あられがここから幕開けるのだな!と思っていたらこれが意外と大人しいのですね。ゴリゴリのやつはこの頭とお尻ぐらい。

「てめえらこういうのが観たいんだろ!」といきなり胸ぐらつかんでおきながら、ビンタもチョーパンもエルボーもかましてくれない肩透かしに、パブロフの犬の喉は乾きっぱなし。しかも小粒な歌と踊りからはどうにもきな臭いデジャヴスメルまで漂ってくる始末。

ゆきすぎた懐古趣味

ミュージカル苦手ですのでそれほど数は観てないのですが、古今東西の名作ミュージカルからの引用がしつこいぐらい目につくのですよね。引用自体はそれほど悪いことではなく、今の映画はそれ抜きでは語れないところにも来ていると思うのですが、それにしても度が過ぎる。

ミュージカル以外の映画からもおそらく大部分を拝借しており、映画オタクによる映画愛あふれる自己満映画的な印象も受けますが、最もやっかいなのはその強すぎる愛情の示されている先が古き良きハリウッド映画、1950年代から1960年代に集約されていることではないかと。

豪華絢爛な夢物語としての栄華を究め、それによって破滅することとなった光と闇の時代。ファッションやアイコンも意図的にこの時代を象徴するもので埋め尽くされておりまして、監督のデイミアン・チャゼルがこの時代の映画を愛し、復権を目論んでいたのは明白であります。

それを単なる懐古趣味で終わらさないためには、やはり過去を凌駕する「何か」を生み出せていないと厳しいのですが、残念ながらボクにはそれが存在したとは思えなかった。甘いだけではないビターな味わいがそれだとも言えますが、そんなものはこれまでもありましたよね。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のようにとことんビターを究めてみたり、『ジャージー・ボーイズ』のように反ミュージカル的なミュージカルを志向しながら最後に軽やかに現実を飛び越えてみたり、野心的で挑戦的なミュージカル映画はこれまでにもたくさんありました。

しかしそれらの映画に比類するほどの挑戦精神がこの『ラ・ラ・ランド』からは感じられず、古き良き時代の夢を現代へと復活させたただの懐古趣味映画以上の存在とはどうにも思えないのです。好きすぎるこだわりはバイアスを生み出す。この映画のふたりのようにね。

好きすぎるゆえの攻撃性

この映画の主人公ふたりは、自身の夢に邁進するあまり狂気の淵へと片足を突っ込んだなんとも厄介な夢追い人として描かれております。とりわけライアン・ゴズリング演じるセブのジャズに対する偏愛は、おそらくチャゼル監督自身を投影したものでしょう。

従来のジャズの形式にこだわる彼の偏執的な夢は、いまや瀕死のていであるジャズを自らの手でよみがえらせること。そのための店をもつこと。しかし前述しましたとおりいまやジャズは瀕死のてい。この時代にジャズを聴くのは一部のマニアか老人のみ。

そんな現実に打ちのめされるセブが金のために加入したのが、電子音楽を大々的にフィーチャーしたニュー・ウェーヴ・ジャズ・バンド“The Messengers”。

別にこの音楽を悪いとはボクは思いませんが、セブのなかではやはり魂を売ったという意識が捨てきれないのですね。それを見透かされたようにバンドのリーダーであるキースから、「言いたいことはわかるが、お前は偏屈な厄介者だ」と釘を刺されてしまうのです。

こういうセリフが出てくるあたり、監督自身、自分の偏った趣味を偏屈な厄介者として自虐的に認識しているバランス感覚もうかがえますが、強すぎる愛情はそれ以外への攻撃というかたちでややいびつに表面化してしまう場合があるのですよね。あんがい自覚のないまま。

The Messengersで演奏している音楽に対するセブの違和感。それに対する「あんな音楽が好きなの?」というミアの発言。それは序盤のパーティシーンで演奏されていた1980年代のヒット曲に対する侮蔑的姿勢や、古き良きミュージカルにこだわる演出にもかいま見えます。

この時代に適した新しいミュージカル映画を作るというのであれば、CGでも吹き替えでもなんでもバンバン使って、今の時代にしか観られないそれこそ夢のようなミュージカル演出を志すべきではなかったかとボクは思います。懐古趣味という名の余計なこだわりは捨ててね。

だいたい、なにげにa-haをディスっているのは許せません!確かにあの時代の音楽には軽薄きわまりない安っぽさもありますが、a-haの幅広い音楽性は再評価されてしかるべきだと思います。『Take On Me』のダサカッコよさなんて隠れて今でもこっそり聴いちゃうでしょ?

凡庸すぎるドラマ

まあ好きなことで飯を喰っていこうと夢見る者には、かならず狂気がつきまとうものなのですがね。それをきちんと踏まえたうえで、狂気を飼いならして大人になっていく物語、つまりは夢の実現、成就が夢の終わりだったというこの映画のビターな味わいは悪くありません。

しかし前作の『セッション』がなんらの成長も見せないまま、狂気を振り回し、殴り合い、殺し合った末に奇跡的な美の瞬間が生まれるという、ありえないドラマ的衝撃を見せていただけに、今作でのわかりやすさと親切さは大きな後退であり妥協だと思っております。

ミュージカルにたいそうな物語を求めても仕方がないのかもしれませんが、それこそ挑戦的にそこの部分を掘り下げても良かったと思うし、そこにこだわらないのならもっとミュージカル演出で革新的なものを見せてほしかった。それがないから懐古趣味だと思われるのです。

明るく楽しいというよりかは、深い闇と青と赤の照明が何やらおどろおどろしく、何かの悪夢を見ているような錯覚を覚えた画面・色彩設計は非常に面白かっただけに、そちらへと攻め込んでも面白かったかもしれません。まあそれこそリンチになっちゃいますけどね。

オスカーの行方やいかに?

てなわけで、「予告編詐欺だ!」と訴えてしまうぐらい映画本編には乗れなかった『ラ・ラ・ランド』。でもまあ書いている文面ほどこの映画に怒っているわけでも、嫌っているわけではなく、「普通によく出来たあくまで普通のミュージカル映画だな」ってのが正直な評価です。

でもおそらく今年のアカデミー賞はこの『ラ・ラ・ランド』が席巻するのでしょうね。史上最多タイの14部門ノミネートの時点ですでに快挙ですが、そのうちの半分は実際に受賞するのではないでしょうか?作品賞や監督賞などの主要部門も含めてね。

それはなぜかと申しましたら、この映画はアカデミー会員の爺さん婆さんに非常にウケのいいつくりになっているからです。自身も映画制作にかかわっていた彼らにとって、映画内において映画を語る、映画を描く映画というのは大好物なのですよね。

なおかつこの『ラ・ラ・ランド』は古き良きハリウッド映画への偏愛を示しており、平均年齢60歳をゆうに超えるアカデミー会員にとっては、まさに青春そのもの。それこそ妙なバイアスがかからないかぎり、この映画がオスカーを獲得するのは既定路線と言えるでしょう。

変に野心的だったり、革新的な部分がないのも好印象だと思われます。思い出してください。過去のオスカー受賞作品の保守的なラインナップを。『タクシードライバー』も『地獄の黙示録』も『パルプ・フィクション』も『プライベート・ライアン』も落選しているのですから。

「アカデミー賞史上最多タイの14部門ノミネート!」という煽り文句に乗せられ、予告編に騙され、過度の期待を胸に臨んでしまった今回の『ラ・ラ・ランド』。ボクの感想自体にもバイアスがかかっていると思われますが、それでも評価の違いは誤差の範囲内でしょう。

この映画を楽しめないのは貴様の感性がうんぬん、人生経験がうんぬん、もっと勉強して、精進してうんぬんというつぶやきが何やら炎上しておりましたが、これも散々書いてきた好きすぎるゆえにバイアスがかかって無意識のうちに他人を攻撃している典型ですよね。

まあ例の落語家の意見にも一理あるのですが、その映画を好きであろうが嫌いであろうがその人の勝手なのですけどね。みんなそんなに他人の意見、評価が気になるのか?自分が好きならそれで十分だし、他人も好きなら素直にうれしいし、たとえ嫌いでも仕方のないことじゃん。

たしか『君の名は。』のときにも書いたと思うけど、みんなが好きだと言っているものに自分だけ乗れないのもそれはそれでつらいもの。ボクなんて最近そんなんばっかだよ!でもちゃんと言っておくぞ!ボクは『ラ・ラ・ランド』が好きではないし面白くもない!以上!

追記/アカデミー賞結果

主演女優賞(エマ・ストーン)の封筒を間違って渡すという前代未聞のトラブルに見舞われた『ラ・ラ・ランド』、ボクの予想に反して作品賞で落選いたしました。オスカー獲得は既定路線だと大見得きっていただけに非常に恥ずかしいです!穴があったら埋まりたい!

でも「妙なバイアスがかからないかぎり」という予防線を張っておりましたので、多少はダメージは緩和されましたかね。昨年から引き続く人種間うんぬんの批判を考慮しての結果でしょうね、これは。『ラ・ラ・ランド』も白人優位映画だとの批判を受けていましたし。

まあアカデミー賞なんて結局はその程度のもんだということです。重ねて申しますが、『タクシードライバー』も『地獄の黙示録』も『パルプ・フィクション』も『プライベート・ライアン』も、ついでに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』も獲っておらんのですから!

個人的評価:5/10点

ゴズリン映画の感想はこちら

音楽映画好きにおすすめ

コメント

  1. ミス・マープル より:

    「セッション」が気に入っているとこの映画はやや凡庸に見えるかもしれませんね。
    わたしはこちらの方がずっとよかった。
    音楽やこだわった色にはあまり関心がないのですが、やはりラスト15分は至福のひと時でしたよ。
    そこに至るまではやや眠かったけれどね。

    • スパイクロッド より:

      ミス・マープルさん、コメントありがとうございます!

      『セッション』はそうとう尖った映画でそこが良かったのですけど、この『ラ・ラ・ランド』はそういう部分がかなりゆるくなっていましたよね。でもチャゼル監督が本当に撮りたかった映画はこの『ラ・ラ・ランド』のほうらしく、どうにもまだ正体のよくわからない監督であります。本文のほうにも書きましたけど、あの色彩感覚や画面構成はどうにも悪夢めいていて、見かけどおりの映画ではないような感じもするのです。あ、そういやアカデミー作品賞はどうやら逃してしまったようですね。ボクの予想は外れたわけですけど、代わりに受賞した作品は想定どおりでして、「これはやはり逆のバイアスがかかったかな?」って感じです。

  2. 通りすがり より:

    非常に参考になりました。見に行こうか迷っていましたが円盤でいいかなと。
    自分もミュージカル映画ってそこまで好きじゃないんですよね。
    やたら周りで評判はいいのですが変な盛り上がりで客観的な意見の人はいなかったので

    • スパイクロッド より:

      通りすがりさん、コメントありがとうございます!

      なんかこういうふうに騒がれる映画というのはどうしてもお祭りめいてきますからね、その流れに乗って必要以上に浮かれてしまう人もかならず出てくるもんです。ボクなんかは天邪鬼なので、逆のバイアスがかかって必要以上に辛めの評価になってしまった部分もありますが、ミュージカル映画が苦手な人は無理して観るほどのもんではないかと思います。凄いミュージカルを期待すると肩透かしを喰らって、それ以外の部分に期待するとあんがい平凡でガッカリするかもしれませんね。まあボクの感想もそうとう偏った主観的なものですので、参考にしていただけるのは非常にありがたい話ではありますが、やはりご自分の目で確かめるのがいちばんかと思います。劇場で観ていまいちだとガッカリ感もひとしおなのですけどね(笑)。

  3. ぞうさん より:

    セッションが好きなのと話題沸騰との事で観てきましたがイマイチでした。物語に深みが無く中途半端な物をたくさん詰め込んで上辺だけ良さげ見せ観客を騙してるからです。考えることを放棄して分かりやすい答えを求めがちな大衆向け映画故のヒットかと。

    それにしても絵がお上手ですね^0^

    • スパイクロッド より:

      ぞうさんさん、コメントありがとうございます!

      もっとがっつり豪華絢爛なミュージカル映画なら物語の深みのなさはある程度許容範囲だとは思うのですけど、いうほどミュージカルミュージカルしていないので、これならもうちょっと物語のほうにもこだわってくれよ!って感じでしたよね。あとおっしゃるように中途半端にさまざまな要素を詰め込みすぎですね。過去の映画へのオマージュなんかはもっと重点を絞ったほうがよかったと思います。『セッション』の成功によってある程度好きにやれるようになった弊害かとも思われます。

      うちのブログの売りは中途半端なイラストしかありませんので、お褒めいただいて非常に恐縮であります!

    • 匿名 より:

      ぞうさん

      むしろミアとセブが結ばれた方が分かり易くないですか?
      深みがないと感じるのはあなたの脳味噌自体が浅薄だからではないのですか?
      この映画は無駄な説明やを極力省いて観客の考えに委ねるタイプの映画、つまり一から十まで説明して分かり易い答えを提示するタイプの映画とは正反対だと思うんですが・・・

      物語の深みを捉えることができない事自体が考えることを放棄した証拠だと思いますよ。あなたはご自分のことを大衆ではないと思っているようですが、今の時代はあなたのような天邪鬼こそが大衆の典型なのですよ。

      スパイクロッドさんは「好きすぎるゆえにバイアスがかかって無意識のうちに他人を攻撃している典型」という言葉を使っていますが、あなたは「大衆を見下しすぎてる故に他人を攻撃してる典型」ですね。

      私はこの映画が好きですが、決して酷評している人を攻撃したりはしません。ですから、スパイクロッドさんのこの記事については何も言うことはないです。

      しかし、あなたのように映画自体を酷評するのではなく、「その映画を好きな人」をも馬鹿にするような表現を使うのは不愉快です。だから遠慮なく言わせてもらいます。あなたこそが考えることを放棄している馬鹿だ。

      • スパイクロッド より:

        匿名さん、コメントありがとうございます!

        あなたのコメントを承認するかどうか非常に迷ったのですけど、単なる誹謗中傷ではなく、ある対象を褒めたり貶したりする場合にどうしても発生してしまう、逆の意見や対象への無自覚な攻撃に対する真摯な怒りの表明として受け止めて、ボク自身への自戒の念も込めて掲載することに決めました。

        匿名さんの怒りはもっともなことだと思います。ある映画が好きか嫌いか、面白いか面白くないかを判断するのはあくまで個人の自由であり、その判断をもって他人や他作品を攻撃するのは筋違いの行為です。ぞうさんさんのコメントには確かにその手のバイアスがおそらくは無自覚に入り込んでおりましたが、それを承認し、掲載したのはブログ主であるボクの判断であり、責任の一端はボク自身にもあります。不愉快な思いをさせて申し訳ありませんでした。

        ただ考えてほしいのは、ボクのこの『ラ・ラ・ランド』評も、それに対するぞうさんさんのコメントも、ぞうさんさんのコメントに対する匿名さんの怒りの表明も、やはりある種のバイアスによるゆがんだ意思表明のひとつだと思うことです。要するにですね、誰しもが無意識のうちにこの手のことをどうしてもやらかしちゃうということなのです。そういうバイアスを減らしていくべきなのか、それとも仕方のないこととして許容していくのかは難しいところですけど、ひとつだけ看過できなかったのは匿名さんの言葉による暴力性です。あなたの怒りはもっともだと思いましたが、これの存在によってコメントを承認するかどうか非常に迷いました。

        ボクに対する攻撃ではなく、このブログとは無関係なただのお客様であるぞうさんさんへの攻撃だというのも判断に迷った一因ではありますが、ボク自身、ぞうさんさん、そして匿名さんも含めて、無意識にやらかしてしまうこの手の問題をもういちど考えてみる良いきっかけになるかと思い、承認することに決めました。匿名さんのお怒りはごもっともだと思いますが、もう少し違うやり方もあったのでは?これは気に入らないコメントに対するボクの攻撃的な対応という、自戒の念も込めてのものです。

        『ラ・ラ・ランド』をボクは期待していたほど楽しめなかった天邪鬼ですが、この映画を絶賛している人たちの意見を否定する気は毛頭ありません。しかしほかの大好きな作品を称賛する場合の手段として、この『ラ・ラ・ランド』を引き合いに出して茶化してしまうようなことを無意識に、あるいはネタとして意識的にやらかしてしまうことが多々あるのです。人間って結局そんなバカばっかりだよね。と、寛容に物事を静観するのもひとつの手かとは思います。あきらかに不遜なバカの意見は叩きつぶすべきですけどね。今回のぞうさんさんのコメントはそれには該当しないと思います。そこまでの意思はなかったと思います。

        最後に、匿名さんに不愉快な思いをさせてしまったことは抗いようのない事実ですので、コメントを承認、掲載したブログ主として、重ねてお詫びさせていただきます。不愉快な思いをさせて申し訳ありませんでした。これに懲りず、また遊びに来ていただけたら幸いです。

        • 匿名 より:

          スパイクロッドさん

          ご丁寧にご返信していただきありがとうございます。

          確かに、私自身もバイアスがかかっていたのでしょう。

          そもそも、個人ブログで、ブログ主ではなくお客さんに対して噛みついてしまう、という行為自体が非常識だったと恥じております。さらに、そういう非常識を乗り越えさせてしまう「怒り」についても理解を示して頂き、尚更自分の未熟さを恥じます。

          しかし、スパイクロッドさんが自戒のために掲載すると仰ったので、あえて、自分のコメントそのものを否定はしません。ただ、スパイクロッドさんにご迷惑をおかけしたことについては謝罪いたします。申し訳ありませんでした。

          これからも、一読者として拝読させていただきます。

          • スパイクロッド より:

            匿名さん、再度のコメントありがとうございます!

            匿名さんだけではない、ボク自身もバイアスかかりまくりの未熟者ですから、どうぞ気になさらずに。本日更新した『東京流れ者』という映画の感想のなかでも、『ラ・ラ・ランド』を引き合いに出して茶化してしまったような大バカ者ですからボクは(笑)。人間だれしもこの手の偏りからはなかなか脱却できないものなのだと思います。そういう意味では、匿名さんの怒りのコメントもご自分のストレートな感情として非常に大事なものなのかもしれません。それは時に軋轢を生み出すこともありますけどね(笑)。

            これからは自分自身のゆがんだ偏りもなるべく意識しながら、時に抑え、時に爆発させ、なるだけ一種の芸として昇華できるように精進してまいりますので、またいつでも当ブログにご訪問ください!お待ちしておりますので!

  4. らびッと より:

    日曜日にラ・ラ・ランド観てきました。
    僕は素直にハリウッドにいる人や夢を目指して頑張っている人への賛歌のような映画だと思いました。
    どうしてもセッションの印象が残っているとストーリーが王道すぎると感じてしまうのはしょうがないかと思いましたが。
    こういう映画は静かに観るんじゃなくて本物のミュージカルみたいに各パートが終わったら拍手したりして楽しんで観たいなとも思いました。
    ※ちなみに僕が1番好きなミュージカル映画はムーラン・ルージュです。

    • スパイクロッド より:

      らびッとさん、こちらにもコメントありがとうございます!

      夢とはとかく厄介なものではあるが、夢を追っている人はその狂気も含めて素晴らしい!ということなのだと思いますが、ボク的には物語もミュージカル演出も含めてあまり楽しめなかったのが残念です。まあちょっと期待が大きすぎたのかもしれませんね。それにデイミアン・チャゼルという監督はどうにもまだ正体がつかめない感じで、額面どおりの映画と受け取ってよいものなのかどうかも判断しかねている現状ではあります。

      ちなみにボクが最も好きなミュージカル映画は『屋根の上のバイオリン弾き』ですかね?これが生まれて初めて観たミュージカル映画でして、今でも鮮烈に記憶しております。

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