『毛皮のヴィーナス』(2013)感想とイラスト 帰ってきた魔女映画

映画『毛皮のヴィーナス』のイラスト

魔女に魅入られた舞台監督、いやさ映画監督、もといロマン・ポランスキー本人。こいつぁ『ナインスゲート』以来の久々のド直球魔女映画ですぞ!

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目次

『毛皮のヴィーナス』(2013)感想とイラスト 帰ってきた魔女映画

  1. 作品データ
    1. 予告編動画
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ多少
    1. 魔女映画への回帰
    2. ポランスキーのマゾヒズム
    3. 爆笑不条理ジェンダー映画

作品データ

『毛皮のヴィーナス』
La Vénus à la fourrur/Venus in Fur

  • 2013年/フランス/96分
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • 原作:デヴィッド・アイヴス
  • 脚本:デヴィッド・アイヴス/ロマン・ポランスキー
  • 撮影:パヴェル・エデルマン
  • 音楽:アレクサンドル・デスプラ
  • 出演:エマニュエル・セニエ/マチュー・アマルリック

予告編動画

解説

魔女に魅入られた男の右往左往を描いたエロティック心理サスペンスです。オーストリアの小説家レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの自伝的小説『毛皮を着たヴィーナス』をモチーフにした戯曲の映画化であります。

監督は『ローズマリーの赤ちゃん』のロマン・ポランスキー。主演はポランスキーの伴侶である『フランティック』のエマニュエル・セニエと、『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリック。ふたり劇ですので出演者はこれだけです。

あらすじ

自身で演出と脚本を務める『毛皮を着たヴィーナス』の舞台オーディションが不調に終わり、ひとり苛立ちをつのらせるトマ(マチュー・アマルリック)。そこに突然現れた主役と同じ名前をもつワンダ(エマニュエル・セニエ)という妖艶な女性。

彼女の強引さに引きずられるようにオーディションをすることになったトマだったが、やがてワンダの不思議な魅力に引き寄せられていき、自身でも気づかなかった心の深層を暴き出された結果……。

感想と評価/ネタバレ多少

前作の『おとなのけんか』に続く舞台劇の映画化です。限定的な空間、シチュエーション、登場人物で構成された心理ドラマにいまのポランスキーの興味が向いているのでしょうかね?

まあなんにせよ、この手の小さな映画でこそポランスキーの真価が発揮されるとボク自身は思っております。というわけで、『毛皮のヴィーナス』の感想です。

魔女映画への回帰

突如として現れた正体不明の妖艶な女性によって手玉に取られる男。これって要するに、魔女に魅入られた男の悲喜劇ですよね?ポランスキーにかけられた呪いみたいなもんですわ。

このワンダという女性が何者で、何が目的だったのか、結局のところ映画のなかでは明確にされておりませんが、彼女が魔女だということだけは確信があります。っていうか、ポランスキーはある時期からそういう映画ばかり撮っておりましたからね。

そのきっかけとなったのは、皆さんご存知、1969年に起こったチャールズ・マンソン率いるカルト集団による妻シャロン・テートの惨殺事件でありましょう。それ以降にポランスキーが撮った映画のほとんどが魔女の映画です。

『チャイナタウン』『テス』『赤い航路』『ナインスゲート』、ぜ~んぶ魔女をテーマとした映画。ただ『ナインスゲート』以降は徐々にそういう要素は減少していき、『ゴーストライター』にやや残り香があった程度。

しかしこの『毛皮のヴィーナス』は久々にあからさまな魔女映画節全開であります。以前と異なるのはもう少し達観して見られるようになったというか、魔女に魅入られた自分を笑いを込めて自虐的かつ客観的に映し出しているところですかね。

ポランスキーのマゾヒズム

「魔女に魅入られた自分」と書きましたけど、この映画の主人公はあきらかにポランスキー自身です。もう少し若かったら自分で演じたかったぐらいでしょうけど、そこは自分によく似た俳優のマチュー・アマルリックで我慢しておるようです。

しかしまたアマルリックが若い頃のポランスキーにそっくりなのですよ!そんな彼が謎の魔女に魅入られたことによって身ぐるみはがされていく。つくづくポランスキーとはマゾヒズムですな。この原作、戯曲に手を出したのもまさに必然。

マゾの語源がそもそもこの原作の作者であるマゾッホなわけでして、これまた確信犯的な性癖開陳であります。以前に紹介した『テナント/恐怖を借りた男』と同じ。そういえばあちらも魔女映画でしたな。

気弱な男がのっぴきならない状況に追い込まれ、右往左往し、自己の深層を覗かれ、暴かれ、思わず「俺は変態だ!変態で何が悪いんだ!」と叫んでしまう。『テナント』との大きな違いはそれを自虐的笑いへと昇華できている点です。

爆笑不条理ジェンダー映画

しっかしこれがまたとにかく笑えるのですよ!自己を投影した演出家の演出を映画として演出するという複雑な多重構造からして爆笑ですけど、この物語の主人公トマが体験するこれまた複雑怪奇な状況、変遷、結末の面白さは爆笑必至です!

このふたりの立場、主従関係、ジェンダーの目まぐるしい入れ替わりが恐怖とエロスと爆笑を醸成し、途中から何が現実で、どこからが舞台劇で、どれが真実でどれが嘘なのか、はたまた妄想なのか、トマにも観客にもよくわからなくなっていく。

そんなグチャグチャに入り組んだ様相のままでこれまた爆笑必至なラストの「キメ」へと突入する。これは実に現代的なジェンダー映画でして、ラストは究極の放置プレイです。男根主義者へのおしおきです。ああ~怖い!ああ~やられたい!

ものすごく印象的な音楽はやっぱりアレクサンドル・デスプラ。『ゴーストライター』以降の抜群のコンビ芸です。テーマ曲ともいえる9/4拍子の奇妙な怪しさとおかしさは必聴です!魔女降臨!いや、女神だったか?ってどっちでも一緒か。

個人的評価:8/10点

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