『オペラ座/血の喝采』(完全版)感想とイラスト 変態アルジェントの視線

映画『オペラ座/血の喝采』のイラスト

なんだよこの破綻しまくった脚本は!なんて怒り心頭のあなた。そんなこと言ってちゃアルジェントとは付き合っていけませんよ。その破綻しまくった適当な脚本すら楽しめるようにならないと。

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目次

『オペラ座/血の喝采』(完全版)感想とイラスト 変態アルジェントの視線

  1. 作品データ
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ有
    1. 駄作?いやいや傑作じゃん!
    2. アルジェントの美意識
    3. 意識的な視線
    4. 快楽としての惨劇
    5. 不完全ゆえに完璧な映画

作品データ

『オペラ座/血の喝采』
Opera/Terror at the Opera

1987年/イタリア/95分(劇場公開版)107分(完全版)
監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント/フランコ・フェリーニ
撮影:ロニー・テイラー
音楽:ブライアン・イーノ/ロジャー・イーノ/クラウディオ・シモネッティ/ビル・ワイマン/テリー・テイラー/スティール・グレイヴ
出演:クリスティナ・マルシラック/イアン・チャールソン/ウルバノ・バルベリーニ

解説

見たくないのに見ないことにはまぶたが突き破られてしまうというホラー映画です。

監督は『サスペリアPART2』のダリオ・アルジェント。主演は『さよならは言わないで』という映画でトム・ハンクスの相手役を務めたらしいクリスティナ・マルシラック。いつもどおりアルジェントの公私にわたるパートナーであるダリア・ニコロディも出演しております。

音楽はかなり多様な面子が顔を揃えており、ゴブリンの主要メンバーであるクラウディオ・シモネッティをはじめ、なんとあのブライアン・イーノまで参加してます!

あらすじ

上演するとかならず不幸を招くといわれる舞台劇『マクベス』。主演女優の事故により主役に大抜擢された新人のベティ(クリスティナ・マルシラック)は、不安と緊張のなか初舞台の日を迎えていた。

そんな彼女の姿を執拗に追い続ける視線。その視線はとうとうベティのすぐ近くまで接近し、強制的に血も凍る惨劇の目撃者とされてしまうのであった!

感想と評価/ネタバレ有

最近TSUTAYA発掘良品にハマっております。『カリフォルニア・ドールズ』『テナント/恐怖を借りた男』『呪われたジェシカ』『セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身』『ゾンビ・コップ』。

ぜ~んぶTSUTAYA発掘良品でレンタルしたものです。そして今回紹介する映画もその中から厳選した珠玉の一本、ダリオ・アルジェントの『オペラ座/血の喝采』であります。ちなみに完全版での鑑賞です。

駄作?いやいや傑作じゃん!

なんだかんだで未見だったこの作品。ダリオ・アルジェント監督作ですので、例のごとく脚本は完全に破綻しております。その破綻をすべて突っ込んでいったらいつまでたってもこの記事が完成いたしませんので、そういう野暮なことは棚の上に放り投げて忘れてしまいましょう。

だって面白いんですから!破綻が気にならない、いやその破綻すら愛おしくなってくるという、自分にとってのダリオ・アルジェント映画最高傑作でありました!

アルジェントの美意識

この映画の何が素晴らしいって、過剰なまでの美意識に貫かれた圧巻の映像群ですよね!物語の整合性やドラマ的盛り上がりはとりあえずこっちに置いといて、俺が撮りたい好きな映像をひたすら撮る!

映画の成否を最終的に決定するのは物語やドラマではなく、あくまで画の力であるという、実に正しいアルジェントのこの潔さ。それでは順を追ってその素晴らしい映像について語っていきましょう。

意識的な視線

冒頭、映し出されるのはいきなりカラスの視点。オペラハウス。舞台稽古。なぜかそこに鎮座する不気味なカラス。秀逸なオープニングであります。

そのカラスに怒り、イラつき、劇場を出て行こうとする主演女優の視線に寄りそった長回し。常に視線というものに意識的なアルジェントらしい見事な演出で、我々も見る、または見られているということに意識的にならざるを得ません。この女優の顔を徹底して映さないのも効いております。

そして起こる惨劇の予兆。主役の交代。通気口の怪しい影。不気味なオペラ。舞台裏の喧騒。これらを映し出していくカメラワークがいちいち素晴らしい!

やがて忙しく動き回っていたカメラは犯人の視線へとスライドし、執拗にベティを見つめる熱視線を我々も追体験させられてしまう。別に見たくもないのに。

快楽としての惨劇

「見たくもないのに見せられてしまう」これがこの作品のミソなのですよね。満を持して展開される最初の惨劇シーンにおける、「強制的に見せる」ということにこだわり抜いた犯人の並々ならぬ努力には頭が下がる思いです。

ジャケットやポスターでネタバレされている例のアレですね。見たくもないのに見ないことにはまぶたが穴だらけになってしまう。サディスティックに美少女をいじめ倒すダリオ・アルジェントの本領発揮です。

ゴブリンならぬ安っぽいヘヴィメタがガンガンにかかるなか、ベティの恋人に執拗に突き立てられる切っ先。真っ赤な鮮血。グサリと、そしてパックリと損壊されていく人体。悲鳴。クローズアップ。この悪趣味きわまりないB級ホラー的惨劇を、強制的に見せられてしまうベティと我々観客。

ベティの心中はとりあえず置いときまして、なんと楽しい時間でありましょうか!快と不快は紙一重。ボクのような変態には快以外の何ものでもありません!

さらにひとつの惨劇を通過したあとに繰り出される、この作品最大の白眉、覗き穴越しの狙撃!覗き穴を通過し、真相を見極めようとする観察者の眼球と頭部を貫通していく銃弾。飛び散る血しぶき。スローモーション。断末魔。砕け散る電話。

この悪趣味きわまりないシーンを、ひたすら残酷で、スタイリッシュで、美しく撮影したアルジェントの変態魂には敬服したします!しかも標的は内縁の妻ダリア・ニコロディ!

不完全ゆえに完璧な映画

ほかにも、オペラハウスを縦横無尽に飛び回るカラスの群れ。そのカラス視点によるカメラワーク。えぐられる犯人の眼球。それを喰らうカラス。見ることを常に強いてきた犯人の見せない行動。

一転して美しくも雄大なスイスの自然。そこを駆ける2頭のシェパード。ヘリコプター。鳴り止まないヘヴィメタ。終わらない惨劇。フェイク。解放。詩的な幸福感が妙な違和感と気持ちの悪さを醸成していくラスト。なんという不完全な完璧さ!

回収していない伏線。意味のない小道具。ミスリード。辻褄の合わない脚本。それら全部をひっくるめてこの映画は素晴らしい!想像してみてほしい。整合性のとれた脚本で完成したこの映画が、はたして本当に面白いのかどうか?

とっ散らかった脚本だからこそこの映画は面白い!不完全だからこそ完璧。そういう映画があってもいいじゃない!そんな映画が好きな変態がいてもいいじゃない!

しかし、いくら不完全だからこそ素晴らしい映画だといっても、絶対に劇場公開版で観ることはおすすめしません。かならず完全版で観てください。

隣に住む少女のくだりは百歩譲って許容範囲だとしても、重要なラストシーンのカットは絶対に許せません!あの妙な幸福感があるからこそこの映画は素晴らしいのです!だって、「なんじゃそりゃ!?」って突っ込みたいでしょ。

個人的評価:8/10点

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