『パージ』感想とイラスト 祭りはハジけてなんぼです

映画『パージ』のイラスト

すべての悪行が合法となる待ちに待ったパージの日。その夜、俺の獣性が解き放たれる。貴様らでは想像もできないような悪魔の所業をお見せしよう。そう、それはつまり、『ホーム・アローン』!

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目次

『パージ』感想とイラスト 祭りはハジけてなんぼです

  1. 作品データ
  2. 予告編動画
  3. 解説
  4. あらすじ
  5. 感想と評価/ネタバレ有
  6. 設定と演出との乖離
  7. バカな家族のバカな家族ドラマ
  8. 評価できるとこはないもんか?
  9. バカげた代替案

作品データ

『パージ』
The Purge

2013年/アメリカ/85分/R15+
監督・脚本:ジェームズ・デモナコ
撮影:ジャック・ジョフレ
音楽:ネイサン・ホワイトヘッド
出演:イーサン・ホーク/レナ・ヘディ/アデレイド・ケイン/マックス・バークホルダー

予告編動画

解説

1年に一度だけ開催される祭りは実はひたすら退屈だったというSFスリラーです。

監督は『交渉人』や『アサルト13 要塞警察』の脚本を務めたジェームズ・デモナコ。主演は『プリデスティネーション』のイーサン・ホーク。共演に『300<スリーハンドレッド>』のレナ・ヘディなど。

続編である『パージ:アナーキー』も日本では同時公開されました。

あらすじ

「新しいアメリカ建国の父たち」を名乗る全体主義者によって統治された近未来のアメリカ。社会秩序維持の名目により施行された、1年に一度だけ殺人を含むあらゆる犯罪が合法化される「パージ法」。これによって犯罪率と失業率は1パーセントまで低下し、アメリカはかつてないほど平和な時代を迎えていた。

そんな状況下の2022年3月21日、パージの日。ロサンゼルス近郊の富裕層地区に暮らすサンディン家。夫のジェームズ(イーサン・ホーク)はパージ用のセキュリティシステムのセールスマンで、今年の販売成績はトップを獲得し、妻のメアリー(レナ・ヘディ)とふたりの子供に囲まれた幸せな家庭を築いていた。

自身がセールスしている堅牢なセキュリティシステムによって守られた彼の城は、今年のパージも平穏無事にやり過ごせるはずであった。しかし、彼らの居住地区へと逃げ込んできたホームレスの男を匿ってしまったことにより、事態は思わぬ方向へと流れ出してしまう……。

感想と評価/ネタバレ有

人に宿りし獣の心。それを解放しても罪に問われないとしたらあなたならどうするだろうか?そんな年に一度の祭りがあったとしたら参加するだろうか?憎いあいつを、社会に不要なそいつを、邪魔者のこいつを、なぶり殺したとしても不問に付されるとしたら、あなたは武器を手にしますか?

そんな人間の本質を見極めようという壮大な試みがある映画なのかどうかはとりあえず置いといて、SF的設定のもとに行われる籠城戦って聞いただけでバカは燃え上がりますわな!どんな凄い阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されるのか!?というわけで、『パージ』の感想です。

設定と演出との乖離

もったいぶったところで仕方がないのでまず結論から。設定はよいとは思いますが、それをまったくもって活かしきれていない安くてヌルい凡作でありましたね。

この低いリアリティラインの設定に対して、やっていることがあまりにも小規模すぎますわ。こんなバカげた荒唐無稽の設定であれば、やるべきことはもっと大規模なバカ騒ぎであるべきでしょう?もっと趣向を凝らした、鬼畜どものお祭り殺戮ショーを展開させなければ嘘ですよ。

なのにこの映画が描いているのは、『パニック・ルーム』か『ホーム・アローン』?と思ってしまうような単なる侵入者どもとの単調きわまりない攻防がひたすら続くだけ。とにかくハジけんわけですわ。

こんなバカげた設定の映画なのに、否応なしに暴力の渦に巻き込まれた平凡な家族の葛藤と選択を描いたところで、「何やってんの?そっちじゃねーだろそっちじゃ!」と健全な精神を宿した観客から突っ込まれるのは必然であります。

バカな家族のバカな家族ドラマ

だいたい平凡な家族の葛藤と選択を描こうとしたところで、この映画の主人公であるサンディン一家が平凡な家族であろうはずがありません。なんでかって?それは揃いも揃ってバカばっかりだから!

バカ息子の後先考えない善意によって彼らの城に招き入れられた逃亡者をめぐる、あまりに不毛な議論と優柔不断には呆れ返ってしまいましたね。夫「引き渡せ!」妻「やだ!」。しばらくして、妻「引き渡せ!」夫「やだ!」。なんとまあ心変わりの俊敏な方々で。

しかもこの裏側には『わらの犬』のような明確な個人的思想があるわけではなく、単なる思いつきによる感情の揺れ動きでしかありません。要するに、なんの説得力もない。しかも最終的に選択するのは防衛という名の暴力。

じゃあここから『わらの犬』のような平凡な人間の暴力への衝動が描かれるのかといったらそうでもなく、やはり明確な思想のないバカがバカとバカな殺し合いを展開するだけ。しかもこの演出がとにかく単調。ホントに何をしたいわけこの映画?

評価できるとこはないもんか?

この手の設定の映画であれば、やはりバカな鬼畜祭りを描いてしかるべきところを、妙に真面目に社会問題を語ろうとして見事な空振り三振を喫している感じですね。こういうのがいちばん恥ずかしい。チラリズムがカッコいいのに。

SF的設定のもとでの籠城戦ということで、『ジョン・カーペンターの要塞警察』的なものを想像していたのに、ほとんど籠城戦してませんでしたね。あっけなく陥落。っていうかこの監督ってリメイク版の『アサルト13 要塞警察』の脚本担当してたのね。未見だけどその出来はもう推して知るべしですな。

数少ない評価ポイントは、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を彷彿とさせるパージの参加者たちのカット。なんとなく『ウィッカーマン(1973)』を思い出した彼らの祝祭。そのリーダーであるリース・ウェイクフィールドの顔芸ぐらいですか。

バカげた代替案

最後にボクからの代替案をひとつ。後半で予想どおりご近所さまも参戦してきたこのパージ合戦。だったら端からご近所戦争を題材にしたほうがよかったのでは?

この地区の財をかすめ取って成り上がったサンディンファミリー。ご近所さまの笑顔の裏に隠された嫉妬と憎悪。彼らはパージの日を心待ちにしていた。それを敏感に嗅ぎつけて我が家の防衛に抜かりのないサンディン家。

武装集団と化したご近所さまと、要塞と化したサンディンハウス。そして今日!ついに!笑顔で繰り広げられる血で血を洗う地獄のご近所戦争の火蓋が切って落とされるのであった!

うん。悪くない。こんなバカな設定の映画はこれぐらいバカな内容のほうがしっくりきますわ。パート3の製作も決まっておるようなので、ボクのアイデア採用してくれてもいいですよ。見てますか?ジェームズ・デモナコさ~ん!

個人的評価:3/10点

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『パージ』感想とイラスト 祭りはハジけてなんぼです
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コメント

  1. maki より:

    そうそう、このくだり…
    夫「引き渡せ!」妻「やだ!」。
    しばらくして、妻「引き渡せ!」夫「やだ!」。
    笑っちゃいましたよね。
    「私たちなにやってるの?」と良心に突然目覚め出し出す妻
    でもまあそもそも、富裕層の家庭は「安全」「安心」をモットーに、していたわけですから、その本当のパージの怖さは知らないのでしょうね
    続編、アナーキーは、ストリートに取り残された人々と復讐(パージ)を胸に秘めた主人公という設定で進むので、この一家攻防とはまた違った作品に思えます
    ただどちらが面白いかといわれれば、どちらも微妙ですかね
    でも少なくともハンガーゲームよりはましです。

  2. スパイクロッド より:

    makiさんコメントありがとうございます!
    あの夫婦のくだりには本当にずっこけてしまいましたね。まあこの夫婦が善良だという証拠でもあるんですけどね。ただこの「パージ」という制度に無関心だった証でもある。自分たちには関係ないと目をそらしていたツケなのでしょうか?
    続編のほうも微妙なのですか。観るかどうか悩むところですね。現状は保留といったところでしょうか。

  3. ミス・マープル より:

    おっしゃる通りご近所との血で血を洗う展開になったら、これこそ徹底したバカ映画だったのにね。時々善人になる妻と夫の姿やバカ小僧、反抗期真っただ中のJKなどが、イライラを募らせる要因になりました。
    でも2の方が面白いそうなので、早速見ようと思います。
    そもそもなぜ小僧はあの黒人男性を入れたのでしょうね。毎年の恒例行事なんでしょうにね。そこが不思議です。

  4. スパイクロッド より:

    ミス・マープルさんコメントありがとうございます!
    どうせ最後にそうするなら、初めからそれをメインにしたほうが面白くなったと思うのですけどね。こんなバカな設定の映画で暴力の前に苦悩する善良そうな小市民を描いても響いてきませんから。おっしゃるとおりこのバカ家族にはイライラしっぱなしでした。パート2を見るかどうかはボクはまだ不透明ですね。やっぱり後回しです。

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