『ロスト・バケーション』感想とイラスト サメが教えてくれたこと

映画『ロスト・バケーション』のイラスト

秘密のビーチで偶然出会ったあなた。あなたはそう、巨大な人喰いザメだった。あなたのおかげで私は生まれ変わった。私、私頑張るから!

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目次

『ロスト・バケーション』感想とイラスト サメが教えてくれたこと

  1. 作品データ
  2. 予告編動画
  3. 解説
  4. あらすじ
  5. 感想と評価/ネタバレ多少
  6. バカではない主人公
  7. 骨太B級サメ映画
  8. サメはやっぱ人喰ってなんぼ
  9. デスマッチの雌雄やいかに?
  10. B級に誇りを持て!

作品データ

『ロスト・バケーション』
The Shallows

2016年/アメリカ/86分/PG12
監督:ジャウマ・コレット=セラ
脚本:アンソニー・ジャスウィンスキー
撮影:フラビノ・マルティネス・ラビアーノ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ブレイク・ライヴリー/オスカル・ハナエダ

予告編動画

解説

上半身と下半身が「さようなら」してもしばらくは人間って動けるんだなぁと、人体の神秘に心ワクワク胸ドキドキ躍らせるみんな大好きサメ映画です。

監督は『エスター』『ラン・オールナイト』のジャウマ・コレット=セラ。脚本を『リセット』のアンソニー・ジャスウィンスキーが担当。主演は『デッドプール』の「俺ちゃん」ことライアン・レイノルズの嫁、ブレイク・ライヴリー。

あらすじ

休暇を利用してメキシコを訪れた医学生のナンシー(ブレイク・ライヴリー)。彼女の目的は亡き母の思い出のビーチでサーフィンをすることだった。地元のサーファーしか知らないその場所は、想像を超える美しさと理想の波で彼女を迎えてくれた。

しばし現実と時がたつのも忘れ、サーフィンに没頭するナンシー。しかし突然、海中で何かの攻撃を受けて足を負傷してしまう。必死で近くの岩場へと避難するものの、彼女の左腿には深くて大きな傷口がパックリと開いていた。

しかしそれ以上に彼女を恐怖のどん底へと叩き落したのは、岩場の周囲を悠然と泳ぐ巨大なサメの姿だった。満潮になれば岩場は沈む。岸までの距離はおよそ200メートル。絶望と恐怖のなか、生きるために決死の闘いを開始する彼女だったが……。

感想と評価/ネタバレ多少

我ら映画バカが暑い夏を乗りきるための栄養ドリンク、つまりはB級サマームービー。近年では『ピラニア3D』なんかがその系譜ですが、夏といえば海。海といえばサメ。サメといえばB級、いやさC級と最近では相場が決まっております。

いまやポンコツ映画愛好家の慰みものでしかなくなったサメ映画というジャンルに、満を持して殴り込みをかけたジャウマ・コレット=セラ。個人的な意見ですが『オープン・ウォーター』以来の観る価値があるサメ映画ではなかろうかと。

正味80分程度のサクッとした上映時間のなかで、水着の美女と巨大な人喰いザメがしっぽりと濡れながら情熱的にたわむれる。つまりは我ら映画バカにとっての元気ビンビン栄養ドリンク。ああ~これで今年の夏もなんとか乗りきれそうだわ。

バカではない主人公

物語は地元の少年が波打ち際をコロコロしているヘッドカメラを拾うところから始まります。そのカメラには戦慄の恐怖映像と重要な情報が収められているわけなんですが、この時系列が逆転した導入部は『ラン・オールナイト』を思い出させます。

時間はさかのぼって車中のナンシー。どうやら親切な地元民カルロスの運転で秘密のビーチへと連れて行ってもらっている模様。ここでの携帯画像の処理なんかは『フライト・ゲーム』を思わせる。使い回しというよりかは監督の芸風なのでしょうね。

そんな監督の芸風をぬけぬけと開陳している冒頭部分と、秘密のビーチで遭遇した地元サーファーとのやりとりで、この映画の主人公ナンシーのキャラクターをうまいこと表現しております。要約してしまうと彼女は「バカ」ではない。

人並み以上の知性と、用心深さと、最愛の母を失った悲しみを有した女性。それがナンシー。医学生という設定はややご都合的でもありますが、この手の映画における定番アホキャラがてめえの自業自得でご無体な目に遭うバカ映画ではないということ。

骨太B級サメ映画

低予算だからと開き直って笑いに逃げたB級映画ではなく、低予算でも真面目にサメと美女と残虐と生きることの意味に挑んだ骨太B級映画というわけ。背伸びをしてしているわけではなく、あくまでB級としての面白さを追求している骨太さなの。

水と、波と、陽光の美しさ。それを真俯瞰でとらえた印象的なショット。自然の美しさを芸術的に映し出すA級的な演出ではありますが、これとてのちの血なまぐさい惨劇の伏線なわけであり、自然がもつ美と醜を端的に表した見事な仕事だと言えます。

そんな美しい天国のような映像のなか、いつ来るか?ここで来るか?ついに来るか?というタイミングもまた絶妙なの。焦らしすぎず急ぎすぎずのホントにいい塩梅でして、B級職人としてのテクニックにいよいよ磨きがかかってきたって感じですね。

そしてついに襲い来る奴の衝撃!サメ映画の古典である『ジョーズ』よろしく、序盤の奴はその姿をあくまでチラリズムにとどめており、見せない恐怖と不安という古典的B級魂を継承した骨太さがここでもかいま見れます。

サメはやっぱ人喰ってなんぼ

映画の骨組みがしっかりとしているということは、つまりは残虐描写にも容赦がないということ。ここで逃げるようなヘタをこいては骨太B級サメ映画の名がすたるってもんですわ。というわけで痛いです。んでもって食べられます。

まあ人喰いザメの映画なわけだから人喰ってなんぼなわけでして、明らかに喰われるために用意されたバカなキャラクターというものが存在するわけですけど、呑んだくれの盗人親父の痛快な最期なんてのはなかなか眼福でしたよね。

喰われる瞬間はナンシーのアップにかぶさるバリバリボキボキ断末魔にとどめ、見せない恐怖でこちらによからぬ想像をさせながら、「あれ?残念。生きてたの?」と油断させた直後の人体分離映像の開陳。いや~眼福だわ。

その後の地元サーファー踊り食い事件、海中引きずり込みの刑などもうれションものですが、やはりこのサメ君の真骨頂はストーカー的に水着美女ナンシーを執拗に狙い続ける、律義かつダイナミックなあふれんばかりの男気にあるのです。

デスマッチの雌雄やいかに?

そんな変態ストーカー人喰いザメにロックオンされてしまった哀れなナンシー嬢。彼女とサメとのどちらが生き残るかの究極デスマッチ。後半の怒涛のサメラッシュ、そして生き残るために知恵を絞るナンシーとの死闘は血が沸き、肉が踊ります。

ここで活きてくるのがナンシーは「バカ」ではないということ。感情移入できない阿呆が自業自得で陥った危機ではなく、我々と同じ普通の人間が偶然にも絡めとられてしまった不測の事態。自然の猛威。出来れば助かってほしいと切に願う。

バカではない知性を振り絞って生き残るための方策を懸命に探すナンシー。そしてチラリズムをかなぐり捨ててダイナミックにナンシーに襲いかかる人喰いザメ。その全貌をいよいよあらわにしたことにより、彼が歴戦の猛者だとわかる仕掛けも秀逸。

はたして水着美女と巨大人喰いザメ、両者の雌雄やいかに?未見の方のためにここらでネタバレは控えておきますが、この異種格闘技戦には素直に燃えましたよ!

B級に誇りを持て!

ほぼひとり芝居といえる難しい役どころをブレイク・ライヴリーも頑張っておりました。彼女が絶望的な状況のなかでも必死に生き続けようとするドラマは、B級サメ映画というジャンルを骨太に変換した一要素だったと評価できます。

ただひとつだけ文句を言わせてもらうと、このサバイバルドラマを『ゼロ・グラビティ』になぞらえて監督自身が語ってしまったことはいかがなものか。あちらはA級。こっちはB級。はっきり言ってしまえば、B級にはそんなドラマいらねえんだよ!

ひとりの女性が生きる力を取り戻していく再生のドラマ。これをややアンバランスにゴリ押ししてしまったことにより、骨太B級サメ映画としての価値が損なわれてしまった。こう残念がるのは頭のおかしい僕だけだろうか?

そういう要素はあってもいいんだけどあくまで隠し味程度に抑えておくべきだった。そしてこの映画を気に入った観客がその要素を口コミで広めてくれることを待つべきだった。B級を恥じてはいけないよ。だってこんなに面白いだから!

個人的評価:7/10点

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