『殺されたミンジュ』感想とイラスト 早い安いはうまくない

映画『殺されたミンジュ』のイラスト


ミンジュを殺したのは誰なのか?それはお前であり、あなたであり、ボクであり、私である。わかるよ、わかるんだけど、雑なコスプレごっこじゃ響いてこないよ!

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目次

『殺されたミンジュ』感想とイラスト 早い安いはうまくない

  1. 作品データ
  2. 予告編動画
  3. 解説
  4. あらすじ
  5. 感想と評価/ネタバレ有
  6. 死にかけ民主主義
  7. 雑すぎる映画制作
  8. 私は誰でもある

作品データ

『殺されたミンジュ』
일대일/One on One

2014年/韓国/122分/R18+
監督・脚本・撮影:キム・ギドク
出演:マ・ドンソク/キム・ヨンミン/イ・イギョン

予告編動画

解説

コスプレ集団が拷問ごっこで韓国の民主主義をあぶり出すサスペンス・ドラマです。

監督・脚本・撮影・編集とほとんどの仕事をひとりでこなしているのは『嘆きのピエタ』の鬼才キム・ギドク。主演は『群盗』のマ・ドンソク。共演に『春夏秋冬そして春』のキム・ヨンミン、『パイレーツ』のイ・イギョンなど。

あらすじ

とある5月9日の夜。ソウル市内で女子高生のミンジュが数人の男の手によって惨殺される。しかし事件は表沙汰になることはなく、闇へと葬り去られていった。

1年後。ミンジュの殺害にかかわった男(キム・ヨンミン)が正体不明の武装集団によって拉致される。リーダーらしき男(マ・ドンソク)の執拗な拷問により、事件の夜に自分がしたことをすべて書かされた男は、無残な姿で解放される。

謎の集団はその後も事件にかかわった容疑者たちを拉致しては、拷問によって自白を強要していくのだったが、次第に暴走していくリーダーの姿にメンバーたちも疑問を抱き始め……。

感想と評価/ネタバレ有

レンタルDVDにて鑑賞。キム・ギドクの映画は『サマリア』と『嘆きのピエタ』しか観たことがありません。しかもどちらもあまり好きではない。そんなボクがなぜこの映画を観ようと思ったのか?それはジャケットがカッコよかったから。

押井守の『紅い眼鏡』や『ケルベロス 地獄の番犬』を思わせる、プロテクトギア的なものに身を包んだ男のシルエットがボクのフェティシズムを刺激したから。もしかしたら好きなたぐいの映画かもしれない。そんな勘違いをしたわけなの。

死にかけ民主主義

物語としては特に複雑なものがあるわけではない単純なもの。殺された少女と、それの報復をしようとする謎の集団と、拉致拷問される加害者たち。ここにはたいした謎も、どんでん返しもありません。あるのはテーマとメッセージのみ。

殺された少女の名は「ミンジュ」。これの意味は韓国語で「民主」。要するに「殺された民主主義」というわけ。一部の支配層(独裁者)による理由もよくわからない指示が下々へと伝わり、無残にも殺された無力な少女(民主主義)。

現在の韓国社会で、ひいては世界中で起きつつある民主主義の危機を、ミニマルな状況へと落とし込んで告発しておるわけでありますな。民主主義を破壊する顔の見えない責任者を、命令に従うだけの犬を、圧政を甘受している我々を。

雑すぎる映画制作

映画のテーマ、伝えたいメッセージに対してはそれほど異論はありません。あるのはこのあまりに安っぽくて雑な映画制作に対するスタンスについて。聞けばこの映画、かなりの低予算なうえにわずか10日間で撮影を完了したとのこと。

少ない予算。早撮り。それでも傑作が出来上がることはある。しかし撮りたい映画が山ほどあるからといって、撮影と編集まで監督自らがこなしたこの映画は傑作になったのだろうか?申し訳ないがボクには安いコントにしか見えなかった。

テーマとメッセージを饒舌に喋り倒す会話劇。コスプレごっこ。ぬるい拷問。明らかな撮影ミス。どう考えても雑すぎでしょう。だいたいこの手の映画にしてはちょっとわかりやすくセリフによってテーマを説明しすぎではないですか?

なんか言葉として明確にされてしまうと、あんまり心に響いてこないんですよね。責任の所在が不明になる縦の構造にしても、謎の組織の底辺描写についても同様。親切すぎるわかりやすさは映画のテーマを安っぽくしてしまう。

好意的に解釈してみればそれこそが狙いだったとも取れますけどね。言葉にすればするほどむなしくなってくる。饒舌な説明ゼリフの多用によってそのむなしさを強調してみせる。まあどっちにしてもボクはこの映画を支持しませんけどね。

私は誰でもある

民主主義を殺しにかかっている顔の見えない権力者。縦の構図。その境遇を甘んじて受け入れる牙を抜かれた弱者。圧政に対するテロリズム。やりたいことはわかる。言いたいことは理解できる。でも映画としてまったく面白くない。

だいたいこういう重たいテーマを表現するために、コントまがいのコスプレぬるぬる拷問劇という安くて雑な状況を選択したのがいただけない。これも好意的に解釈すれば弱者による気晴らしの「ごっこ」でしかないってことかもしれないけど。

ミンジュ(民主)殺しの加害者であり、コント拷問の第一の被害者でもあるキム・ヨンミン演じる男。このキム・ヨンミンは謎の集団を私生活で虐げ続ける小さな独裁者も演じておるのです。つまりはひとり8役を演じているというわけ。

これもまたややこしい話なのですが、つまりは映画のラストで映し出される「私は誰なのか?」という問いに対する答えというわけ。これにも大きな異論はないのですけど、ホクロ付けただけで別人を演じるって、それこそコントやんけ!って話。

どれだけ大層なテーマを掲げようとも、それが単なるコント、「ごっこ」にしか見えないのであればたいした意味はない。ボクが期待したような血塗られたプロテクトギアは、ここには存在していなかったということなのです。

個人的評価:3/10点

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『殺されたミンジュ』感想とイラスト 早い安いはうまくない
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コメント

  1. ミス・マープル より:

    これは予告編がすごく不気味だったんですが、ネットでの評価があまり高くないので、レンタルを見送っていました。
    そうか、この映画は低予算&早撮りだったんですね。そこに価値のある作品もありますが、そうではなかったのですね。
    なら敢えて重いテーマにせず、普通の未解決事件ものにすればよかったのになあ。
    とても参考になりました。

  2. スパイクロッド より:

    ミス・マープルさんコメントありがとうございます!
    ネットでの評価はけっこう割れているようですね。ボクのようにあまりに雑すぎると言っている人もいれば、その雑さを超える熱量を誇る映画だと評価しておられる方もいる。結局のところ、キム・ギドクという監督が好きかどうかなのかな?ボクはもともとあまり好きではなかったので、安さと雑さとわかりやすさしか感じられませんでした。マープルさんも気が向きましたら暇つぶしにでも観てみてください。ボクの感想なんて鼻クソほどの参考価値しかありませんので(笑)。

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