『見えない恐怖』感想とイラスト 見せない恐怖

映画『見えない恐怖』のイラスト

今日も闇夜を闊歩する、俺のイケてる星形ブーツ。カツカツコツコツ。どうだい颯爽としたもんだろ?おっと、なんだよあの車。俺のブーツに泥をぶっかけるなんて許しちゃおけないな。カツカツコツコツ。いっちょ目にもの見せてやろう。

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目次

『見えない恐怖』感想とイラスト 見せない恐怖

  1. 作品データ
  2. 解説
  3. あらすじ
  4. 感想と評価/ネタバレ無
  5. 殺人ブーツ
  6. 見えないと見せない
  7. 美少女イジメ
  8. 盲目サスペンス

作品データ

『見えない恐怖』
See No Evil/Blind Terror

1971年/イギリス/88分
監督:リチャード・フライシャー
脚本:ブライアン・クレメンス
撮影:ジェリー・フィッシャー
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ミア・ファロー/ノーマン・エッシュリー

解説

星の付いたブーツにやがて殺人犯としての人格が宿る盲目を主題としたサスペンス・ミステリーです。

監督は前回紹介した『10番街の殺人』の職人リチャード・フライシャー。なぜかイギリスに渡って撮り上げた猟奇もののうちの一本です。主演は『ローズマリーの赤ちゃん』のミア・ファロー。音楽を担当したのは『レマゲン鉄橋』のエルマー・バーンスタイン。

あらすじ

映画館から出てくる星の付いたブーツの男。颯爽と夜の街を歩く彼の自慢のブーツに、車がはね上げた泥がかかる。その車は退院した盲目の少女、サラ(ミア・ファロー)を迎えに来た叔父の車だった。

同居している叔父一家の邸宅へと久々に帰って来たサラは、少し戸惑いながらも自由に邸内を歩くことができた。翌朝、競走馬の厩舎を管理する恋人のスティーヴ(ノーマン・エッシュリー)との再会で、傷ついた心を少し癒したサラは、彼との久々の乗馬を楽しむ。

夕方になって帰宅したサラだったが、家にはまったく人の気配がしなかった。叔父一家はまだ外出先から戻っていないのだろうと思い、そのまま眠りに落ちる彼女。しかしこのとき邸宅の中では、ある恐ろしい惨劇が起こったあとだったのだ!

感想と評価/ネタバレ無

職人監督リチャード・フライシャーがイギリスに渡って撮り上げた2本の猟奇サスペンス。『10番街の殺人』とこの『見えない恐怖』。ともにTSUTAYA発掘良品での取り扱いが始まりましたので、さっそく2本同時にレンタルしてみました。

天才的センスでオールジャンルをこなした職人フライシャー。なかでも猟奇ものには並々ならぬこだわりがあったようで、手を変え品を変え、さまざまな手法でこのジャンルの傑作を生み出してきました。

今度はどんな武器を携えて戦いへと臨んできたのか?それでは盲目サスペンス『見えない恐怖』の感想です。

殺人ブーツ

実話の再現として徹底したリアリズムを貫いた『10番街の殺人』に対して、映画的ケレンを出し惜しみなく発揮しながら、イギリス的な陰湿さも併せ持った美少女追込みサスペンス。映画的面白さなら『10番街の殺人』よりこちらに軍配が上がります。

目の見えない主人公と、あえて見せない演出。これがなんともスリリング。そして不気味。やはり白眉なのはスピルバーグの『激突!』よろしく、ジーンズに星形の付いたブーツを履いた犯人の下半身しか見せないという演出。

これによって得体の知れない不気味さを醸し出しておるのですけど、いつしかこの星形ブーツ自体が殺人鬼としての人格を宿している、いや、この星形ブーツ自体が殺人鬼であるように錯覚していくあら不思議。これがなんとも面白い。

このブーツ自体が見事に犯人の心情まで代弁しておるのですよね。自己陶酔、不敵さ、怒り、不安。特に不安の描写が秀逸です。殺人後に自宅のベッドに横たわりながら、不安から落ち着きなく動き回る姿は爆笑ものです。こいつちっちぇ~。

見えないと見せない

そんなちっちぇ~殺人ブーツによって、特にこれといった理由、動機もなく一家惨殺されてしまった主人公が身を寄せる叔父一家。「俺(ブーツ)に泥ぶっかけた!」が動機ともいえますが、この映画の場合それはどうでもよいのですよね。

必要のないものは描かない。それが恐怖を増幅させる。前述した『激突!』と同じですな。そんな一家惨殺の現場へと、そうとは知らずに帰宅した主人公のサラ。ここでの目の見えない主人公、あえて見せない演出がとにかく秀逸。

何も知らずに殺人があったはずの屋敷を歩き回る主人公の姿。この現場や死体の見せ方がとにかく気持ち悪いというか意地が悪いというか上手い。不安定なローアングルの構図。小道具の巧みな使い方。そして死体の隠れ方と出し方。

目の見えない彼女は、そこに死体があると気づかず呑気にくつろいだりしとるわけですね。いや~気持ちが悪い。しかし我々観客はその事実にすでに気づいてしまっておるので、「志村後ろ!」よろしくジレンマにより身悶えてしまうわけであります。

美少女イジメ

そんな目の見えない薄幸の美少女(という年でもないが)を演じるのが、『ローズマリーの赤ちゃん』のミア・ファロー。『ローズマリー』での追い込まれ演技も素晴らしかったですが、この『見えない恐怖』でのイジメられ演技も凄い!

彼女の線が細い神経質そうな特性を活かした見事な配役です。少々語弊があるかもしれませんが、追い込まれ、追いつめられ、イジメ倒されている姿がとても絵になる。というかそそられる。我の内に眠る加虐趣味が刺激される。

なんて危ない話は置いといて、ボクはともかくこの映画におけるフライシャーは完全なるサディストですね。ミア・ファローをイジメて楽しんでおります。屋敷の中だけでは飽き足らず、この手の映画では珍しい屋外においても追い込みをかけまくり。

てっきり屋内だけで話が展開するものだとばかり思っていましたので、この変化は非常にいいアクセントになってましたね。しかもこっからの追い込み加減がこれまた酷い!いや凄い!あまりにご無体な仕打ちの連続なのです。

盲目サスペンス

そんな薄幸の美少女の運命やいかに!?というわけで未見の方のためにオチは伏せておきますが、最後の最後まで目が離せません。まあ見せないことに最後までこだわってもよかったかとは思いますが、ラストショットはなかなかに必見です。

ミア・ファローがイジメ倒されてビビりまくりの演技がなんとも真に迫っており、ホントに嫌な恐怖とスリルを味わえるアメリカ的ケレンとイギリス的陰湿さが合わさった秀作スリラーだと思いますよ。リチャード・フライシャーのシリアルキラーものにハズレはありません。

盲目サスペンスとしてはほかに『ヴィレッジ』や『ブラインド・フィアー』なんかがありますが、もうこの『見えない恐怖』の圧勝でありますな。有名どころではオードリー・ヘプバーンの『暗くなるまで待って』なんかもありますが、恥ずかしながら未見なのです。

どうにも悪趣味な人間でしてヘプバーン嫌いなんです。『ローマの休日』も好きじゃない。でもこれを機会に『暗くなるまで待って』は観てみようかな?食わず嫌いはお母ちゃんに叱られますから。

個人的評価:7/10点

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