『バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋』感想とイラスト カッタッパ!

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映画『バーフバリ 王の凱旋』カッタッパのイラスト(似顔絵)

親子二代にわたる歌って踊って天下無敵のバーフバリ伝説ここに完結す!英雄、暴君、烈女たち神々の叙事詩から浮かび上がってくるのは、我らが、我らが我らがカッタッパ!

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作品情報

『バーフバリ 王の凱旋』

  • 原題:Baahubali 2: The Conclusion
  • 製作:2017年/インド/141分
  • 監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
  • 撮影:K・K・センティル・クマール
  • 音楽:M・M・キーラヴァーニ
  • 出演:プラバース/ラーナー・ダッグバーティ/アヌシュカ・セッティ/ラムヤ・クリシュナ/サティヤラージ/ナーサル/タマンナー

参考 バーフバリ 王の凱旋 – Wikipedia

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

てなわけで『バーフバリ』の後編『王の凱旋』の感想です。前作から引き続き、カッタッパが語る父バーフバリの偉大なる伝説とその終焉、そしてすべてを知った息子シヴドゥによる、悪の元凶、暴君バラーラデーヴァとの最終決戦を描いた壮大なる叙事詩の完結編。

前作を超える圧巻のスケール、歌と踊りと血まみれの一大絵巻、容赦ない決めカットとスローの嵐、古今東西で大地を震わす嫁姑戦争、そして「カッタッパ!」をシヴァガミの眼球もさらに飛び出すイケイケドンドンで描いた本作もまた前作同様、圧倒的な面白さ。

その面白さの根幹をなすのはやはり父バーフのありえない英雄伝説にあり、それをただ継承しただけの息子バーフとの器の違いは歴然で、カッタッパの主観によって過剰に美化されているであろう父バーフの愛と、勇気と、信念と、筋肉から目が離せないのであります。

神々の世界における人間

蛮族カーラケーヤとの戦いに勝利し、マヒシュマティ王国の正当な次期国王となったバーフバリ。そんな彼とデーヴァセーナの出会いと恋。それに伴う苛烈なる嫁姑戦争。その裏でバーフ失脚を画策するバラーラデーヴァの陰謀。そして突きつけられるカッタッパの決断。

前作ではやや駆け足だったシヴドゥとアヴァンティカの恋愛成就に対して、しっかりと時間をとった父バーフと若きデーヴァセーナとの恋の高鳴りは、それが結実した無限増殖ふたりで三本弓矢のロマンティックな殺戮劇が最高で、どうにもこうにもロマンティックが止まらない!

父バーフ&デーヴァセーナ、そして父バーフ&カッタッパの共闘が本作の見どころだと言っても過言ではないでしょう。前作ではとことんハードな哀愁を振りまいていたカッタッパが、バーフとの珍道中でお茶目なおじ上としての笑いに開眼していた点も見逃せません。

そんな我らが愛すべきカッタッパが、苛烈な嫁姑戦争、狡猾な王位継承争いの渦中へと巻き込まれ、やむなき決断へと迫られる姿は痛ましくて観ていられません。心から愛していた我が子を、この上ない親友を、生涯仕えるべき王を、この手にかけなければならない非情な選択。

このバーフバリ一大叙事詩は、人間離れした英雄、暴君、烈女たちが奏でる爆音のなかでひたすら踊り狂わされる人間カッタッパのドラマだとも言えるでしょう。我々と同じただの人間が目撃した神々の世界は、その壮大な伝説ゆえにただの人間を照らし出す。カッタッパ!

王を称えよ!そして…

そして舞台はシヴドゥの時代へと戻り、すべてを知った彼がマヘンドラ・バーフバリとして決起し、父のかたきであり国を汚す悪魔でもある暴君バラーラデーヴァとの復讐の最終決戦へと雪崩れ込むわけですが、まあこのクライマックスは一種のおまけ、サービスみたいなもの。

確かに奇想天外な戦術、スローにスローを重ねる超絶決めカットの嵐、ついに覚醒したマヘンドラ・バーフバリの天下無敵はクライマックスにふさわしいモリモリアゲアゲですが、それはまだ父バーフの威光を借りたかりそめの勝利であり、父の伝説には遠く及びません。

さまざまな自らのドラマを背負ったうえで、巨大な悪と対峙したアマレンドラ・バーフバリの前ではただの伝説の卵。ゆえに壮大な叙事詩のラストとしてはやや盛り上がりに欠けるのですが、まあこれは致し方ないかな。マヘンドラの伝説はここから始まるわけだから。

この勝利によってやっとここから始まるマヘンドラ・バーフバリの伝説。そしてその傍らに生涯立ち続けるであろう我らがカッタッパ。皆の者!我らの新たな王マヘンドラ・バーフバリを称えよ!そして!彼の伝説の礎となるであろう我らがカッタッパを!カッタッパを称えよ!

個人的評価:7/10点

DVD&Blu-ray

VOD・動画配信

『バーフバリ 王の凱旋』が定額見放題なおすすめ動画配信サービスはNetflix(2019年1月現在。最新の配信状況はNetflixのサイトにてご確認ください)。

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コメント

  1. わるいノリス より:

    忠義スライティングをするカッタッパに一目惚れし、
    ノリノリで三文芝居を演じるカッタッパに我が子の様な愛おしさを感じ、
    返り血まみれで国母に怒りをぶつけるカッタパに涙が止まらなくなる。
    そんな僕のベストカッタッパはバーフとデーヴァセーナの婚約が決まり二人の繋いだ手を今すぐにでも昇天しそうな満面の笑みでフルフルと見つめるカッタッパです!

    今時の悩むヒーローをあざ笑うかのごとく筋肉だけ解決する爽快さや、
    お国柄全開からの大ボリュームのコーラス挿入曲の振り切れたアゲアゲ演出、
    しかしよく見ると複線、というよりシーンのリフレイン・対比によるカタルシスの数々等、
    娯楽作品としての本質をとんでもなく研究・追求している作品だと分かり、この偉業を崇拝したくなる気持ちから今ではすっかりマヒシュマティ国民ととなってしまいました。
    特に火鉢のシーンは私の映画史上最高にアガる宣戦布告シーンでした。お前ソレ、ここでやるかっての!マヘンドラが最後に取る武器も復讐の意味としてアツい!

    長くなりましたが最後にこの映画を取り上げてくれて感謝します!ジャイホー!

    • スパイクロッドスパイクロッド より:

      わるいノリスさん、コメントありがとうございます!

      まず何より、この映画をリクエストしていただいて本当にありがとうございます!気にはなっていたものの、インド映画初心者ということもあって迷っていた背中を力強く押していただき、こんな素晴らしい映画体験ができたことを心から感謝いたしております。本当にありがとう!

      おっしゃるとおり、娯楽映画としていかに観客を楽しませるか、飽きさせないか、驚かせるかを非常に考え抜いたただの筋肉バカではない作品で、これは膨大な数の映画が製作・公開されているインドという土壌で成功するために鍛え抜かれた賜物なのですかね?実はこの映画で最も驚いたのは、本文には字数の加減もあって書かなかった女性たちの描写なのですよね。単なる英雄や暴君の添え物ではない、強烈な個性と力と意思をもったなんとも力強い女性像。時折よくない噂も流れてくるインドにおいて、スーパーフェミニズムとも言える女性の活躍を描いたこの作品には素直に驚きました。デーヴァセーナが痴漢の指をぶった切るシーンなんて最高です!そしてバーフの不埒な犯罪を許さないお見事な首チョンパ!ただ守られる、救われるだけではない自立した女性たちの輝きもまた、この『バーフバリ』という映画の大きな魅力のひとつだったと思います。

  2. star より:

    更新お疲れ様です

    自分も、日本での上映開始当初はスルーしていたのですが、周囲からのあまりの評判の高さに劇場に馳せ参じたところ、劇場を出る頃には立派なマヒシュマティ国民にw
    世界観の魅力、キャラクターの魅力、それを補強する映画的演出の数々と非常に緻密に作られた脚本
    まさにこれこそがエンターテイメントそのものです
    エンターテイメント大作でこれほどまでの感動を覚えたのは、パシリムやマッドマックス以来かもしれません

    あと、女性の描き方の素晴らしさについても同意です
    インドでは何かと女性に対する酷いニュースを聞くことが多いですが、エンターテイメントの中心にいる監督がこれほどまでに素晴らしい女性像を描き、またそれが広く受け入れられているというのは、インドの女性観も変わりつつあるという現れなのかもしれませんね

    しかしスパイクロッドさん、カッタッパはただの人間と言うには常人離れして強すぎだと思いますw
    勿論、カッタッパは最高のキャラであり、私も大好きですが、この作品の主要人物でただの人間に最も近いのは、デーヴァセーナの従兄のクマル・ヴァルマではないでしょうか
    最初は家名の威を借りて虚勢を張ることしか出来なかった男が、真の王と出会うことで勇気と実行力を持つ
    しかし、その勇気と実行力、そして王への愛が自分と王を破滅させてしまうという皮肉
    私はあのシーンは辛すぎて見ていられませんでした
    いくらなんでもビッチャラデーヴァを簡単に信用し過ぎという人もいるかもしれませんが、それもクマルの善性故だったのでしょう
    なので、現代編では彼について全く触れられなかったのが少し不満でした

    • スパイクロッドスパイクロッド より:

      starさん、こちらにもコメントありがとうございます!

      エンターテインメントの力強さを改めて叩きつけられた快作で、「映画を観るとはこういうことだ!」と久方ぶりに思えたような気がします。ボクはカッタッパに思い入れが強すぎたのかもしれませんが(笑)、確かに彼も十分に人間離れした超人ではありましたね。しかしまあ周りがアレですから、神の前では超人ごときは人間と変わらんということで。

      おっしゃるとおり、この映画で最も人間らしい、いわゆる人間臭さを見せてくれていたのはクマルかもしれませんね。単なるコメディリリーフ的な役割かと思われた彼が、バーフの力強くも情け容赦ない後押しによって覚醒する姿はボクもボロ泣きでした。ここで得た勇気と実行力が、のちの悲劇を呼ぶという残酷さも見逃せません。現代編で彼へと触れられないのは確かに不満ですが、これはやはり神々の物語ですので致し方ないのかもしれません。でも彼の情けなさと活躍と最期をしっかとこの目に刻んだ『バーフバリ』ファンはきっと大勢いたことでしょう。クマルの勇気をたたえて抱擁を交わすバーフとの信頼と絆が今でも思い出されますなぁ(涙)……。