『ゾンビ・コップ』感想とイラスト 来世は女性用自転車のサドル

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映画『ゾンビ・コップ』トリート・ウィリアムズとジョー・ピスコポのイラスト(似顔絵)

いきなり主人公死亡!んでもってゾンビとして復活!最後は「女性用自転車のサドルになりたい」だと!なんだその映画は!?それが『ゾンビ・コップ』だバカ野郎!

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作品情報

ゾンビ・コップ

  • 1988年/アメリカ/86分
  • 監督:マーク・ゴールドブラッド
  • 脚本:テリー・ブラック
  • 撮影:ロバート・D・イェーマン
  • 音楽:アーネスト・トルースト
  • 出演:トリート・ウィリアムズ/ジョー・ピスコポ/リンゼイ・フロスト/クレア・カークコンネル/ダーレン・マクギャヴィン/ヴィンセント・プライス

参考 ゾンビコップ – Wikipedia

解説

焼き豚ゾンビのテカテカボディとかぐわしさに思わず喉を鳴らしてしまうSFホラーコメディアクションです。

監督は近年でも『チャッピー』『猿の惑星:創世記』などの編集を手がけた現役編集マンのマーク・ゴールドブラッド。主演は『ザ・グリード』のトリート・ウィリアムズと、人気コメディアンのジョー・ピスコポ。

共演には『モノリス』のリンゼイ・フロスト、人気ドラマ『事件記者コルチャック』シリーズのダーレン・マクギャヴィン、『肉の蝋人形』や『アッシャー家の惨劇』で知られるクラシックホラー界三大スターのひとりヴィンセント・プライスなど。

あらすじ

連続強盗事件を捜査するロス市警のロジャー(トリート・ウィリアムズ)とダグ(ジョー・ピスコポ)の問題刑事コンビ。事件の犯人たちがすべて「死人」であった事実をつかんだふたりは、その裏側で暗躍する巨大製薬会社へと潜入を敢行。

しかし、その捜査過程でロジャーがまさかの殉職!しかししかし、その会社に隠されていた死体蘇生装置によってゾンビとして復活した彼は、ダグとともに怒りの大逆襲を開始するのだった!

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感想と評価/ネタバレ多少

何やら最近は古いB級映画のレビューばかりが続いておりますが、すべてはTSUTAYA発掘良品の仕業です。特にここ最近のラインナップは充実しすぎで、こればっかりレンタルしまくっておるのです。TSUTAYAの術中にまんまとハマっておりますな。

てなわけで、本日ご紹介するB級映画はボクが洟垂れ小僧のときに嫌ってぐらいテレビで放映されていた、ゾンビとポリスアクションとを融合させたおバカな珍作『ゾンビ・コップ』であります。

出来は悪いが面白い?

まず初めに断っておきますと、この映画けっして出来がいいとは言えません。特に監督が編集出身だというのに編集がいい加減だというのは致命的でありますな。

あきらかにつながりがおかしかったり、映画としてのリズム、テンポが悪かったり、他人の演出を的確につなぐことはできても、自分の映画を管理する能力はなかったわけですね。現在は編集専任として活躍していることからもそれがうかがえます。

ただそういう演出的な失敗、脚本的な適当さは厳然たる事実として存在するものの、それでもこの映画は面白いのです!なぜ面白いのか?今回はその秘密へと阿呆なりに迫ってみたいと思います。

ふたつの成功ポイント

ひとつはやはりアイデアでしょうね。ポリスアクションとゾンビホラーとの融合。さらにはそこにコメディ的要素や時間制限サスペンスなどを盛り込み、ごった煮サービス精神で思いっきり最後まで突っ走る。つまりはこのバカバカしい設定を思いついた時点で勝利は我が手中なわけです。

ふたつ目の成功ポイントは、これはあくまで推測でしかないのですが、ダメな監督をなんとか周りが盛り立ててくれたということです。なかでも最大の貢献者は特撮を担当したスティーヴ・ジョンソンの存在でしょう。

中華料理屋での食材ゾンビ大暴れのシーンなんて本当に必見ですからね!映画史上最大のインパクトを放つ(ほかにないとも言う)焼き豚ゾンビ登場シーンなんてもう感涙ものです!お腹ペコペコです!

俳優たちも頑張っとるぞ

さらには俳優陣の奮闘、とりわけ主演を務めたトリート・ウィリアムズの存在も忘れてはなりません。『プリンス・オブ・シティ』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』で知られる彼が、落ち目とはいえこんなバカバカしい映画に出演してくれた。

バカな映画でも真面目に演技をするこの微妙にちょっと浮いた感覚が、のちの傑作である『ザ・グリード』へと受け継がれたかと思うと感慨もひとしおです。彼の死にざまとよみがえりざまにはなんともいえないおかしさと哀愁が漂っているのですよね。

相方のジョー・ピスコポもコメディアンとしては若干スベリぎみながら、水槽逆さ潜りシーンにおける顔面芸には秀逸なものがありましたし、ダーレン・マクギャヴィンのひたすら軽いヅラ悪役もこれはこれであり。

惜しむらくはせっかくふたりも用意したヒロインの雑な退場と、御大ヴィンセント・プライスのほぼ友情出演的な扱い。まあ監督がファンでとりあえず出ていただいただけなのでしょうね。

ヘボに感謝

敵も味方もゾンビだらけですのでひたすら能天気な人体損壊アクション、唐突に訪れる美女の肉体溶解シーンなぞも用意されており、本当にさまざまな要素で楽しむことができる傑作B級映画だと思いますよ。

これで優秀な監督、いや、優秀まではいかなくても無難な監督が舵取りをしていたら、もっと凄い映画になっていたのかも?いや、そう単純な話でもないか。無難はどうあがいても無難なものしか生み出せないのが悲しい世の常。

ヘボな監督が撮ったとっ散らかった映画であるからこそこの映画は面白いのかもしれません。そうなると、いろいろ悪口言ってゴメンなマーク・ゴールドブラッド!結論としてはすべてあんたのおかげっちゅうことですわ!

個人的評価:6/10点

DVD&Blu-ray

ホラー映画好きにおすすめ

SF映画好きにおすすめ

コメント

  1. もやしにんじゃ より:

    WOWOWの良作発掘企画で初めて鑑賞
    なんじゃこりゃwwwと思いながら他の方の感想が気になってブログを見つけました、いい記事でした!
    面白いんだけどなんだか惜しい
    惜しいから面白いのか
    登場人物全滅のわりに「ちょっぴり切ない」程度で終わったのはいい意味での馬鹿らしさがあったおかげか

  2. スパイクロッド より:

    もやしにんじゃさんコメントありがとうございます!
    初見の方はホントに「なんじゃこりゃ!?」と思うでしょうね(笑)それぐらいムチャクチャな映画ですから。でもムチャクチャだけど面白い。いや、ムチャクチャだから面白いのか?ラストも全員死亡のわりには悲壮感のかけらもありませんからね。なんせ「女性用自転車のサドルになりたい」ですから(笑)