後世に多大な影響を与えたMADなシリーズ第2弾。偉大なる指導者ヒューマンガス様と、史上最強のナンバー2ウェズ。MADな主人公よりさらにMADな悪役たちの活躍を見よ!
作品情報
マッドマックス2
- 原題:Mad Max2/The Road Warrior
- 製作:1981年/オーストラリア/95分/R15+
- 監督:ジョージ・ミラー
- 脚本:テリー・ヘイズ/ジョージ・ミラー/ブライアン・ハナント
- 撮影:ディーン・セムラー
- 音楽:ブライアン・メイ
- 出演:メル・ギブソン/ブルース・スペンス/ヴァーノン・ウェルズ/エミル・ミンティ/マイケル・プレストン/ケル・ニルソン
予告編動画
解説
荒廃した近未来を舞台に、油が争いの火種になるというまるで現代社会の生き写しのようなSFアクションシリーズ第2弾です。
監督・主演は前作に引き続いてジョージ・ミラーとメル・ギブソンのコンビ。共演には『ダークシティ』のブルース・スペンス、『コマンドー』のヴァーノン・ウェルズ、『メタルストーム』のマイケル・プレストンなど。
我らがヒューマンガス様を演じるケル・ニルソンは、スウェーデン出身の重量挙げ選手だったりします。素顔は意外とイケメンなのですよ。
あらすじ
大国のあいだで勃発した世界大戦によって荒廃した近未来。人の命よりも石油が大事なこの世界で頼れるものは自分の力のみ。つまり、力がすべてを支配する弱肉強食の世界。
元警官のマックス(メル・ギブソン)は、そんな世界で希望も目的も見失ったままたださまよい、生き続けていた。そんなある日、凶悪な暴走族と熾烈な攻防戦を続けている石油精製所を発見。石油欲しさに彼らとの接触を図るマックスだったが……。
感想と評価/ネタバレ多少
30年ぶりの新作『怒りのデス・ロード』へ向けてのおさらい第2弾。第三次世界大戦による世界の崩壊を告げる唐突なモノローグで開巻する本作は、いっきに世界観が前作より加速度的に狂いに狂っております。
わずかなガソリンを奪い合って、モヒカン、覆面、変態、キチガイ、改造車が荒野を縦横無尽に驀進するという、まさに「ヒャッハー!」な世界の幕開け。
この狂った世紀末的世界観が『北斗の拳』へと影響を与えたのは有名な話で、副題と世界観を頂戴した“ロードウォリアーズ”なんてプロレスタッグチームもいましたよね。ボクが小学生の頃に、映画同様、日本のリングで暴れ回っておりました。
正しいパート2のあり方
さて、映画の内容へと話を戻しましょう。前作のヒットを受けて製作費が10倍に膨れ上がったということで、もう調子に乗ってやりたい放題好き放題にやっております。これで失敗する続編をあげていったら枚挙にいとまがないのですが、この作品は違いました。
もっとスケールのデカい荒野で撮影するぞ!ロングだ!空撮だ!車もバイクも改造しまくれ!コスチュームは派手に!脱げ!半裸だ!ケツ出せ!もっと暴れろ!残酷に!狂ったように!燃やせ!爆破しろ!走れ!飛べ!ぶっつぶせ!ヒャッハーー!!
とまあ、よくこれで失敗しなかったもんですわ。単に派手にしただけではなく、ベースとなる物語世界、撮影方法、キャラクター、カーアクション、ガジェット、すべてを別世界といってもいいほどスケールアップしたことが功を奏したのかもしれませんね。やはり何事も度を越せばそこに何がしかの意味が生まれてくるのです。
ついに覚醒したMADな主人公
とりわけ、前作ではまだまだ甘っちょろい青二才的キャラクターだったマックスが、精悍で殺伐とした立派なアウトローへと成長してくれており、問答無用にカッコいいのです!これぞ我らが待ち望んだマッドマックス!
まあ妙に抜けておるところは愛嬌といたしましても、心に傷を負った孤高のアウトローといえるこの姿こそが我らがマッドマックス、「強い男」なのでありますよね!
強い男、MADな男は黙して語らないもの。なんとこの映画におけるマックスのセリフは合わせて17回!喋らないにも程がある!しかしこの寡黙さこそがカッコいい男のあかし!ヘタレなボクにはとても真似できません!
ヒューマンガス ≦ ウェズ
そんな生まれ変わったマックスをまっこう敵に回し、というか、物量と狂気とアホさによってはむしろ凌駕していると言っても過言ではないのが、そうです、皆さん大好きヒューマンガス率いるキチガイ暴走族集団なのであります。
前作に引き続いてゲイカルチャーを内包したこの集団は、物資の乏しい世紀末でもとことんオシャレでエキセントリックで変態なのです。演説上手の筋肉ホッケーマスク、ヒューマンガス様のお姿のなんと凛々しいことか!
しかし、このヒューマンガス様を差し置いて実は最も目立っておったのが、ケツ出しモヒカン羽根飾りという鮮烈なるビジュアルインパクトを誇る、史上最強のナンバー2ウェズなのであります。キレたら誰にも止められない暴走っぷりが最高で、ヒューマンガスも手を焼いている模様でした。
ちなみにこのウェズを演じたヴァーノン・ウェルズは、あの『コマンドー』で悪役ベネットも演じております。そう、感電するとなぜかパワーアップするという謎の特異体質の持ち主ベネットであります。
その後の活躍は正直記憶にありませぬが、この2作の怪演だけで十二分にお腹いっぱい。生涯忘れられないポンコツ悪役俳優として我らボンクラの脳裏にしかと刻まれたのであります。
『怒りのデス・ロード』を心待ちに
最後に、前作以上に危険きわまりない壮絶カーアクションの数々は、さらなる危なっかしさでポンコツ脳髄が揺さぶられっ子症候群したものの、ちょっと展開的におかしなところが目につきすぎて、思ったほど乗れなかったのは残念。位置関係とか行動の意味とかね。皮肉だけど伝説化するオチは好きですけど。
というわけで、『怒りのデス・ロード』へ向けてのおさらい第2弾でありました。第3弾は時間的に無理そうなので、『サンダードーム』の感想は『怒りのデス・ロード』鑑賞後にアップするかもしれません。
さて、とうとう今週末へと迫った『怒りのデス・ロード』の公開、皆さん忘れずに劇場へと足を運びましょうぞ!
個人的評価:7/10点
DVD&Blu-ray
VOD・動画配信
『マッドマックス2』が定額見放題なおすすめ動画配信サービスはU-NEXT、プライム・ビデオ(2020年2月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
コメント
絵に惹かれてやってきました。ヒューマンガスの穏やかな顔に癒されます……!
まさかあのウェズの俳優が「コマンドー」のベネットだったとは!驚きです。
ウェズの愛人も乳首を露出させていましたし、あの世界の暴走族は体の一部を露出させなければならない決まりでもあるのでしょうか?謎ですね!
はじめまして
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」で検索したらFC2のブログにたどりつきました。
拝見するとこちらに移転ということで見させていただいてます。
なんといってもユニークなイラストに惹かれました。
これって筆でかいてスキャナーで電子化?それともタブレットで描かれているんですか?なんか羨ましいです。
更新たのしみにしてます
それでは
ジャックさん、コメントありがとうございます!
『マッドマックス2』のウェズに『コマンドー』のベネット。
もうこの2役だけで生涯忘れられない悪役俳優です!
このシリーズの悪役たちにはどこかホモセクシャルなニオイがつきまとったのですけど、
最新作である『怒りのデス・ロード』にはそれが薄かったのが残念といえば残念です。
はじめましてイカリングさん!
コメントありがとうございますね♪
旧ブログのほうからこちらにいらしてくださったということで、
もうそれだけで感謝感激であります!
ボクのイラストはすべて筆ペンで描いて、
スキャナーでパソコンに取り込んでおります。
タブレットで描くなどというハイテクなことはできない、
根っからのローテク人間でありまして、
このご時世にお恥ずかしいかぎりでございます。
またイカリングさんに喜んでいただけるようなイラストを描けるよう、
なんとか精進してまいりますので、
いつでも遊びにいらしてくださいね♪
こんにちは!
ヒューマンガス様、結構紳士なんですよねー
むしろモヒカンのほうが目立っていると言う…
2のこの世界!やはりこの世界こそがマッドマックスですよ
そういえば、モヒカンの後ろに乗ってたのは彼の愛人なんですよねー
さらりと流されてたけど。
チビ猿のような少年と、蛇使いの男との関係がなかなか面白く、
「怒りのデスロード」もこのマックスの行く所にドラマが生まれる、
「視点」という立ち位置だったのが良かった部分でもあります
前作と比べると、いまのメルギブっぽくなったマックスですが
まだまだ青二才なアウトローの部分も醸し出していて、そこが魅力でもありました
makiさん、コメントありがとうございます!
ヒューマンガス様は紳士で、なおかつ演説もうまいのですよね!
ウェズは小物感が半端ないですけどあのチンピラ加減がいいのです♪
『マッドマックス』といえばやはりこの2からの世界観ですけど、
ホントに1から加速度的に世界が崩壊してしまってビックリです。
でも『北斗の拳』世代としてはやっぱりこれですよね!
モヒカンにプロテクターにヒャッハーー!
誰もが真似したくなる世界です。
このシリーズのおもしろいところは、
主役であるマックスはパート1以外はいつも当事者ではないところですよね。
ただの通りすがり。でも彼が行くところにドラマが生まれる
そういう意味ではやはり伝説の男ですよね♪
わたしにとってこの作品のお気に入りのシーンは
なんと言っても「ドッグフード喰い」。
いつ見ても、「なんてうまそうなんだ!!」と思います。
とは言えとてもドッグフードは食べる「ゆうき」は無いので
ツナ缶をそれに見立ています。
そんな訳でチョコチップメロン(等)+ツナ缶の昼飯を
「マッドマックスランチ」とよんでいます。
ところで、あの話って「ブーメラン小僧」の回想と言う感じなのですよね?
ダムダム人さんコメントありがとうございます!
あれは確かにうまそうですよね!そしてあのオーストラリアン・キャトル・ドッグの演技のうまさ!この映画における助演男優賞ものです!オスかどうか知りませんけど(笑)
おっしゃるとおりあの映画はブーメラン小僧こと“フェラル・キッド”の回想であります。成長して北部族のリーダーとなった彼は、「強い男」マックスの話を部族の若い衆たちに聞かせておるのでしょうね。