『コードネーム U.N.C.L.E.』感想とイラスト あら、ベッカムさんいたの?

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映画『コードネーム U.N.C.L.E.』アリシア・ヴィキャンデルのイラスト(似顔絵)
我ら世界の法と秩序を守る国際諜報機関「U.N.C.L.E.」。正式名称は「United Network Command for Law and Enforcement(法執行のための連合網司令部)」。長いからもう「伯父さん」または「叔父さん」でもいいよ。

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作品情報

『コードネーム U.N.C.L.E.』
The Man from U.N.C.L.E.

  • 2015年/アメリカ、イギリス/116分
  • 監督:ガイ・リッチー
  • 脚本:ガイ・リッチー/ライオネル・ウィグラム
  • 撮影:ジョン・マシソン
  • 音楽:ダニエル・ペンバートン
  • 出演:ヘンリー・カヴィル/アーミー・ハマー/アリシア・ヴィキャンデル/エリザベス・デビッキ

参考 コードネーム U.N.C.L.E. – Wikipedia

予告編動画

解説

「ベッカム出てたらしいよ」「え?嘘!?どこどこ!」とさして興味もないのに鑑賞後に出演シーンをググってしまうスパイ・アクション映画です。日本でも人気を博した1960年代のテレビドラマ、『0011ナポレオン・ソロ』のリメイクとのこと。

監督を務めるのは『キング・アーサー』のガイ・リッチー。主演は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のヘンリー・カヴィルに、『J・エドガー』のアーミー・ハマー、『エクス・マキナ』のアリシア・ヴィキャンデルの3人です。

共演には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』のエリザベス・デビッキ、『ザ・ウォード/監禁病棟』のジャレッド・ハリス、『ラブソングができるまで』のヒュー・グラントなどなど。

あらすじ

東西冷戦下の1960年代初頭、東ベルリン。CIAが誇る敏腕エージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)は、失踪した核兵器の専門家の行方を探るべく、娘のギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)の身柄確保へと動いていた。

しかし彼女の存在をソ連も同時に狙っており、KGBから派遣されたイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)と一触即発の状態に。ところがこの裏側で進行する核兵器大量製造の事実をつかみ、米ソはやむなく手を組むことに。

ソロとイリヤ、敵として出会ったふたりがなんの因果かコンビを結成し、国際的陰謀の阻止に向けて協力することになってしまったのだ。何かにつけて対立するふたり。はたしてこの凸凹コンビはこの困難な任務を遂行することができるのであろうか?

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感想と評価/ネタバレ多少

2015年は『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を皮切りに、『キングスマン』『007 スペクター』と、外来スパイ映画が大挙して襲来しました。日本では今年に入って公開された『ブリッジ・オブ・スパイ』なんかもその系譜か。

今回紹介する『コードネーム U.N.C.L.E.』もそのなかのひとつ。前述した作品よりも注目度では大きく水をあけられるかたちで、自分もレンタルでの鑑賞と相成りました。そんな本作の逆襲はあるのかどうか?それではさっそく感想のほうをば。

かのガイ・リッチー

監督はかのガイ・リッチー。何が「かの」なのかいまいち不明ですが、実はこの人の映画1本しか観たことがない。しかもかの『スウェプト・アウェイ』。何が「かの」なのかこの映画を観た人ならおわかりでしょうが、どうやら第一印象が悪すぎたようです。

初対面がこれだったので、評価の高かった『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』、そしてその後の復活作もことごとくスルー。本作にしても「とりあえず」という軽い気持ちでレンタルした次第。

そんな軽さが功を奏したのか、意外にもかなり楽しめてしまったこの作品。「どうせオサレさを売りにした変にスカした映画だろ?」と思っていたのですけど、それをギャグとして昇華した高度に洗練されたおバカ映画でしたね。

高度に洗練されたバカ映画

おバカなシーンをおバカに演出するのではなく、過剰にスタイリッシュに、ダサいぐらいオサレに、笑えるぐらいクールに演出してみせる。これがたいへん素晴らしい。無駄で無意味に過剰で大仰な点がたいへん面白い。

ゆがんだエディプスコンプレックスを抱えるイリヤ。彼のトラウマに火がつき、怒りを抑制できなくなった姿の大袈裟な演出なんて、ギャグ以外の何ものでもありませんよね。バックに流れている音楽も軍靴の響き。笑えよ笑え、こりゃ笑え、ってなもんです。

とりわけデ・パルマ信者のボクといたしましては、都合2回も繰り出されたスプリットスクリーンには爆笑の嵐でした。だって思い出してみてください。省略や状況説明の意味は多少あるものの、基本的には画面を割る必要はまったくなかったわけですから。

でも割っちゃう。理由はそのほうがカッコいいから。オサレだから。なんか意味ありげに見えるから。見方によっては非常に正しいスプリットスクリーンの使い方。意味がないからこそ意味がある。哲学的で笑えるではありませんか。

キャラが立ってりゃ目にも立つ

この手の映画はキャラが命なのですけど、この点のバカ度に関しても抜かりはありません。古色蒼然としたソロと不器用すぎるイリヤとの対比、間抜けなスパイグッズ自慢。そんなふたりと三角形を形成する可憐なファムファタール、ギャビー。

このギャビーを演じたアリシア・ヴィキャンデルの七変化。彼女が身にまとう1960年代ファッションショーを見るだけでも目に肥やし。そして対極の存在といえるエリザベス・デビッキの妖艶なゴージャスさ。悪魔と小悪魔。それはあなたのお好みで。

ちなみにボクのお好みはシルヴェスター・グロード演じるルディ伯父さん。ナチの拷問アーティスト。散々期待させたあげくに電気椅子オンリーとはなんぞや!という肩書き詐欺と放置プレイによる最期がなんとも愛らしいのです。

中身がないのは長所です

バカなスパイアクションを徹底的にスタイリッシュに演出してみせる。となればアクションも手を抜くわけにはいきません。頭とお尻のカーチェイスはきっちり本気で魅せてくれております。細部には手を抜いても魅せ方には手を抜かない。

そして忘れてはならないのが選曲センス。ライバル『キングスマン』の選曲センスも凄かったが、負けず劣らずこちらも凄い。スカしたオサレさという意味ではこちらのほうが上かな?

ロバータ・フラックによるジャズの名曲『Compared to What』、Tom Zéの『Jimmy, Renda-se』、そして現在では「ヒロシのテーマ」になってしまったペピーノ・ガリアルディの『Che Vuole Questa Musica Stasera?』。見事なモダンオサレです。

不満はほぼスッカラカンの中身と、ツッコミどころ満載の強引な展開ではありますが、それを言ってしまうのは野暮ってもんですわな。いやむしろ、スッカラカンで強引だからこそオサレなバカ映画として際立っていたのかも?

かの『スウェプト・アウェイ』のせいで喰わず嫌いをしていたガイ・リッチー殿。こんなに面白い映画を撮れる監督だったとは。誠に申し訳ありません。これを機に過去作も観てみるつもりですので、どうぞよしなに、よしなに。

個人的評価:7/10点

おまけ/ベッカム出演シーン

元サッカー選手のデヴィッド・ベッカムがこっそりカメオ出演していた本作。どこかでそんな情報を仕入れながらも、すっかり忘れて観了しておりました。んでもってどこに出ていたのか皆目わからない。

というわけで、ボクと同様まったく彼の存在に気づいてあげられなかった方のために、ベッカム氏出演シーンの動画を最後に貼り付けておきます。でもあまり多くは期待しないように。「ふ~ん」となるだけですから「ふ~ん」と。

DVD&Blu-ray

コードネーム U.N.C.L.E. Blu-ray
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

VOD・動画配信

『コードネーム U.N.C.L.E.』が観られる動画配信サービスはU-NEXTTSUTAYA TV、。おすすめは毎月もらえるポイントによって視聴可能なU-NEXT(2018年12月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。

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コメント

  1. ミス・マープル より:

    わたしもベッカムの出演はどこかわかりませんでした。
    こう言われても忘れちゃったー!
    お気楽に見られるスパイ映画という感じですね。
    「ヒロシのテーマ」は笑っちゃいました。

  2. スパイクロッド より:

    ミス・マープルさんこちらにもコメントありがとうございます!
    ベッカム氏がカメオ出演しているのは鑑賞中はすっかり忘れておりました。他人の感想を読んで「そういや出てたんだっけ?」と思い返してみて、たぶんアレだろうなと思ったとおりでちょっと自慢顔。まあ彼が出ていようが出ていまいがこれは意外と面白い映画でして、食わず嫌いしていたガイ・リッチー作品、これから少しずつでも観ていこうと思っております。

  3. こんばんは。
    ベッカムが出演するのは知っていましたが、それでも分かりませんでした(^_^;)
    そうそう音楽良かったですね!
    あの分割画面、僕はなんでそんな必要ないのにするんだ~!と怒っていました(笑)

  4. スパイクロッド より:

    バニーマンさんコメントありがとうございます!
    本人役以外で初めて出演した映画ということですけど、はっきし言ってなんの意味があったのでしょうね?まあ話題作りにはなったからいいのかな?この映画における既成曲の使い方は本当にうまかったですね。そしてセンスがたいへん素晴らしい。特にTom Zéの『Jimmy, Renda-se』は聴き倒しております!まったく必要ないのに画面を分割する心意気。どうかその心意気を買ってやってください。割りたいから割るのです。そこに意味はないのです!

  5. れんか より:

    旧ナポソロのファンなので、この映画も公開前からめっちゃフォローしており、ベッカムのツイート張り付けたりしてたのに、そのツイート自身が映画のいちシーンだったということに上記の公開サイトの動画を見るまで全く気づいてなかったオオバカです。
    変装男がベッカムだと全く気付かず・・・。
    http://lenechen-lenechen.blogspot.jp/2015/07/uncle_31.html
    7月にこんなの書いててほんとあほでしょ?公開4か月前ですよ。
    分割画面はプロモ用にトレーラーにそこだけ抜き出してあったらカッコいい。でも映画の中でじゃ、は?ですよねぇ。私も無駄だと思いました。

  6. スパイクロッド より:

    れんかさん初めまして。コメントありがとうございます!
    そちらの記事も拝見させていただきました。しかしあれは誰も気づかないでしょう。ベッカムさんオーラゼロですし(笑)。「これがそうだ」と言われても「ホントにそうか?」と思ってしまったぐらいですから。どうせ出すならもうちょっと大きな役で出してあげたらよかったのにね。スプリットスクリーンは確かに無駄だと思いますけど、その無駄なことをオサレにやっちゃう心意気がボクは好きです。普通の監督なら恥ずかしくてやらないと思いますから(笑)。