『彼女はパートタイムトラベラー』感想とイラスト 行け!行ってくれ~!

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映画『彼女はパートタイムトラベラー』オーブリー・プラザのイラスト(似顔絵)

誰もが夢見る時間旅行。過去へ未来へひとっ飛び。いつでもどこでも好きなとき、好きな場所へ、好きな時代へ、好きなあなたと!場所や時間は関係ない、好きなあなたと!

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作品データ

『彼女はパートタイムトラベラー』
Safety Not Guaranteed

  • 2012年/アメリカ/86分
  • 監督:コリン・トレヴォロウ
  • 脚本:デレク・コノリー
  • 撮影:ベンジャミン・カサルキー
  • 音楽:ライアン・ミラー
  • 出演:オーブリー・プラザ/マーク・デュプラス/ジェイク・ジョンソン/カラン・ソーニ/ジェニカ・バージェレ

予告編動画

感想と評価/ネタバレ多少

タイムトラベルの同行者を求める奇妙な新聞広告を出した男と、身分を偽って志願者として潜入取材することになった女性見習い記者との心の交流を描いた、サンダンス映画祭で脚本賞を受賞したSFラブコメディです。監督は『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレヴォロウ。

安全は保障しない

敬愛する映画ブロガー「なぜ犬は尻尾を振るのか。」ののほうず氏と、「アノ映画日和」のあのまり氏のおふたりが揃っておすすめされていた作品ということで、「面白くないわけがなかろうが!」ということで観てみました。

やはりおふたりの目に狂いはないというか、素晴らしく狂っているというか、これは本当に観て良かったですね。日本では劇場公開もされずDVDスルーに終わった作品ですが、いかに日本の配給会社がヘボであるかがよくわかると思います。転じてスピルバーグの先見の明。

この一作で監督のコリン・トレヴォロウと脚本のデレク・コノリーを『ジュラシック・ワールド』へと引っ張ったわけですから、その鑑識眼はやはりたいしたものです。まあそうは言いながら『ジュラシック・ワールド』はあまり好きではないのですがね、ボクは。

でもこの『彼女はパートタイムトラベラー』は本当にいいです。ちなみに原題は『Safety Not Guaranteed』。意味は「安全は保障しない」って感じ。邦題もけっこう悪くないと思うのですが、映画のテーマ、内容を見事に伝えているのは原題のほうだと言えるでしょう。

邦題のイメージだと、トラベル先の過去やら未来でドタバタを繰り広げるコメディなのかな?と勘違いしますが、実際は過去に囚われたり、未来に対して踏み出せない人間たちが、危険を承知で止まっていた時計を動き出させる姿を応援する、ダメ人間への人生賛歌なのです。

ダメ人間によるダメ人間のための映画

学生時代から周囲に馴染めず、ひたすら退屈で孤独な人生を歩んできたダリアス。生活のためにシアトルマガジン誌のインターンとなった彼女は、「タイムトラベルの同行者を求む」という奇妙な新聞広告を出したケネスという男に潜入取材をすることになったのだが……。

冴えない見習い記者のダリアスと、孤独な変人ケネスとの心の交流がこの映画の主眼。過去や未来でドッタバタという派手なわかりやすさを志向した作品ではなく、過去に囚われた孤独な男女が人生で初めて相棒を得る、ひたすら地味なボーイ・ミーツ・ガール映画なのですこれ。

ゆえに派手な展開や過剰な笑かしは起きません。ひたすら淡々とダメ人間たちの人生の転換点を追っていくのみです。彼らの情けなくも愛らしいクソ人生に共感し、微笑み、最後には力いっぱい応援してしまうという、ダメ人間によるダメ人間のための映画とも言えるでしょう。

ほかの方の感想もチラホラと読んでみたら、けっこう賛否の分かれた結果になっていたのですが、その原因はこのあたりにあるのかもしれません。人間的、人生的ダメ具合によって映画への没入度に違いが生じる。ダメ人生を否定せずに、少しだけ背中を押してくれるやさしさ。

そのやさしさに気づいたダメ人間は、きっとこの映画が好きになるはずです。自然とダリアスやケネスのことを応援している自分に気づくはずです。かくいうボクはどこに出しても恥ずかしくない完全無欠のダメ人間ですので、そのやさしさと痛みにほろほろと泣いておりました。

動き出した時間

子供の頃に母が死んで以来、暗くて最低な毎日を送っていたダリアスは、きっと心のどこかでこのクソ人生を変えたいと思っていたはず。ある身体的障害により周囲から孤立していたケネスは、長年のひとり遊びに仲間が欲しいと無意識のうちに渇望していたはず。

ともに過去に囚われ、人生の時計が止まってしまっていたふたりは、この時計の針を動かすために、心の底では切実に誰かを求めていた。そんなふたりがついに出会い、ケネスのひとり遊びがふたり遊びへと変わる瞬間の微笑ましい多幸感は、ボンクラにとっての絶頂です。

一見するとアホ丸出しですが、おそらくは子供時代にこれを通過してきていないふたりにとって、初めて体験する訓練という名のふたり遊びは時間を忘れるほどの充実感があったのでしょう。それはダリアスの表情を見れば一目瞭然です。なんという魅力的な笑顔だろうか!

それは過剰に過去を美化していた先輩記者のジェフ、過去にも未来にも興味はなく、今でいいと自分の殻に閉じこもっていた同僚インターンのアーナウにしても同じで、彼らの変化と前進をサブドラマとして挿入してくる構成は、すべてが映画のテーマへとつながる見事さです。

つまり、人生の苦楽とは歩き出してみなければわからない。何かに囚われ、安全な自分の殻に閉じこもっているばかりでは何も変わらない。その助けになるのは他者の存在であり、誰かと歩む人生には絶対に意味がある。それがクソでも、ダメでも、止まっているよりはいい!

ダメ人間は絶対に観てくれ!

はたしてケネスがのたまうタイムマシンの存在は事実なのか?この真相に向けて各登場人物の人生の時計が収斂していくクライマックスの高揚感は最高であり、思わずこぶしを握り締め、天高く突き上げてしまうことは必至でありましょう。行け!行ってくれ~!

おそらく未見の方が多いと思うので、興味をもって観てもらうために核心へと迫るネタバレは避けてこの感想をしたためてまいりましたが、勢い余ってほぼネタバレへと踏み込んだダメな自分をどうか許してください。そして興味をもったダメ人間の方はどうぞ観てください。

絶対に損はさせませんから!そう簡単に自分のクソ人生の変革は行えませんが、映画のなかぐらいダメ人間のクソ人生が少しでも好転するミラクルがあってもいいのではないですか。そしてボクらリアルダメ人間も、少しの勇気をもって人生の危険へと踏み込んでみましょうよ。

最後に、この『彼女はパートタイムトラベラー』と出会う機会を与えてくれたのほうず氏、あのまり氏に感謝の言葉を添えてこの駄文を終わらせたいと思います。おふたりの記事を読まなければ絶対にこの映画を観る機会はなかったと思うので、本当にありがとうございます!

個人的評価:8/10点

ボンクラ賛歌映画の感想はこちら

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