『スイス・アーミー・マン』感想とイラスト 万能死体が教えてくれたこと

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映画『スイス・アーミー・マン』ダニエル・ラドクリフのイラスト(似顔絵)

死を覚悟した男の前に現れた多機能万能死体メニーくん。いまだかつてこれほど使えて愉快で愛すべき死体が存在しただろうか?皆さん、晴れて当代随一の死体俳優へと成り上がったダニエル・ラドクリフに盛大な拍手を!

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目次

『スイス・アーミー・マン』感想とイラスト 万能死体が教えてくれたこと

  1. イラスト
  2. 作品データ
    1. 予告編動画
  3. 感想と評価/ネタバレ有
    1. とりあえず結論から
    2. オナラ式ロケットスタート
    3. 爆笑に次ぐ爆笑
    4. 下ネタが示す生きる意味
    5. 健全なる変態映画

作品データ

『スイス・アーミー・マン』
Swiss Army Man

  • 2016年/アメリカ/97分
  • 監督・脚本:ダニエル・シャイナート/ダニエル・クワン
  • 撮影:ラーキン・サイプル
  • 音楽:アンディ・ハル/ロバート・マクダウェル
  • 出演:ポール・ダノ/ダニエル・ラドクリフ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド

参考 スイス・アーミー・マン – Wikipedia

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

無人島でひとり孤独に死を覚悟した男の前に、驚くほど多機能な万能死体が流れ着いたことによって彼の人生が大きく動き出す姿を描いたコメディドラマです。監督はこれが長編デビュー作となるシャイナートとクワンによる「ダニエルズ」なる監督ユニット。

とりあえず結論から

Twitterで流れていた海外版の予告編を目にして以来、観たくて観たくてたまらなかった本作。某魔法学校を卒業したダニエル・ラドクリフが謎の十徳ナイフ死体を演じきるなんて聞いた日にゃ、『ハリー・ポッター』を途中でやめた人間でも食指がウネウネ動き出します。

てなわけで観てまいりました。そしておおいに笑いました。今年観た映画でいちばん笑ったかもしれません。期待していたとおりのぶっ飛びバカ映画で、それでいて人生のやっかいさにも頭を抱えるボンクラ愛護精神があふれており、つまりは「俺らの映画」だったということ。

上品じゃなくていい。下ネタ満載でも大丈夫。それを外した人生の何が人生だ?下品から見えてくる人の違い、生き方の違い、個性の違いをぷっぷっぴーと放屁しており、我々ボンクラをやさしく抱きとめて「さあ行け!」と突き放してくる力強さに思わず肛門が引き締まります。

オナラ式ロケットスタート

映画冒頭でこれ見よがしに映し出されるのは、波間を漂う「助けてくれ」「寂しい」「ひとりは嫌だ」というメッセージ付きの漂流物。これを流した主はハンク・トンプソン(ポール・ダノ)で、孤立無援の無人島でもっか首つり自殺の真っ最中と来たもんだ。

死ぬためにその無人島へとやって来たのか、偶然流れ着いた絶望感から死のうとしているのかは結局のところわからんのですが、とにかくあからさまな孤独感から自死を選ぼうとした彼の目に飛び込んできたのが、浜辺に打ち上げられた男の土左衛門(ダニエル・ラドクリフ)。

体内にたまった腐敗ガスの影響でのべつまくなし「ぷっぷ~ぷすぅぅぷっぴー」と放屁しまくっておるその土左衛門は、あろうことか死のうとしているハンクの眼前で海上をオナラ推進によって自走し出し、慌てたハンクは「俺を置いていくな!」と土左衛門に飛び乗るわけです。

「パンパンパンパンパンパン」とアカペラ調の音楽に乗ってオナラ式土左衛門ジェットスキーにまたがり、孤独な死から希望の生へとバカみたいに驀進するハンクの姿と、ここでデーンと映し出される『Swiss Army Man』のタイトルバック。すでに傑作の予感が臭う臭う。

予告編ではおそらくクライマックスの無人島脱出シーンだと思われていた衝撃の映像は、実はオープニングのつかみだったのです。確かにつかみはオッケーかもしれませんが、こんな衝撃的なオナラ式ロケットスタートをかましてこのあとが続くのかいなと心配になります。

爆笑に次ぐ爆笑

しかしそんな心配はご無用でした。オナラの恩恵によって晴れて無人島を脱出したハンクと土左衛門は、どこかの大陸の海岸へと流れ着きます。助けを求めて鬱蒼とした森のなかを突き進む人間と死体とのバディムービー。こんなヘンテコなコンビ芸が面白くならないわけがない。

とりわけ次々と発見される土左衛門の多機能万能死体ぶりは爆笑に次ぐ爆笑。オナラパワーに続く雨水貯水口腔射出機能、勃起レーダー、髭剃り、火炎放射にマシンガンに硬直手刀丸太割り、挙句の果てには死体のくせしてまあよく喋る。そらびっくりしてぶん殴りもしますよ。

スイスアーミーナイフのように多機能な使える死体、スイス・アーミー・マン。生前の記憶をすべて失っている彼はメニーと名づけられ、ハンクが生きて故郷へと帰るために絶対必要な相棒として大活躍をするわけです。屁で、ポコ〇ンで、ストレートな言葉責めで。

なんというか、ここまでどストレートに力技な下ネタのオンパレードはある意味健全で、とても清々しいものがありましたよね。詰まるところ下の話をするということは命を語ることと同義であり、下ネタを通して生きる意味、人生を問うてくるのは健全なる姿勢でもあるのです。

下ネタが示す生きる意味

ダンケルク』があえて回避したとも取れる、下ネタによって生きる意味を問うという健全なる難題へと挑んできた実は哲学映画『スイス・アーミー・マン』。デリカシーのかけらもない喋る死体のメニーは、デリケートすぎて生きづらいハンクの深層を突きに突いてくるのです。

放屁の我慢は体にも精神にもよくない。お前の母ちゃんを想って俺はマスをかくぜ。先っちょだけでも挿れさせてくれよ。良識派の方々は眉をひそめるであろう下卑な言葉の数々ですが、大きなコンプレックスを抱えるハンクには、そして我々ボンクラには深く深く刺さるのです。

いわゆる社会、世間様とはなかなか相容れずに生きづらさを感じ、あえて孤独に身をやつしているボンクラ連中にとっては、社会の常識とはかけ離れたところで自由に屁をこき、その分身をそそり勃たせ、先っちょだけでも挿れたいとのたまうメニーは対極にいる羨望の変態です。

両親との確執や、自分の容姿、性格へのコンプレックス、永遠の片想いなど、社会に、世界に居場所を、存在意義を見いだせないハンクの孤独感は、メニーとの対話と経験、行動を通して徐々に変化していくこととなります。最高の相棒を得たことによって。

それが象徴的に示されたのがハンクとメニーのブロマンス全開水中キスシーンであり、そのあとに続くメニーのケツ毛丸出しオナラジェット大噴出スローモーションなのだと思います。ハンクがすべてを受け入れ、覚醒したシーンとしてなんて素晴らしいバカバカしさでしょうか。

健全なる変態映画

詰まることろ、「君は君のままでいい」というボンクラ全面肯定映画であり、そのうえで「さあ行け。そのまんまで世界と対峙しろ」と力強く突き放した容赦なく厳しい試練映画でもあると思うのです。その確固たる決意表明がラストの「ぷぅ~~~」なのでしょう。

屁で始まり屁で終わり、屁で笑わせ屁で泣かすヘンテコ哲学ボンクラ人生賛歌映画『スイス・アーミー・マン』。期待どおりの面白さでしたが、期待以上とならなかったのはあくまで健全な変態ぶりと、テーマの説明くささ、寓話、妄想だとしても力技すぎる脚本でしょうかね。

もうちょっとこういびつだったり、不健全だったり、難解だったりしたほうが映画の幅は広がったと思うのですけどね。メニーがハンクのもうひとりの自分、抑圧された自分、こうなったかもしれない自分だというのもわかりやすいぐらい明確で正直浅かったですしね。

ただこれぐらいのポップなぶっ壊れ具合のほうが、このダニエルズという監督ユニットの未来は開けるかと思います。将来的にはエドガー・ライトとかミシェル・ゴンドリーみたいにメジャーな世界で活躍してそうな気がしますね。そうなれる素質は十分にあるかと思われます。

最後に、主演のポール・ダノとダニエル・ラドクリフには皆さん盛大な拍手を送ってあげてください!特にラドクリフの見事に死んでるのにちょびっと生きてる死体演技はオスカー級の怪演です!未見の方は彼のケツを!ケツ毛を拝みにぜひ劇場へと足を運んでくださいな!

個人的評価:7/10点

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