『暗闇にベルが鳴る』感想とイラスト すべてはここから始まった?

映画『暗闇にベルが鳴る』のイラスト
聖なる夜に浮かれた女子寮で巻き起こる恐怖の惨劇。ベタだって?ああベタだよ。しかしすべてはここから始まったと言っても過言ではない絶叫への試行錯誤がここにはあるのだよ!

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作品情報

『暗闇にベルが鳴る』
Black Christmas

  • 1974年/カナダ/98分
  • 監督:ボブ・クラーク
  • 脚本:ロイ・ムーア
  • 撮影:レグ・モーリス
  • 音楽:カール・ジットラー
  • 出演:オリヴィア・ハッセー/キア・デュリア/マーゴット・キダー/ジョン・サクソン

参考 暗闇にベルが鳴る – Wikipedia

解説

クリスマス前後のとある女子寮を舞台に、一本の奇怪な電話から始まる謎の連続猟奇殺人を描いた元祖スラッシャー映画です。北米では有名な都市伝説がモチーフとなっております。

参考 都市伝説 ベビーシッター|海外ゲテモノ情報

監督は『ポーキーズ』シリーズのボブ・クラーク。主演は『ロミオとジュリエット』のオリヴィア・ハッセー。共演に『2001年宇宙の旅』のキア・デュリア、『悪魔の棲む家』のマーゴット・キダー、『特攻サンダーボルト作戦』のジョン・サクソンなど。

2006年に『ファイナル・デスティネーション』シリーズの脚本家グレン・モーガンがメガホンを取り、『ファイナル・デッドコール 暗闇にベルが鳴る』としてリメイクされております。ちなみにこちらは未見。

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感想と評価/ネタバレ多少

これまた毎度お馴染みのTSUTAYA発掘良品からご紹介する一本。いたいけな少女たちが殺人鬼の生贄となっていく王道的展開は、自然と『ハロウィン』や『スクリーム』シリーズなどを想起なさるでしょうが、どうやらこの作品がそれらの元祖と言ってもよいようです。

「ってことはベタなんだろうなぁきっと」と思ったあなた、まったくもってご想像のとおりではありますが、単なるベタでは終わらない創意工夫と意外性と秀逸なオチが待っている掘り出し物的良作で、この手の作品を観慣れている猛者にこそ観てほしい逸品だと思いますよ。

電話口の向こう側

クリスマスパーティで浮かれる女子寮にかかってきた一本の怪電話。これは恐ろしい惨劇の幕開けを告げるベルであり、これをきっかけとして次々と女生徒たちが謎の殺人鬼によって血祭りにあげられていくのだった……。

てな感じのあらすじは確かにベタそのもの。犯人の一人称視点から始まる映像も今となってはよく見る光景ですが、時代を考えればこれはベタの礎とも言える歴史の幕開けで、荒い息遣いとブレまくりのカメラは偉大な歴史の1ページと言っても過言ではある。そりゃ言いすぎだ。

ちょいと言いすぎそうにはなりましたが、電話を不気味な小道具として使用しているあたりは確かに先見の明ありです。最初の電話は単なる変態はあはあ舐めちくりブタ野郎なのですが、回を重ねるごとにエスカレートしてついにはカオスが訪れるのが秀逸です。

七色の声を使い分ける変態殺人鬼の一人二役、三役、四役は電話口の向こうで光速七変化をやっているであろうご苦労さんを想像して頭が下がる思いですし、奇声と怒声と絶叫を織り交ぜたそのカオス感は支離滅裂な地獄からの雄叫びで、意味がわからんだけに余計に不気味。

妙なところに力こぶ

そんな変態ひとり芝居怪電話から始まる連続猟奇殺人も、現在の目から見たら血の量も切り株も足らないそうとう控えめなものに映るかもしれませんが、そこは殺しのレパートリーと演出の妙によってカバーしており、なにげに怖いのが最初の犠牲者のビニール袋窒息死。

この殺しの方法自体はたいしたことないのですが、屋根裏に運ばれた彼女は劇中そのまんまの姿でずーっと鎮座させられており、事あるごとにその姿が映し出されて時たまヌイグルミなんかが置かれているのが地味に怖いのです。結局最後までそのまんまなのも無常すぎ。

無常で無慈悲な理由なき殺人が繰り返されているというのに、やたらと下ネタをぶっこんでくる緩急による揺さぶりも妙な味わいで、とりわけアル中の寮母の酒臭いお下劣さはなんともいえない香ばしさ。ホント変なところに力が入ってるのが魅力なのよねこの映画。

いちばん不可解なんだけど面白かったのは、人力による逆探知の舞台裏をもの凄く丹念に描いていたところ。何をしているのかその意味は正確にはわからぬものの、無数の電話回線(?)が並んだ薄暗い室内を刑事が徘徊する姿から漂う得も言われぬ緊張感よ。

しかもこれを演じるのが『ヴィデオドローム』でウエ~ウエ~言いながら内臓デロデロさしてたレスリー・カールソンだというのが、クローネンバーグファンにはたまらん事実!

迷路の出口を出た先は…

しかもレスリー・カールソンだけではないぞ!なんと『ザ・ブルード/怒りのメタファー』のアート・ヒンドルもゴージャスな毛皮はおって出てくるから!このふたりの共演だけでもクローネンバーグファンには目の保養なのですが、実はこの映画なにげに役者が豪華なのです。

主役のジェスを演じるのは布施明の元嫁として名高いオリヴィア・ハッセーで、その美貌は「君は薔薇より美しい」でしたし、彼女の恋人役で危ういピアニストを演じるのは『バニー・レークは行方不明』のキア・デュリア。

さらには情緒不安定で妖艶な魅力を振りまく同級生に『悪魔のシスター』のマーゴット・キダー、事件捜査の指揮を執る警部役には『燃えよドラゴン』のカツラ空手家として皆さんお馴染みジョン・サクソンまで出てるってんだから、低予算カナダ映画として侮るなかれ。

そんななにげに豪華な俳優陣たちのいったい誰が殺人鬼で、何ゆえこんな猟奇殺人を犯しており、どういった決着を見せるのか?これはもう皆さんの目で実際に確かめていただきたいのでネタバレ自重。ひとつだけ言えるとしたらボクはたいへん満足したということ。

ようやく見えたと思った迷路の出口の先に広がっていたのは………ああっ!皆まで言うな!

個人的評価:7/10点

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スパイクロッド

映画を観たらとりあえず感想とイラストを書く(描く)人畜無害な釘バット。ちなみにイラストはぺんてるの筆ペン一本によるアナログ描き。

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コメント

  1. ブッチ より:

    この映画、テレビで断片的に観たような記憶がうっすらあるのですが、今回ちゃんと観てみました。
    いわゆるこの手のホラーのはしりの映画くらいの認識だったのですが、いや、びっくりするくらいしっかりと怖かったですね。
    ベタなホラーではあるものの、息の白くなる寒々とした夜や、忘れ去られた屋根裏の感じなどもじわーっと怖く、妙に入れ込んでくる笑いの要素とのコントラストも思いのほか効いていました。
    あと、電話口の犯人の狂いっぷりが怖かったぁ。一見普通でも実は狂ってるというのが怖がらせの定番ですが、この電話口の犯人は徹頭徹尾一点の曇りもなく狂ってるところが逆に怖いです。これも電話というツールがあってのなせる技ですね。
    ラストの意外性と、騒ぎが去った後に忘れられている死体の所在の無さがまた怖くて、とても沁みるラストでした。
    いやー、こういう掘り出し物ってほんと気持ちを豊かにしてくれますね。
    有難うございました。

    • ブッチさん、コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまって申し訳ありません。

      この手の映画はのちの『ハロウィン』『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』『スクリーム』などのヒットによって、むしろ亜流の面白さばかりが知れ渡ってしまった感がありますが、その元祖となったのがたぶんこの『暗闇にベルが鳴る』なのでしょうね。元祖であるがゆえにまだ定型化していない試行錯誤が本作の面白味であると思います。電話というツールの使い方しかり、緩急のおかしさしかり、ラストの無常観しかり。こういう忘れられた傑作がお手軽に観られるようになった現代はなんやかんやいい時代ですね。そういう作品を発掘して紹介していきたいと常々思っておりますが、しばらく更新が滞っているのはボクの不徳の致すところ。近いうちに復活してみたいと思っております。