『グリーンルーム』感想とイラスト けだるい朝を待ちわびて

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映画『グリーンルーム』アントン・イェルチンのイラスト(似顔絵)

グリーンルーム(楽屋)を舞台に巻き起こる売れないパンクバンドVS最凶ネオナチ軍団。凶悪な狂信集団に狙われたバンドの運命やいかに!?…ってあれ?これってもしかしてネオナチだって被害者なんじゃ……。

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目次

『グリーンルーム』感想とイラスト けだるい朝を待ちわびて

  1. イラスト
  2. 作品データ
    1. 予告編動画
  3. 感想と評価/ネタバレ有
    1. とりあえず結論から
    2. カッコ悪いカッコよさ
    3. ナチもバンドも右往左往
    4. 異文化衝突籠城戦
    5. 暴力のその後
    6. 祭りのあと

作品データ

『グリーンルーム』
Green Room

  • 2015年/アメリカ/95分/PG12
  • 監督・脚本:ジェレミー・ソルニエ
  • 撮影:ショーン・ポーター
  • 音楽:ブルック・ブレア/ウィル・ブレア
  • 出演:アントン・イェルチン/イモージェン・プーツ/アリア・ショウカット/ジョー・コール/カラム・ターナー/メイコン・ブレア/パトリック・スチュワート

参考 グリーンルーム – Wikipedia

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

山奥の小さなライブハウスを舞台に、殺人事件を目撃したことにより楽屋へと立てこもった売れないパンクバンドと、そこを牛耳るネオナチ軍団との壮絶なサバイバルを描いたバイオレンススリラーです。監督は『ブルー・リベンジ』の新鋭ジェレミー・ソルニエ。

とりあえず結論から

限定的空間を舞台に狩る者と狩られる者との命の駆け引きを描いたワンシチュエーションスリラー。昨年は『ドント・ブリーズ』という大当たり作がありましたが、個人的にはそれを超える面白さと、衝撃と、笑いを届けてくれたボンクラ人間賛歌だと思っております。

世間の負け犬同士がはからずも対峙し、ともに追いつめられ、人間としての弱さと情けなさと精一杯の虚勢をさらけ出して相まみえる、ボンクラ血みどろ極限サバイバル。ダメ人間どもが必死に生きて、あっけなく死んでいく人生のバカバカしさには血沸き肉踊りますな。

カッコ悪いカッコよさ

トウモロコシ畑に突っ込んだワゴン車。車の持ち主は売れないパンクバンドの“エイント・ライツ”で、どうやら原因は居眠り運転の模様。のっけからけっこうな大事なのですが、それをそう感じさせない気の抜けた状況認識がすでにこの映画の曲者ぶりを表していると言えます。

ついでに言うと、すでにオープニングの時点で彼らが緑の空間に囚われ、気がついたら囲まれているという未来を暗示しているとも言えるでしょう。おまけに車はガス欠。ガソリンを求めて自転車のふたり乗りで緑の道をダラダラ走る姿が個人的にはそうとうお気に入り。

おまけにガソリンを買うのではなく盗むという情けなさがまた良い。その情けなさを美しい光と音楽と緑のなかで描き出すカッコ悪いのにカッコいい映像。つまりはとことんカッコ悪いのになんかカッコいいという妙な映画なのです。すでに大好物すぎてよだれが止まりませんな。

ナチもバンドも右往左往

実はそうとうカッコ悪いのに精一杯カッコつけている貧乏パンクバンドのエイント・ライツ。喫茶店でのひとり6ドル全力ライブにぶちギレた彼らは、仲介役のモヒカンからある山奥のライブハウスを紹介され、何やら青春映画じみた光景をキラキラさせながら向かうのです。

しかしなんとそこはネオナチどもの巣窟。俺たちゃ反体制のパンクスよ。こここんなハゲどもにビビビってらられっかよぉ!と精一杯の虚勢を張って叩きつけた『Nazi Punks Fuck Off!(ナチ・パンクス ぶっ殺すぞ!)』。弱いくせに威勢だけはいいパンク魂の真骨頂ですな。

一瞬、会場には不穏な空気が漂うものの、ライブはまずまず盛況のうちに終了。さ~てギャラも受け取ったしさっさと帰ろ。おっと楽屋に携帯忘れちゃった。しっつれいしま~す……って女の子のテンプルにナイフ突き刺さってんよ!ポポポ、ポ、ポリスメ~~~ン!

てな具合に見てはいけないものを見てしまった彼らは、殺人の起きた楽屋(グリーンルーム)に軟禁されることに。殺人、強面、ネオナチ軍団、軟禁、そして銃の登場にさっきの威勢は吹き飛んでビビりまくるエイント・ライツ。反体制が官憲に頼るというヘタレっぷり。

しかしこれが好ましくない状況であるのはネオナチにしても同様で、彼らは彼らでこの事態にどう対処するのかあたふたおたおたしておるのですね。このへんの双方ポンコツぶりがまた非常にリアルで情けなくて、状況に翻弄されるダメ人間のテンパり具合が心底身に染みます。

異文化衝突籠城戦

見張り役の銃をなんとか奪い(腕ひしぎ十字固め!)、「さっさと出てこい!」「嫌だ嫌だ!警察呼んでくんなきゃ絶対出ない!」という扉一枚を隔てた緊迫の籠城戦がついに幕を開ける『グリーンルーム』。迫りくるネオナチと、それを迎え撃つパンクバンドとの全面対決。

古き良き西部劇や『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『要塞警察』を思い起こさせる設定に、『脱出』や『サザン・コンフォート』などの異文化衝突、そして『わらの犬』の否応なく暴力に暴力で対抗せざるおえなくなる状況などがミックスされた生と死の相克。

前述しましたとおり、この状況は双方にとってのっぴきならない事態であり、どれが正解なのかわからない暗中模索のなかで一進一退の攻防を繰り広げる緊張感が絶品なのであります。これってバンド側も恐怖ですけど、同時にネオナチ側も追いつめられているんですよね。

このへんが上手いというか異色だというか、途中から実はまったく精鋭などではないネオナチのポンコツぶりに同情心すら芽生えてくる始末。怖いボスの命令で仕方なくやってるだけだもんね。結局のところ、貧乏パンクもネオナチも社会に居場所のねえ負け犬同士なのかも。

暴力のその後

そんな負け犬同士の情けなくも悲惨で無常な籠城戦。必要最小限の情報しか開示しないモヤモヤ感がまた妙な不穏さを振りまいており、何やらいわくありげなバットのくだりなんてすんごい不気味なこけおどし。殺人のきっかけとなった「肉挽き機」なんかもまたしかり。

それは唐突で不意打ち的にあっさりと巻き起こる一瞬のバイオレンスにしても同様で、そのタイミング、見せ方、後処理がもう絶妙すぎて、カ・イ・カ・ン♥主人公パットの左腕に起こった悲劇の描写なんて、見せない想像力と見せる衝撃のバランス感覚に悶絶しましたよね。

その後もきわめて即物的な暴力描写の雨あられで、それが起こった瞬間の凄惨さは激しく燃え上がっているというのに、事が起こってからはもう興味がないかのように捨て置く祭りのあとの冷静さがひたすらセクシーで、ホットなのかクールなのかどっちなのよ!って感じです。

それは闘犬の活躍と体たらくと哀愁にも言えることで、ぽてぽて歩く彼が最後に収まる場所なんてしんみりきちゃいますよね。鳴り物入りで参戦してきたモヒカンのいとこの高速退場。絶体絶命のピンチにすたこら背を向けるボスの逃避。思うようにはいかない人生の無常。

祭りのあと

結局この映画に勝者はいるのだろうか?見せかけの権威によって厳しく統制された部隊と、反権威を掲げる自由の気取り屋たちとのバカな理由による血みどろの殺し合い。そんな双方にとって不幸だとしか思えない、血祭りのあとのけだるい朝の到来がこれまたたまらないの。

事件のきっかけを作った者たち、無常な血祭り劇を生き残った者たちに訪れた新しい朝。誰も今回の事件を通して得たものなんてない。あるのはけだるい朝のにおいだけ。唯一救われたと言えるのは、ようやくすべてのしがらみから解放されたゲイブの安堵の表情だけかも。

いまだ緑の空間に囚われながら、ようやく無人島で聴きたいバンドを思いついたパット。しかし彼の答えを聞くことはできません。永遠に聞けなくなってしまいました。アントン・イェルチン。彼にはもう二度と新しい朝が訪れないのだと思うと、この映画のラストにはまた別の感慨を覚えてしまいますよね……。

個人的評価:7/10点

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