日本最凶の心霊スポットとして名高い「犬鳴トンネル」にまつわる、歴史の闇へと沈められて蓋をされ、皆の記憶から抹消された忘れられた村の咆哮がいま闇夜に木霊する。ふたつの意味で、この犬殺しがぁ!
作品情報
犬鳴村
- 英題:Howling Village
- 製作・2020年/日本/108分
- 監督:清水崇
- 脚本:保坂大輔/清水崇
- 撮影:福本淳
- 音楽:海田庄吾/滝澤俊輔
- 出演:三吉彩花/坂東龍汰/大谷凜香/高嶋政伸/高島礼子/寺田農/石橋蓮司
参考 映画『犬鳴村』公式サイト
予告編動画
解説
「日本最凶の心霊スポット」とも喧伝される福岡県に実在する旧犬鳴トンネルにまつわる都市伝説をモチーフに、歴史の闇へと消えた呪われた村から始まる怪異と悲しい秘密を描いたジャパニーズホラーです。
映画の元ネタとなったのは、「旧犬鳴トンネル付近に日本の法治が及ばぬ謎の集落、一度入れば二度と生きては出られない『犬鳴村』が存在する……」という心温まる都市伝説。その成り立ちと現在についてはこちらに詳しいのでどうぞ一読を。
監督は『呪怨』シリーズからハリウッドへと飛び出した清水崇。主演は『ダンスウィズミー』の三吉彩花。共演には『静かな雨』の坂東龍汰、『ミスミソウ』の大谷凜香、『ゴジラVSビオランテ』の高嶋政伸、『さまよえる脳髄』の高島礼子など。
主題歌『HIKARI』を歌うのは日本の女性シンガーソングライターMs.OOJA(ミス・オオジャ)。
主題歌/Ms.OOJA『HIKARI』
あらすじ
最凶の心霊スポットとして名高い「犬鳴トンネル」へと動画撮影のためにやって来た明菜と悠真。そこで伝説の「犬鳴村」を発見したふたりだったが、奇怪な何者かと遭遇してほうほうのていで逃げ帰る。ほどなくして明菜の様子がおかしくなり、放心状態で妙なわらべ歌を口ずさむように。
心配した悠真は臨床心理士をしている妹の奏(かなで)に相談するものの、その矢先、明菜が凄惨な変死を遂げる。これをきっかけに奏の周囲で巻き起こる変異の数々。すべての謎は「犬鳴村」へとつながるのか?奏は真相を求めて先の見えない闇の中へと足を踏み入れるのだったが……。
感想と評価/ネタバレ多少
お久しぶりです。ボクの指がボクの意思とは無関係に、本作『犬鳴村』の座席を指でポチッとネット予約していたことに気づき、慌てて指とボクらの将来について語り合いながら出かけてまいりました。世の中にはとかく不思議なことがあふれておるもんです。
てなわけで『犬鳴村』の感想です。清水崇?嫌いです。『呪怨』?嫌いです。「ほな、なんでこんな映画観とんねん!」と言われましても、ボクではなくボクのユビーがしでかしたことですので、世の中にはとかく不思議なことがあふれておるもんなのです。てなわけで『犬鳴村』の感想です。
真の「村ホラー」が観たかった
福岡県に実在する「犬鳴トンネル」にまつわる都市伝説をモチーフとした本作。そんな心霊スポットへとYouTubeかなんかの動画撮影に来たような生贄感丸出しのバカップル。もはや使い古されたPOVスタイルで幕を開ける本作ですが、これが意外と悪くないから清水崇も捨てたもんじゃない。
粗い映像の一瞬に、何か居たような、見えたような、でも雑に流れていくブレブレのなかで確認しようのない居心地の悪さ、据わりの悪さ、ケツのむず痒さが非常にいい塩梅で、「たまにはケツ毛でも剃ってみようかなぁ」なんて薄気味悪い思いが頭をよぎります。
彼らが足を踏み入れてしまったのは都市伝説として語り継がれる謎の集落「犬鳴村」。「コノ先、日本國憲法通用セズ」なんてパワーワードが書き込まれた看板なんて痺れますね。そんな山奥の廃村で、しかも真夜中に、カメラ片手に放尿するバカップルはそこで何者かと出会ったのです。
彼らは何を見たのか?何に触れたのか?何が起こったのか?村の秘密へと不用意に小便しながら接近してしまった女は、やっぱり小便しながら美しいダイブで電話口に「もうすぐだよ♡」とハートマーク咲かせながら見事に脳漿を撒き散らします。なんと美しい小便と電話の使い方であろうか。
「おいおい!どうした清水崇!?」ってぐらいに素晴らしい幕開けです。心霊スポットの生々しい怪異と、不用意にそれに触れてしまった結果起こる正体不明の惨劇を、小便と、電話と、あと大人になると無性に怖くなるわらべ歌によって表現した見事な導入部。
ボクの指も捨てたもんじゃないと思いましたね。「お前いい映画チョイスしたやんけ!」とやや霜焼けぎみでイモムシのように膨れ上がった彼をナデナデモミモミしてやったもんです。ご褒美にニベアでも買ってやろうかと思いましたが、残念なことにその後が、いつもの清水崇が……。
なんでしょうね、その後の怪奇現象、恐怖演出も部分部分では素晴らしい切れ味を見せてくれてはいるんですよね。寺田農の漏れ出た心の声としての「この犬殺しがぁ!」とか、田舎の中途半端ヤンキー的ズッコケ三人組の電話ボックスくんずほぐれつとか、高島礼子のわんこ化現象とか。
でもね、そういう良い部分を帳消しにしてしまうドラマとしての、構成としての欠陥がとにかく残念で惜しいんですよね。本作の恐怖、怪異のロジックには、日本国繁栄の裏側で闇へと沈められた村の悲劇という、差別と迫害の重たい現実が横たわっておりました。
これは良い、これは良いのですが、そういう重たい現実を血のループとして家族のドラマに矮小化し、ある種の感動ホラー的体裁を整えている点がいただけない。ゆえに怪異のロジックが破綻し、本作が呪いだったのか、復讐だったのか、哀しき怒りだったのかわからなくなってしまうのだ。
あと懇切丁寧に解法しすぎ問題もありますよね。恐怖や不安というものは、ある意味では蓋をしたまんまのほうが効果を発揮するのです。すべては明かされない、見えない、解けないからこそ真実は恐ろしい。
冒頭のPOV映像の端っこにチラチラと映り込んでいるようないないような何か。本当に映り込んでいたのかもしれないし、単なる気のせいかもしれない。撮影者の作為かもしれないし、無作為のナニモノカかもしれない。「コマ送りすりゃ一発!」なんて野暮なことはしちゃいけねーよ。
「なんかが居たような、見えたような気がする…」と不安を我がの心中にとどめて、恐怖を持続させ続け、夜も眠れなくなるのが正しい人としての営み。そういう恐怖の根幹を最初はちゃんと認識していたのに、途中からきれいさっぱり忘れ去っちゃったのが本作『犬鳴村』なのでしょうね。
清水崇にしては凄く良い部分も目についただけに、いつもの詰めの甘さが本当に残念でなりませんな。あ、けっこう批判されているみたいだけど、ボクは犬女の「はよせーや!」ダンスは好きですよ。だってアレなんかクンフーの達人みたいやん♡
個人的評価:5/10点
コメント
映画見るより犬鳴ダムを一周すると解るよ❗学校跡や、村のお墓石を、ダム建設の時に山奥に移動してるから墓参りは大変だべ
自殺の名所と事件、交通事故は多い
から前を見て運転しましょう。
トンネルから人柱や炭鉱の山などから韓国人が埋まって無いことを祈りしましょう