怖くないホラー映画なんぞに存在価値はなーい!恐怖こそ至上!恐怖こそ正義!恐怖こそ勝利!そんな夜中に小便ちびるぐらい恐ろしい超絶おすすめホラー映画ランキングの発表じゃい!
- ホラー映画のススメ
- 心底怖いおすすめホラー映画ベスト20
- 選外おすすめホラー映画リスト100
- フランケンシュタイン(1931)
- フリークス/怪物團(1932)
- 狩人の夜(1955)
- 東海道四谷怪談(1959)
- 地獄(1960)
- 回転(1961)
- バニー・レークは行方不明(1966)
- 狼の時刻(1968)
- ローズマリーの赤ちゃん(1968)
- 呪われたジェシカ(1971)
- ウィッカーマン(1973)
- ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖(1973)
- 暗闇にベルが鳴る(1974)
- キャリー(1976)
- ザ・チャイルド(1976)
- サスペリア(1977)
- HOUSE ハウス(1977)
- ピラニア(1978)
- マジック(1978)
- ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979)
- ノスフェラトゥ(1979)
- アリゲーター(1980)
- ザ・フォッグ(1980)
- チェンジリング(1980)
- 狼男アメリカン(1981)
- ポゼッション(1981)
- バスケットケース(1982)
- 狼の血族(1984)
- フライトナイト(1985)
- 幽幻道士 キョンシーズ(1986)
- エンゼル・ハート(1987)
- 戦慄の絆(1988)
- ペット・セメタリー(1989)
- ジェイコブス・ラダー(1990)
- スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1990)
- ダークマン(1990)
- 不法侵入(1992)
- 危険な遊び(1993)
- クロノス(1993)
- マウス・オブ・マッドネス(1994)
- マングラー(1995)
- エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウィルス(1996)
- スクリーム(1996)
- パーフェクトブルー(1998)
- ラビナス(1999)
- アメリカン・サイコ(2000)
- アザーズ(2001)
- 回路(2001)
- 28日後…(2002)
- キャビン・フィーバー(2002)
- オープン・ウォーター(2003)
- デッドコースター(2003)
- ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)
- ディセント(2005)
- スリザー(2006)
- BUG/バグ(2006)
- 永遠のこどもたち(2007)
- 屋敷女(2007)
- 籠の中の乙女(2009)
- スペル(2009)
- ビー・デビル(2010)
- Virginia/ヴァージニア(2011)
- サプライズ(2011)
- ムカデ人間2(2011)
- FOUND ファウンド(2012)
- オキュラス/怨霊鏡(2013)
- オンリー・ゴッド(2013)
- 武器人間(2013)
- 複製された男(2013)
- MAMA(2013)
- イット・フォローズ(2014)
- ゾンビーバー(2014)
- ババドック ~暗闇の魔物~(2014)
- パラドクス(2014)
- ウィッチ(2015)
- ゾンビーワールドへようこそ(2015)
- プリースト 悪魔を葬る者(2015)
- ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー(2015)
- ジェーン・ドウの解剖(2016)
- クリーピー 偽りの隣人(2016)
- 死霊館 エンフィールド事件(2016)
- ドント・イット(2016)
- RAW~少女のめざめ~(2016)
- IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)
- テリファイド(2017)
- マザー!(2017)
- クワイエット・プレイス(2018)
- サスペリア(2018)
- ヘレディタリー/継承(2018)
- 樹海村(2021)
- 最新版オールタイムベストホラー映画ランキング
- 最後の戯言
ホラー映画のススメ
人はなぜホラー映画を観るのか?
それは恐怖とは快楽であり、ストレス発散の手段であり、エロスの発動であり、つまりは進化した人間の新たなる精神高揚、もしくは安定を図る非常に高度かつ洗練された娯楽であり、我々はホラー映画を観ることによって生きるための力を得ているといっても過言ではない。
いや、少々言いすぎたかな?いやそんなことはない。ホラー映画とは我々の人生をより豊かにする現代人の嗜みなのだ!怖ければ怖いほどなお素晴らしい!怯えて震えて夜中に小便ちびるほど怖い映画でなければホラー映画の意味がない!怖くないホラー映画なんぞに存在価値はないのだ!
てなわけで、そんな「失禁御免!」の心底怖いおすすめホラー映画を今回はランキング形式で紹介してみたいと思います。選考基準はいたってシンプル。「恐怖!」ただこの一点のみです。
これまでの鑑賞歴からホラー、スリラー系でボクが心底「怖い!」と思った作品20本を厳選いたしましたので、どうぞ最後までお付き合いいただき、恐怖に震えていただけたらこれ幸い。
心底怖いおすすめホラー映画ベスト20
第20位 ゆりかごを揺らす手
授乳が怖い!
患者によるセクハラ告発によって自殺した産婦人科医。それによって財産を奪われ、ショックから流産、子供が産めない体となった医師の妻による逆恨み復讐劇を描いたサイコスリラーです。
監督は傑作ノワール映画『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンですので、ジャンルとしては低予算B級スリラーでも安定した面白さを誇ります。この映画の恐怖ポイントは「綿密に練られた復讐計画」。レベッカ・デモーネイがすべてを失った女性の悲哀と狂気を見事に演じており、それが爆発した授乳シーンがなんとも怖い!
第19位 SF/ボディ・スナッチャー
絶叫が怖い!
自分の家族が、恋人が、友人が、隣人が、そして自分自身が、ある日突然、人間ではない何か別のモノに変わってしまっているかもしれない恐怖を描いたボディスナッチ系SFホラーです。
都合4回も映画化されたSF小説『盗まれた街』から、不条理な日常的恐怖が最も際立つ1978年のフィリップ・カウフマン版が見事にランクイン。この映画の恐怖ポイントは「何かが起こっているかもしれない状況」。この「かも」が大事なポイントで、シュールかつ不気味な不穏さを映画全体に漂わせているのですよ皆さん。ドナルド・サザーランドの絶叫が怖い!
「恐怖」という点においては1978年版に軍配が上がりますが、映画としてのシャープな完成度においては1956年のドン・シーゲルによるオリジナル版、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』も観逃せませんよ。
第18位 ヒッチャー(1986)
見えないけど怖い!
ひとりの青年が土砂降りの雨のなかで拾ったヒッチハイカー。男は殺人鬼でなぜだか執拗に青年を追いかけ回し、いつ終わるとも知れない死の鬼ごっこが展開されるというサイコスリラーです。
『ブレードランナー』で知られる名優ルトガー・ハウアーが、自殺のための他殺を繰り返しているとも思える狂人を怪演した、なんとも謎めいた不条理的というか白昼夢的な逸品です。この映画の恐怖ポイントは「低予算ゆえの見せない演出」。見えないからこそいろいろと想像してしまうあれやこれや。それが絶頂に達したヒロインのあのシーンが怖い!
第17位 ヘンリー
男の顔が怖い!
300人以上もの女性を殺害し、アメリカ犯罪史上にその名をとどろかす実在の殺人鬼、ヘンリー・ルーカスの理由なき凶行の数々を描いた実録クライムスリラーです。
殺人鬼の日常をドキュメンタリータッチによって淡々と描き出した異色の作品で、その冷徹なまでのリアリズムはまさに戦慄です。この映画の恐怖ポイントは「日常的行為の延長としての殺人」。ヘンリーには動機などという無粋な行動原理が存在していないように見えるのがひたすら不気味です。若き日のマイケル・ルーカーの顔が今も昔も怖い!
第16位 鳥
説明なしが怖い!
ある日突然、なんの理由もなしに人間を襲い始める鳥たちによる恐怖を描いたアニマルパニックホラーです。監督は言わずと知れたサスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコック。
恐怖映画のお手本とでもいえそうな完成度を誇る古典的傑作ホラーで、取るに足らない存在だったはずの逆襲によって恐慌へと陥る人間たちの右往左往がたまりません。この映画の恐怖ポイントは「罪と罰」。劇中で鳥たちの明確な攻撃理由は提示されておりませんが、要するにそういうことなのだと思います。それに対するなんらの説明もないところが怖い!
第15位 眼には眼を
ロープウェイが怖い!
シリアの小都市。非番の日に家へと押し掛けた患者の治療を断ったフランス人外科医。その日から彼を襲う何者かによる終わりなき嫌がらせの果てを描いたサイコスリラーです。
執拗かつ陰湿なストーカー映画の元祖ともいえる内容ですが、その裏側には差別と断絶も横たわっているような気がして、ある意味では自爆テロ映画ともいえるかも。この映画の恐怖ポイントは「永遠に与えられない赦し」。ラストの俯瞰映像がそれを見事に表現しており、恐怖と絶望に身震いしてしまいますよ。中盤のロープウェイも高所恐怖症には怖い!
第14位 絞殺魔
部屋のなかが怖い!
1960年代に実際に起こったボストン絞殺魔事件を、ドキュメンタリータッチによって映画化した実録犯罪スリラーです。監督はこの手の実録犯罪もので手腕を発揮する名匠リチャード・フライシャー。
捜査の過程を画面分割の多用によってリアルに見せる前半と、犯人の冷徹な犯行現場を目撃させられているような中盤、そして犯人の異常な心理へと迫っていく白昼夢的な後半と、多角的な視点、表現が本当に素晴らしい!この映画の恐怖ポイントは「自分でもよくわからない衝動」。それをシュールに描き出した後半の取り調べシーンは必見です!真っ白い部屋の空間が怖い!
第13位 女優霊
少女の肢体が怖い!
映画撮影所を舞台に、新人映画監督が自身の処女作に紛れ込んだ不気味な映像をきっかけとして、怪異な現象へと巻き込まれていく恐怖を描いたジャパニーズホラーの礎です。
同じく中田秀夫が監督した映画版『リング』は原作に比べればたいしたことなかったのですが、この『女優霊』を深夜に何げなく観たときは本当に怖くて小便ちびりました!この映画の恐怖ポイントは「ストレートな怪談話」。日本古来の謎めいた怪談話のなかで突如として現出する、真俯瞰で映し出されるグニャリとひん曲がった少女の肢体が怖い!
第12位 エイリアン
平凡パンチが怖い!
地球へと帰還する途中の宇宙貨物船ノストロモ号。その船内へと侵入してきた謎の異星生物に襲われるクルーたちの恐怖を描いた、言わずと知れたSFホラーの傑作中の傑作です。
H・R・ギーガーによってデザインされた男根エイリアンの登場はまさにエポックな事件でしたよね。この映画の恐怖ポイントはゴシック調に決まりに決まりまくった「リドリー・スコットによる圧倒的ビジュアル」。稀代のビジュアリストであるリドリー・スコットの手による、ゴシックホラーとSFスリラーとの融合は美しすぎる恐ろしさ。「平凡パンチ」を口へとねじ込まれるリプリーが怖い!
第11位 CURE
尻切れラストが怖い!
連続猟奇殺人事件を捜査する刑事が、事件のすべてに関係する謎の男との対峙によって自己の隠された欲望を知るという、黒沢清の名を世界にとどろかせたサイコスリラーです。
この作品の恐怖ポイントはタイトルそのまんまの「CURE(治癒)」であります。自己の深層に抑圧された怒りや憎しみを解放することにより、初めて精神の安定が得られる、迷惑な伝道師による究極の救済劇。そんな血まみれの癒しは新たなモンスターを、最凶伝道師を生み出したことを予感させる、見えそうで見えないラストカットの尻切れ感が怖い!
第10位 ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
救いがなくて怖い!
突然よみがえった生きる屍(ゾンビ)に襲われ、近くの民家へと逃げ込んだ7人の男女の非情なる運命を冷徹に描き出した、ジョージ・A・ロメロによる記念すべきゾンビ映画第1弾です。
個人的な好き度でいったら実は『死霊のえじき』なのですが、シリーズのなかでも怖いといったらやっぱりこの第1作!当時のアメリカの社会情勢を反映させながら、不気味なモノクロ映像のなかでカニバリズムとアンモラルが横溢する終末世界のおぞましさ。この映画の恐怖ポイントは「なんだかんだで人間」。ラストの救いのなさがリアルにあっけなさすぎて怖い!
第9位 ミスト
女の顔が怖い!
町を包み込んだ濃い霧のなかから襲いかかる謎の襲撃者の存在に怯え、スーパーマーケットへと立てこもった人間たちの混乱と対立を描いたSFモンスターホラーです。
いわゆるモンスター映画としての怖さも確かにありますが、そんな状況のなかであらわになっていく剥き出しの人間性を描くことこそが本作の主眼です。ゆえにこの映画の恐怖ポイントは「追いつめられた人間の集団心理」。希望を失った人間に対する断罪を描いたとおぼしきラストには、やっぱりトラウマ級の絶望感がありますよ。マーシャ・ゲイ・ハーデンの顔が怖い!
第8位 恐怖のメロディ
リクエストが怖い!
ひとりの女性ファンと一夜を共にした人気ラジオDJが、偏執的なまでに付きまとってくる女の異常さによって次第に追いつめられていく姿を描いたサイコスリラーです。
いわゆるストーカー映画の元祖といってもいい、クリント・イーストウッドの先見の明が光る監督デビュー作で、この映画の恐怖ポイントはそのままズバリ「ストーカー」。自身の下半身のゆるさが招いた自業自得とはいえ、徐々にあらわになっていく女の正体の凄まじさに、ドン引きながらも逃げられないイーストウッドのMっ気がたまりません。リクエスト曲『Misty』が怖い!
第7位 何がジェーンに起ったか?
白すぎて怖い!
子役として一世を風靡しながら落ちぶれた妹ジェーンと、彼女と入れ替わるように大スターへと躍り出た姉ブランチによる、長年にわたる女の愛憎劇を描いたサイコスリラーです。
往年の名女優ふたりによるガチンコバトルがギットギトなまでに濃厚なサイコビディものの傑作です。この映画の恐怖ポイントは「長年にわたる嫉妬と贖罪の板挟み」。生まれながらにして光と影、愛しながら憎み合うことを宿命づけられた姉妹の姿には恐怖とともに哀れさを禁じえませんが、残念ながら後戻りはもはや不可能なのですよね。ベティ・デイヴィスの顔が白すぎて怖い!
第6位 ミザリー
ハンマーが怖い!
雪山で遭難したベストセラー作家を助けた彼のナンバーワンファンを自認する女性。しかし、彼女の偏執的なまでの愛情は徐々に常軌を逸していくというサイコホラーです。
隔離された舞台、身動きのとれない身体、狂気の看護人というシチュエーションがたまらない、スティーヴン・キング原作における最強恐怖映画だといえるでしょう。この映画の恐怖ポイントは「異常なまでのファン心理」。愛情の暴走により狂人と化したモンスター、キャシー・ベイツの怪演はキュートなまでのおぞましさ!ハンマーが怖い! というか痛い!
第5位 赤い影
赤ずきんちゃんが怖い!
仕事でベニスを訪れていた夫婦が、ある水難事故によって失った愛娘の幻影を見たことから、不可思議な現象へと呑み込まれていくという不条理オカルトミステリーです。
撮影監督出身のニコラス・ローグによる凝りに凝った映像がとにかく必見な本作。この映画の恐怖ポイントは「画面に映るものすべて」といっても過言ではないでしょうね。もう観てもらえればわかりますけど、何から何まで意味ありげな不穏さを終始バラまいており、そこに意味があろうとなかろうとすべてが不気味な不条理的な恐怖なのです!赤ずきんちゃんの正体が怖い!
第4位 エクソシスト
監督が何より怖い!
12歳の少女に取り憑いた悪魔と、それに苦しめられる母親、そして悪魔と神父との壮絶な闘いの行方を描いた、オカルトブームの火付け役となった傑作中の傑作ホラーです。
悪魔憑きとエクソシズムをリアリズムによって描いた本作の恐怖ポイントは多数ありますが、要約すると「監督ウィリアム・フリードキンの狂気」に尽きるかと思います。現場でショットガンをぶっ放し、俳優をぶん殴り、蹴り倒し、恐怖で場を支配することにより、凍てつくような地獄をフィルムへと焼きつけてみせた狂気の沙汰。お前自身が何よりも怖い!
第3位 アンチクライスト
ドングリが怖い!
情事の最中に最愛の息子を死なせてしまった夫婦が、自責の念から精神を病んでいく妻のセラピーのために訪れた山奥で現出するカオスを描き出した衝撃的問題作です。
ラース・フォン・トリアーの性格の悪さが如実に反映された、言わずと知れた最低最悪難解イテテテ映画(褒めてますよ)です。この映画の恐怖ポイントは「直視できないほどの痛み」。男性にとっても女性にとっても痛すぎる描写の連続が本当に恐ろしくて見てられないのですが、それを超絶に美しい映像で描き出すところがまたこの監督の性格の悪さ。ドングリが怖い!
第2位 悪魔のいけにえ
長男坊のヘラヘラ笑いが怖い!
旅行中にテキサスを訪れた5人の若者が、その地に棲む殺人鬼一家によって恐怖のどん底へと叩き落とされる姿を描いた、トビー・フーパー監督による伝説的ホラー映画です。
オールロケーション、粗い画質、不快なノイズ音など、このリアリスティックな息詰まる恐怖映像の連続は本当に奇跡としか言いようがありません!この映画の恐怖ポイントはなんといっても「アメリカの田舎」。アメリカ南部はキチガイどもの巣窟だという認識が刷り込まれてしまいましたよね。ソーヤー一家はみんな怖いけど、なかでも長男のヘラヘラした笑いが怖い!
第1位 シャイニング
廊下が怖い!
冬のあいだは閉鎖される山上のホテルを舞台に、そこの管理人を任された小説家志望の男が徐々に狂気へと堕ちていく姿を圧巻の映像美で描き出した傑作中の傑作ホラーです。
自分にとってはこの作品がガキの頃からのトラウマ映画でありまして、他を寄せつけない盤石の第1位であります。この映画の恐怖ポイントも多数あるのですが、やはり自分にとってはキューブリックお得意の「シンメトリーによる構図」でしょうかね。その完成された美しき構図が得も言われぬ美と狂気と恐怖を生み出しておるのです。とにかく廊下が怖い!
選外おすすめホラー映画リスト100
すでにここまでで皆さまお腹いっぱい、膀胱パンパン、失禁寸前かもしれませんが、書いているうちに「アレもコレももっと紹介したい!」という傍迷惑な欲求がフツフツとわいてきましたので、どうぞもうしばらくお付き合いください。
それでは続きまして、今回のおすすめホラー映画ランキングには惜しくも入らなかったものの、是非とも紹介したい、観ていただきたい「選外おすすめホラー映画100」を簡単ではありますがリストアップいたしましたので、どうぞこちらも参考にしてみてください。
フランケンシュタイン(1931)
自らの手で生命創造を成し遂げようと躍起になるマッドサイエンティストにより、死体を接合して生み出された怪物の恐怖と悲劇を描いた古典的モンスターホラーです。人間の傲慢さと怪物の悲哀がたまらない、いま観ても十二分に面白恐ろしい古典ホラーですよ。続編である『フランケンシュタインの花嫁』もおすすめ。
フリークス/怪物團(1932)
本物の奇形や不具者がスクリーン狭しと暴れ回る古典的怪奇映画です。当時は見世物として生きる彼らのありのままの姿を当然のように映し出した天然映画なのですが、天然すぎて世間の目を読めずに長らく封印されてしまったのはまあ自然な反応かもしれません。しかしボクから言わすとこれを封印するほうが差別なんですけどね。
狩人の夜(1955)
言葉巧みにある家族に近づいた伝道師の恐ろしい素顔を描いたノワールホラーです。名優チャールズ・ロートンが生涯で唯一残した監督作なのですが、そのとらえどころのない奇怪な世界観はシュールで悪夢的なおとぎ話のようで、あまりに美しいモノクロ映像とあわせて唯一無二の体験ができますよ。
東海道四谷怪談(1959)
伊右衛門とお岩、想い合って結ばれた夫婦の愛憎劇の果てを描いた、四代目鶴屋南北の『東海道四谷怪談』を映像化した日本怪談映画の最高傑作です。最も有名な怪談話を、独特な映像センスによってビジュアル化した、数ある『四谷怪談』映画の最高峰にして怪談映画の最高傑作!冒頭の長回しからしてもう震えが止まらない!
地獄(1960)
仏教における八大地獄の映像化をテーマに、生きるも地獄、死ぬも地獄な人間の罪深さを描いた傑作中の傑作オカルトホラーです。上で紹介した『東海道四谷怪談』の中川信夫監督作で、個人的には本作こそが彼の最高傑作!シュールレアリズムの極致ともいえるカオスな演出が現世でもあの世でも繰り返される、まさに地獄映画!
回転(1961)
幼い兄弟のために邪悪な幽霊と対決しようと心に誓った家庭教師の必死のパッチを描いた、ゴシックホラーと見せかけた深すぎる心理スリラーの傑作です。この作品は答えの出ない曖昧さが秀逸な考察好きホイホイ映画なのですが、その真偽不明な騒動の果てに提示される結果に、我々はただ打ちひしがれるのみ!
バニー・レークは行方不明(1966)
突如として行方不明になった我が子を捜す母親に向けられる、懐疑と不安と狂気の先にある驚愕の真相を描いた実存不安スリラーです。存在したはずの人物の消失をテーマにした数ある実存不安映画のなかにおける最高傑作で、この手の映画の難題であるオチを唯一軽やかに突破した衝撃の真相は、まさにネタバレ厳禁な衝撃中の衝撃!
狼の時刻(1968)
売れない画家の劣等感と焦燥はいつしか嫁の心すら蝕んでいくという、人と人外が交わるこの世とあの世、現実と妄想の境界をふらふらさまようゲイジツ的心理スリラーです。ベルイマン史上で最もキマっていると言ってもよいバッキバキな白黒映像がひたすら美しくも恐ろしい傑作で、怪人どもが一堂に会したショットはとにかく必見!
ローズマリーの赤ちゃん(1968)
妊娠を期に情緒不安定に陥った女性の幻想と現実を描いた、ロマン・ポランスキーによる心理不安アパート映画の傑作のひとつです。オチがちょっと微妙ですが、ローズマリーの心理的緊張を映し出した不条理な悪夢感はいま観ても強烈。『反撥』『テナント/恐怖を借りた男』も同じアパート恐怖映画としておすすめです。
呪われたジェシカ(1971)
メンヘラのジェシカが現実なのか妄想なのかわからない曖昧な地獄へと叩き落される姿を描いた、1970年代を代表する隠れた傑作ホラーのひとつです。『ローズマリーの赤ちゃん』と同系統でありながら、明確な答えのない曖昧さこそが恐怖なのだと教えてくれる逸品でして、ゴア描写がインフレを起こした今だからこそ観てほしい!
ウィッカーマン(1973)
原始的宗教が生き残る孤島を舞台に、熱心なクリスチャンが異教徒によって酷い目に遭う姿を描いたオカルト祝祭ホラーです。『ミッドサマー』の元ネタと言ってもいいカルトホラーの傑作で、独自の文化、宗教に基づくエロキモヤバい祝祭へと呑み込まれていく、童貞クリスチャンの顛末が爆笑しながらも心底恐ろしいのです。あ、ニコラス・ケイジ主演版とは絶対に間違えるなよ!
ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖(1973)
アメリカの田舎町で軍が極秘に研究していた細菌兵器が流出し、町中が狂人だらけになってしまうというSFパニックスリラーです。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のジョージ・A・ロメロらしい、社会派でシニカルで厭世的な視点が満載な、正常と異常の垣根が段々と崩壊していくみんなキチガイパラダイス!
暗闇にベルが鳴る(1974)
クリスマスの女子寮で繰り広げられる謎の殺人鬼による惨劇を描いた元祖スラッシャー映画です。元祖だけあってベタな展開ではありますが、そのベタを作り出したのがこの作品だと考えると感慨もひとしおです。惨劇のきっかけとなる怪電話の狂騒と、ラストのひとひねりはちょっと後続には真似できない素晴らしさ。
キャリー(1976)
どこにも居場所がない哀れな少女の怒りのサイキックが炸裂する泣けるSFホラーです。監督ブライアン・デ・パルマのすべてが詰まったともいえる傑作で、プロムにおける画面分割を多用したショック描写と、散々パクられたラストのびっくり仰天はまさに必見!どこにも受け皿がない悲しきサイキック少女キャリーの悲哀と怒りにどうぞ皆さま涙してください。
ザ・チャイルド(1976)
スペインの孤島を舞台に、突如として大人たちを襲い出した無邪気な子供たちによる殺戮三昧を描いたオカルトホラーです。汚れた大人たちの犠牲となった無垢な子供の怒りが、うだるような暑さのなかでついに反撃ののろしを上げるなんとも邪悪な作品で、『鳥』の子供版ともいえる汚れた世界への断罪なのですこれは。
サスペリア(1977)
言わずと知れたダリオ・アルジェントによる極彩色の悪夢的迷宮な傑作オカルトホラーです。ゴブリンによるプログレッシブロックと、どぎつい色彩感覚と、残酷なショック描写とのミラクルな融合は今でも十分衝撃的。「なんでこれが選外なんだ!」という不満もあるでしょうが、ボクにとっては怖いというよりも美しかったのです。
HOUSE ハウス(1977)
深い森のなかにたたずむ古びた屋敷を舞台に、陽気な女子高生たちが家に喰われていく狂乱を描いたファンタジーホラーコメディです。「尾道三部作」で知られる大林宣彦監督のデビュー作で、彼のポップな映像センスと演出が、一種の狂気としてカオス的に展開されるぶっ飛びホラーで、絶対にほかでは味わえない映像体験かと。
ピラニア(1978)
生物兵器として改良されたピラニアが、田舎の川に放流されたことによって起こるパニックを描いたアニマルホラーです。『ジョーズ』の亜流映画のひとつですが、ジョー・ダンテらしい突き抜けたアホらしさが小気味いい快作で、実は『ジョーズ』以上の犠牲者数を誇る大量殺戮映画である点も見逃せません。子供にだって容赦はないぞ!
マジック(1978)
リチャード・アッテンボロー監督、アンソニー・ホプキンス主演による世にも珍しい腹話術ホラーです。相棒の腹話術人形に依存、同化していく気弱な腹話術師を演じたアンソニー・ホプキンスの怪演が必見!確かに孤独な男が狂気へと堕ちていく怖い映画なのですが、それと同時にせつない悲恋物語でもあるのですよ。
ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979)
人間の怒りや不安が腫瘍化し、そこから無数のフリークスが誕生するという世にも怪奇な恐ろし映画です。監督は稀代の変態ボディホラー作家のデヴィッド・クローネンバーグで、これは当時、離婚問題を抱えていたクローネンバーグの怒りの具現化なのです! 狂った嫁の首を絞めて絞めて絞め上げる彼が思い描いた夢なのです!
ノスフェラトゥ(1979)
19世紀のドイツとルーマニアを舞台に、吸血鬼ドラキュラ伯爵が運ぶ死と退廃を描いたゴシックホラーです。F・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』を奇才ヴェルナー・ヘルツォークがリメイクした怪作で、死のエロスとでも表現できそうな終末的世界観がたまりません!怪優クラウス・キンスキーのドラキュラ伯爵役も必見!
アリゲーター(1980)
下水道に捨てられたペットのワニが、ある研究所から投棄された実験動物の死骸を食べて体長10メートル以上に成長、市街地で縦横無尽に暴れ回る恐怖を描いたアニマルパニックホラーです。定番のアニマルパニックものとしても上出来なのですが、それ以上に素晴らしいのは小ネタの効いた人間模様で、何気にこれが面白い!
ザ・フォッグ(1980)
ちょうど100年前の恨みを晴らすべく、不気味な霧とともに港町を襲う亡霊たちの恐怖を描いた雰囲気抜群の極上スリラーです。ホラー映画としての見た目の派手さにはやや欠けるものの、いわゆる怪談話としての雰囲気をノワール的に表現したカーペンターらしい美意識が感じられる作品で、ゴアに頼らなくてもホラー映画は撮れるのです!
チェンジリング(1980)
70年前の惨劇が現代に引き起こす怪異を描いた、『蜘蛛女』のピーター・メダック監督による隠れた心霊ホラーの傑作です。イーストウッド監督による同名映画も怖かったが、こちらのゴア描写に頼らない小さなことからコツコツと恐怖演出もまた絶品。ちなみに日本公開時の主題歌はヒカシューの『パイク』で、これもある意味では怖い!
狼男アメリカン(1981)
イギリス旅行中に謎の獣に噛まれた青年が狼男へと変身する悲劇を描いたモンスターホラーコメディです。悲劇を悲劇として撮らないジョン・ランディスのセンスが冴える逸品で、リック・ベイカーによる狼男変身シーンはいま観ても十分に衝撃的な創意工夫の塊!ゴーストゾンビと化した親友のひょっこり加減にもご注目ください。
ポゼッション(1981)
邪悪な「何か」へと取り憑かれた人間の狂気が生み出す不条理な「何か」を描いた、ぶっ飛びすぎていてもはやカテゴライズ不能な難解夫婦喧嘩ホラー映画です。イザベル・アジャーニの攻めまくりな怪演がもうドン引きの圧巻でして、キテレツダンスからのドロドロ出産タコ同衾は恐れ入ったの女優魂!意味不明だけど凄すぎる!
バスケットケース(1982)
固い絆で結ばれながらも分離されたシャム双生児の兄弟が、自分たちを切り離した医師たちへの復讐を開始するというB級カルトホラーの傑作です。超低予算によるチープなB級ホラーでありながら、その中身は異形に生まれついた者の絆と怒りと渇望を描いたまさにA級で、なかでも不能者である兄の絶叫には耳が、心が痛みます。
狼の血族(1984)
グリム童話『赤ずきんちゃん』をモチーフに、思春期を迎えた少女と狼男との関係性をエロティックな寓話として描いたファンタジーホラーです。ニール・ジョーダンの耽美性が発揮された怪しくも美しい大人のおとぎ話で、『ハウリング』や『狼男アメリカン』とはまた違ったアプローチを見せた人狼変身シーンも見どころのひとつ。
フライトナイト(1985)
隣家に越してきた吸血鬼に命を狙われてしまった少年が、テレビのヴァンパイアハンター役と協力して吸血鬼退治へと乗り出す姿を描いたコメディホラーです。作りはコメディなので正直怖さはないのですが、特撮を含めたエンタメホラーとしての完成度はそうとう高く、とりわけ偽物から本物へと覚醒するヴァンパイアハンターは胸熱!
幽幻道士 キョンシーズ(1986)
古代中国の死体妖怪キョンシー退治へと乗り出した、4人のイタズラ小僧とテンテンちゃんの活躍を描いたホラーコメディです。1980年代に青春を過ごした我々アラフォーのバイブルで、いま観ても抜群に面白いコメディでありながら、実はホラーとしてもちゃんとしている痛快娯楽作。字幕派の方も本作に限っては吹替版推奨です。
エンゼル・ハート(1987)
謎めいた男からの依頼で失踪した人気歌手の行方を追う私立探偵がたどり着く、驚愕の事実を描いたオカルトミステリーです。オチに関しては何かと文句がある方もおられるでしょうが、このまとわりつくような粘り気と不穏きわまりない映像美はさすがに名匠アラン・パーカーで、とりわけエレベーターと血の海が凄い!
戦慄の絆(1988)
婦人科を開業する一卵性双生児の固い絆が、ひとりの異分子の介入によって均衡を崩し、当然の帰結として2から1へ、本来あるべき姿へと帰還を果たすという異色サイコスリラーです。クローネンバーグ特有の内臓感覚は抑えめですが、人間の深部へと潜り込み、さらなる変態の高みへと登り詰めた傑作中の傑作なのですよ!
ペット・セメタリー(1989)
最愛の我が子を失った男が、自宅の裏に広がる動物たちの墓地ペット・セメタリーの奥深く、先住民たちの禁断の埋葬地へと息子の遺体を埋めたことによる悲劇を描いたオカルトホラーです。駄作が多いスティーヴン・キング原作の映画化作品のなかでは出色の仕上がりで、この後味の悪さがまた最高なんですよねぇ。
ジェイコブス・ラダー(1990)
現実と悪夢のはざまで翻弄されていくベトナム帰りの男の不可思議な体験と恐怖、そして救いを描いたオカルト系サイコスリラーです。『エンゼル・ハート』同様にこれまたオチに多少の難ありかもしれませんが、不条理な迷宮感と意外なモンスター&グロ描写はかなり振れきれており、それらを経てのオチをどう評価するかでしょうな。
スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1990)
30年前のある化学実験により、他人はおろか自分自身すら燃やし尽くしてしまう特異体質になった男の、怒りと悲しみの人体自然発火現象を描いたSFホラーです。『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーが『ゴジラ』へとラブコールを送った核の申し子映画で、身体が燃えるというよりかは身体から放射熱線を出す描写がもう熱い熱い!
ダークマン(1990)
悪辣なギャングによって全身火だるまにされた科学者が、自身が開発した人工皮膚を駆使して復讐の悪鬼と化すSFホラーアクションです。『死霊のはらわた』のサム・ライミによるダークサイド『スパイダーマン』ともいえる作品で、彼のホラー魂とエンタメ精神が見事に調和した内容は問答無用の面白さを誇ります!
不法侵入(1992)
『告発の行方』のジョナサン・カプラン監督による、キチガイ警官に狙われてしまった夫婦の恐怖を描いたサイコスリラーです。孤立無援に陥る夫カート・ラッセル、美しき妻マデリーン・ストウに迫る魔の手、そして無駄にきれいな瞳が逆に恐ろしいレイ・リオッタのキチガイ演技と、B級だけどしっかり怖くて面白い佳作スリラーです。
危険な遊び(1993)
イライジャ・ウッドとマコーレー・カルキンという当時の二大子役スターが共演し、無垢な笑顔の裏側に隠した少年の狂気を描いたサイコスリラーです。ボクは昔からカルキンが大嫌いだったのですけど、この映画を観たときにはもう拍手喝采しましたよね。なぜかって?これこそがカルキンの恐ろしい本性だからですよ!
クロノス(1993)
手にした者に永遠の命をもたらす謎の機械“クロノス”をめぐる陰謀と闘いを描いた異色のヴァンパイアホラーです。ギレルモ・デル・トロの監督デビュー作にしてすでに独自の美学とこだわりが炸裂する、残酷さと美しさが同居した吸血鬼映画らしからぬ吸血鬼映画で、悲しき救いを描いたラストシーンの幸福感がまた絶品なのです!
マウス・オブ・マッドネス(1994)
失踪したベストセラー作家の行方を追う保険調査員が、その過程で遭遇する奇怪な現象と驚愕の事実を描いたサイコホラーです。ラヴクラフトのクトゥルフ神話を下敷きに、夢かうつつか逃れられない不思議な世界にからめとられた男の自己の狂気か世界の狂気かを描いた作品で、その狂気は静かに我々にも侵食し出すのです。
マングラー(1995)
田舎のブラック洗濯工場に君臨する、人を喰らう悪魔の巨大プレス機による人間折り畳み劇場を描いたオカルトホラーです。存在そのものが凶器ともいえる巨大プレス機が、人体を粉々に砕いて伸ばしておいしくいただいてしまう1990年代の隠れたトラウマホラーで、トビー・フーパーの最後っ屁とも思える怪作でありますよ!
エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウィルス(1996)
南アフリカでエボラウィルスに感染した香港のチンピラが、歩く病原体として香港全土をパニックへと導く伝説の悪趣味サイコホラーです。『八仙飯店之人肉饅頭』のコンビがふたたび放つ最低最悪キチガイ野郎による鬼畜殺戮凌辱ショーを奇妙なテンションで描いた作品で、この手のキチガイを演じたときのアンソニー・ウォンは本当に最高です!
スクリーム(1996)
カリフォルニアの田舎町を舞台に、ホラー映画への愛情が異常に膨れ上がったサイコキラーによる恐怖と謎と笑いを描いたスラッシャーコメディです。1980年代に一世を風靡したスラッシャー映画をメタ的なあるあるネタとして昇華し、当時すでに過去の遺物と化していたスラッシャー映画の新たな出発点となった快作です!
パーフェクトブルー(1998)
グループを脱退して女優へと転身を図ったアイドルが、その現状に対する不満といら立ち、またアイドル卒業を由としない謎のストーカーによって次第に追い詰められていく恐怖を描いたサイコスリラーです。アニメで本格的サイコスリラーを展開した今敏監督のデビュー作で、妄想と現実が複雑に交錯する境界線の崩壊はまさに彼の原点にして至高!
ラビナス(1999)
アメリカ・メキシコ戦争を背景に、臆病者たちが力を渇望する果ての狂気を人肉食として描いた異色のカニバリズムホラーですが、本作の何が異色って明らかにノリとテンションがおかしいのです!それが得も言われぬ滑稽さと恐怖を生み出している怪作でして、とりわけロバート・カーライルのノリノリ怪演は必見です!
アメリカン・サイコ(2000)
1980年代のアメリカを舞台に、すべてを手にしたヤッピーの青年が快楽殺人を繰り返す虚無感を描いたサイコホラーです。名作『ファイトクラブ』のご親戚といってもいい資本主義の実態をコケにした内容で、その空虚さをサイコでホラー風味あふれるハイセンスなブラックコメディとして描いている点が秀逸。クリスチャン・ベイルのブリーフ姿がまぶしい!
アザーズ(2001)
広大な屋敷で暮らす家族が、新たな使用人の来訪をきっかけとして不可思議な現象へと苛まれていく恐怖を描いたどんでん返し系スリラー映画です。『シックス・センス』なんかとよく比較されますけど、ボクは断然こちら推し。美しい映像、不安、恐怖、そして悲しいラスト。キッドマンの演技はこれが一番じゃないですかね。
回路(2001)
インターネット上に現れた「幽霊に会いたいですか?」という奇妙なサイトをきっかけとし、やがて世界中の人間が消滅していく死の恐怖の蔓延を描いたSFオカルトホラーです。さまざまな要素や恐怖を詰め込みすぎて正直そうとうこんがらがった内容ではあるのですが、すべての根幹は「孤独」であり、それこそがすべての「恐怖」でもあるのです。
28日後…(2002)
人間を凶暴化させる謎のウィルスが蔓延したイギリスを舞台に、生き残った人々の決死のサバイバルを描いたSFゾンビホラーです。『ドーン・オブ・ザ・デッド』と並ぶ走るゾンビを世間へと定着させた功労者にして裏切り者なのですが、実は本作の肝は上で紹介した『回路』と同じ人の孤独にあり、ゆえに「Hello」に始まり「Hello」に終わるのです。
キャビン・フィーバー(2002)
山奥のキャビンへとバカンスにやって来た大学生5人組が、身体が壊死していく謎のウィルスに感染したかもしれない恐怖を描いた感染系サイコスリラーです。ド定番とも思える設定のなかであえて変化球勝負へと打って出たイーライ・ロスの監督デビュー作で、ここで描かれているのは一見不条理にも思える人の狂った現実なのです。パンケーキ!パンケーキ!
オープン・ウォーター(2003)
カリブ海でダイビングを楽しんでいた夫婦が、手違いから何匹ものサメが回遊する大海原へと取り残されてしまった恐怖を描いた実録パニックスリラーです。おふざけ系が多いサメ映画のなかでもちゃんと真面目に作られた良作で、低予算ゆえの地味さが逆に怖い逸品。金がないので俳優たちはなんと本物のサメと泳いでますよ。
デッドコースター(2003)
死のシナリオを無視した人間を絶対に逃さない残酷な運命の執念深さを描いた、ピタゴラスイッチ系ホラーシリーズ『ファイナル・デスティネーション』の第2弾にして最高傑作です。シナリオ改変を絶対に許さない死神様による芸術的ピタゴラ人体破壊描写がとにかく美しく、それが現出するタイミングがこれまた絶妙なのです!
ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)
ロンドンで発生したゾンビパンデミックを背景に、大人になりきれないダメ男の友情と恋と覚醒を描いたゾンビホラーコメディです。エドガー・ライトが世界にその名をとどろかせた監督デビュー作で、『ゾンビ』フォロワーとしての先人に対する敬意と、それを革新する意欲に満ちた新世代ゾンビ映画の幕開けで、ラストはおもいっきし泣きますよ!
ディセント(2005)
『ドッグ・ソルジャー』のニール・マーシャル監督による、世にも珍しい地底人を題材としたモンスターホラーの秀作です。狭くて暗い地下洞窟で襲いかかる肉食地底人どもの真っ白けも恐怖ですが、やはりこの映画の白眉はそこにアラサー女どもの内紛と確執を入れ込んだことにあり、これがなにげに怖いのです!
スリザー(2006)
隕石に乗って地球へとやって来た、ナメクジ型宇宙人による人類寄生ならびに地球侵略を描いたSFホラーコメディです。今や売れっ子監督となったジェームズ・ガンの悪趣味さが炸裂している面白いほど気持ち悪い作品で、クリーチャーの質感がいいのですよね質感が。ガンのミューズともいえるマイケル・ルーカーが本作でも最高なんですよ最高!
BUG/バグ(2006)
前夫のDVから逃れてモーテルに隠れ住む女性が、自分と同じような心の傷を抱える男性と出会ったことにより、体内に大量の虫が侵食してきている恐怖に取り憑かれていく姿を描いたサイコスリラーです。こちらでも重要なテーマとなっているのは「孤独感」で、それが人の心を蝕み、やがて最悪な結末を呼び込むことになるのですよね。
永遠のこどもたち(2007)
生まれ育った孤児院再建のために同地へと舞い戻った女性が、そこで忽然と姿を消した我が子を捜して過去と対峙する姿を描いたミステリアスホラーです。ゴシックホラー的な美と恐怖が混在した見事なダークファンタジーで、グロ描写にも容赦がありませんし、主人公を奈落へと叩き落す罪と罰もあまりに残酷なネバーランド。
屋敷女(2007)
自動車事故で夫を亡くした妊婦のもとに、謎の黒ずくめ女が現れたことによる恐怖と惨劇のクリスマスイヴを描いたトラウマ必死のフレンチホラーです。一軒家を舞台に繰り広げられる女同士の生存と愛の渇望をかけたウルトラ人体破壊の雨あられは、もう観ているだけでお腹が痛い! 謎の女を演じたベアトリス・ダルがカッチョいいの!
籠の中の乙女(2009)
愛する我が子を守るため、外界と完全に隔離した特殊な環境下で暮らす家族の肖像を描いた不条理ファミリースリラーです。ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスによる観客を不快にし、不安のどん底へと叩き落す不条理爆笑胸糞ブラックコメディで、真剣に滑稽に完全にぶっ壊れた家族の一家団欒がとにかく不気味で恐ろしい!
スペル(2009)
とある老婆のローン延期を断った銀行員の女性が、逆恨みした老婆によってかけられた呪いによって逃れられない死の恐怖を味わうオカルトホラーです。『スパイダーマン』で浮かれていたサム・ライミが久方ぶりに暗黒のホラー界へと帰還を果たした怪作で、数あるババア怖い映画のなかでも上位に位置する敬老映画でありますよ!
ビー・デビル(2010)
「密陽女子中学生集団性暴行事件」など実際に起こったレイプ事件を下敷きに、韓国の孤島で繰り広げられる陰湿な支配構造と、その抑圧によってタガが外れた人間の凄惨なる復讐劇を描いた成人指定の韓国製バイオレンススリラーです。虐げられてきた者の怒りを代弁するホラー映画の役割を全うした、見事なまでのてめーら全員地獄行き!
Virginia/ヴァージニア(2011)
呪われた街を訪れたミステリー作家が、エドガー・アラン・ポーと謎の少女に導かれ、街で起こったふたつの殺人事件の真相へと迫っていく姿を描いたゴシックミステリーホラーです。フランシス・フォード・コッポラの最後っ屁とも思える趣味性全開の不条理ゴシック夢うつつホラーで、個人的にはこの倒錯的な世界観が大好きです!
サプライズ(2011)
山奥の別荘に集まった10人の家族を襲う、動物の覆面を被った謎の殺戮者たちによる恐怖とその逆転現象を描いた新世代スラッシャー映画です。普通のスラッシャー映画としても見事な人体破壊を恐怖と笑いでお届けする快作なのですが、本作の醍醐味はその構図が逆転する痛快さにこそあり、これこそがまさにサプライズ!
ムカデ人間2(2011)
映画『ムカデ人間』に魅せられた男の狂気の欲望が現実化されるおぞましさを描いた、最低最悪グロテスクホラー映画シリーズの第2弾です。個人的には評判のわりにたいしたことのない印象に終わったパート1のていたらくを挽回する、狂いに狂ったマーティンくんの不器用な人体実験とメタ的構造が大好物なご飯もりもり映画です!
FOUND ファウンド(2012)
「僕の兄さんは部屋に生首を隠している」という素敵な独白で幕を開ける、いびつな社会で、ゆがんだ家庭で居場所をなくした兄弟の、世にも恐ろしい世界への宣戦布告を描いた意外と青春ホラーで、賛同者は少ないかもしれませんがこれは泣けるホラーなのです!映画内映画『Headless』とラストのゴア描写も超絶凄まじいですぞ!
オキュラス/怨霊鏡(2013)
自分たちの家庭をぶち壊した呪われた鏡への復讐を果たすため、11年ぶりに忌まわしき旧家へと帰って来た姉弟の闘いを描いたオカルトホラーです。過去の惨劇と現在の闘いが、そして現実と妄想が複雑に交わり合いながらやがて溶け合っていく編集が斬新な野心作で、のちに大出世するマイク・フラナガン監督の心意気が感じられる佳作ホラーです。
オンリー・ゴッド(2013)
タイでボクシングジムを経営しながら闇のビジネスにも手を染める男が、神に代わって裁きを下す謎の警官との出会いにより、自らの運命を知るというオカルトバイオレンススリラーです。『ドライヴ』での評価を全部チャラにする、ニコラス・ウィンディング・レフン渾身のぶっ飛び迷宮極彩色カラオケホラーで、好きな人は絶対に好きな変態さん必見作!
武器人間(2013)
第二次世界大戦末期の東部戦線を舞台に、ナチスのマッドサイエンティストによる死体と機械とを合体させた不死身の兵士、“武器人間”による地獄の現出をPOVスタイルで描き出したアクションホラーの怪作です。愛らしくも残虐なポンコツ武器人間たちの活躍がたまらない愉快痛快悪趣味クリーチャー映画の傑作で、なんかもう幸せです!
複製された男(2013)
自分と瓜ふたつの俳優が存在する事実を知った男が、自己の深層に隠された欲望と渇望と狂気のなかで身もだえする姿を描いた不条理サイコスリラーです。不条理な世界観と暗喩の羅列が少々わかりづらい奇怪な悪夢的スリラーですが、クモに怯える男のそれでも下半身もりもりしたい映画だと思えば理解は早いかもしれません。
MAMA(2013)
狂った父親によって山奥へと捨てられた幼い姉妹。5年後、叔父の執念の捜索によって奇跡的に発見された姉妹の背後には怪しい影が揺らめいていたという心霊ホラーです。チラリズムとダイナミズム、恐怖と笑いと哀切を織り交ぜた『IT/イット』のアンディ・ムスキエティ監督渾身のデビュー作で、個人的には本作のほう推しです!
イット・フォローズ(2014)
性交渉によって感染する「それ」に死ぬまで追いかけ回される不条理な恐怖を描いた、新世代ホラー映画の代表格です。青春映画的側面も絡めつつ、日常と非日常の境界が破壊されるのっそりもったりとした恐怖感がたまらない、悩める若者の不安を見事に象徴化した傑作です!死の恐怖とはつまり生きることの不安でもあるのですよね。
ゾンビーバー(2014)
ゾンビ化したビーバーに襲われる水着美女たちの阿鼻叫喚のぷるるんサバイバルを描いたパニックホラーコメディです。ゾンビーバーたちの愛くるしいチープな造形と凶暴さに心癒される良作B級ホラーの王道的作品で、正直怖さはありませんけどそのぶん抜群に面白い!しかも残酷描写にまったく手抜かりはなく、いびつな人間関係の崩壊描写もなにげに秀逸。
ババドック ~暗闇の魔物~(2014)
問題児を抱えるシングルマザーが、不気味な絵本との出会いをきっかけに極限の精神状態へと追いつめられていく恐怖を描いた子育てサイコホラーです。狂気の淵を覗き込んだ人間の、堕ちるか踏みとどまるかの二者択一を暗喩的に描いた作品で、その意味がわかれば恐怖倍増!にしても母子ともに顔面力高すぎで超絶こえーよ!
パラドクス(2014)
無限ループを繰り返す限定的空間に閉じ込められた人間たちの、気の遠くなるような年月の果てに知らされる驚愕の役割を描いたSFワンシチュエーションスリラーです。ふたつの閉じられた空間を舞台に、他人の不幸は蜜の味として栄養分のように接種、搾取される人間たちの世知辛い運命を容赦なく描いた考察心をくすぐる怪作です!
ウィッチ(2015)
17世紀のニューイングランドを舞台に、周囲とは孤立した家族に巻き起こる不幸の数々と、疑心暗鬼から生み出される魔女の誕生を描いたミステリアスホラーです。孤立と不安と欲望と主導権争いの果てに製造される魔女の恐怖を、ただならぬ不穏さで描いたとんでもない家族崩壊劇で、ある種の救いのようにも見えるのがまた怖い!
ゾンビーワールドへようこそ(2015)
高校生にもなってボーイスカウトをやっているイケてない3人組が、突然町を襲ったゾンビパニックのなかで男としての覚醒を見せるゾンビホラーコメディです。『ハッピー・デス・デイ』シリーズのクリストファー・ランドンがその前に放ったゾンビと青春と笑いをミクスチャした痛快ホラー映画で、個人的には『ハッピー・デス・デイ』よりもこっちを推します!
プリースト 悪魔を葬る者(2015)
悪魔に取り憑かれて昏睡状態へと陥った女子高生を救うため、命がけのエクソシズムへと挑むふたりの神父の闘いを描いた韓国製オカルトホラーです。悪魔憑きと悪魔祓い、エクソシスト映画の2大要素のなかでもとりわけ悪魔祓いへとフォーカスした儀式映画の傑作で、その細部にまでこだわり抜いた儀式映画としての面白さは群を抜いておりますよ!
ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー(2015)
トルコを舞台に、仲間からの救援要請を受けて人里離れた廃屋へと向かった警官隊が体験する、人知を超えた邪教集団による地獄絵図を描いたトルコ産オカルトホラーです。解説しようにも解説できない支離滅裂な極彩色と轟音と血と臓物が悪夢的に飛び散らかる正真正銘の怪作で、ボクはもう大好きです!本作が大好きだという変態さまとはきっと素敵な親友になれるはず!
ジェーン・ドウの解剖(2016)
とある事件現場で発見された身元不明女性の全裸遺体。その検死解剖をすることになった検視官親子が体験する謎と恐怖を描いた戦慄のモルグオカルトホラーです。クールなリアリズムがうさん臭いオカルトの前に惨敗する決定的瞬間がたまらない作品で、その元凶となる宇宙一美しい死体ジェーン・ドウにもう目が釘づけ!
クリーピー 偽りの隣人(2016)
引っ越し先の隣人は尋常ではないサイコパスで、そんな狂人によって人生を狂わされていく人間たちの右往左往を描いた、黒沢清の違和感をメジャーへと落とし込んだ不穏きわまりないサイコスリラーです。基本はガチに怖くてヤバい香川照之劇場なのですが、最大の恐怖はどいつもこいつもサイコパスかもしれないという驚愕の事実なのですよね!
死霊館 エンフィールド事件(2016)
史上最長とも言われるポルターガイスト現象へと立ち向かった、ある家族と心霊現象研究家夫婦の闘いを描いた実録ホラーシリーズ『死霊館』の第2弾です。出来の良かった第1作をはるかに凌駕する珍しい続編における成功作で、怖さ以上に信頼と絆、そして勇気を描いたまさかの泣けるホラー映画でもあるのですよね!
ドント・イット(2016)
タイトルだけを見て『ドント・ブリーズ』と『IT/イット』の便乗作品と侮るなかれ。この両作とは似ても似つかぬ怪しい黒魔術師による意味不明な魔術教室が延々と続く儀式映画の怪作で、そのおかしみの果てに訪れる恐怖と魂の浄化には妙な納得感があるのですよね。ああ~ここにたどり着いて本当に良かった、と。
RAW~少女のめざめ~(2016)
厳格なベジタリアンとして育てられた少女が初めて覚えた肉の味。やがてその渇望はエスカレートし、カニバリズムへの欲求を抑えられなくなっていくというアート系青春ホラーです。それぞれ肉の味に対する好みはあるかと思いますが、相性のいい人には超絶美味なお肉映画の秀作で、暗喩好きにもおすすめできます。
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)
27年周期で現れる子供喰らいピエロのペニーワイズと、負け組少年少女との対決を描いた全米大ヒットジュヴナイルホラー映画です。不気味な悪夢的怖さはオリジナルの後塵を拝しますが、泣ける青春ホラーとしての完成度はキラキラ号泣もの!ビル・スカルスガルド演じる新たなペニーワイズの踊り狂いも見逃すな!
テリファイド(2017)
不気味な怪現象が続発しているブエノスアイレスの住宅街を舞台に、その謎へと挑んだ超常現象バスターズを襲う想像を絶する恐怖を描いた純粋正統オカルトホラー映画です。家族や、青春や、社会問題に付随することなく、ただ純粋に不可思議な恐怖へと立ち向かった正統なるホラー映画で、その完成度は近年稀にみる素晴らしさかと!
マザー!(2017)
郊外に住むある夫婦の家に、あるときを境に謎の訪問者たちが続々と押し寄せ、夫婦の生活や関係性をかき乱していく不条理な恐怖を描いたサイコスリラーです。キリスト教を下敷きに、母なる女性にふりかかる災厄というか虐待を描いた超絶なる胸糞映画で、宗教的暗喩、監督個人的暗喩、果ては地球的暗喩まで盛り込んだ考察好きホイホイ映画としても秀逸!
クワイエット・プレイス(2018)
近未来、音に反応して人間を襲う“何か”によってなかば壊滅した地球を舞台に、そんな状況でも懸命に生きる家族の決死のサバイバルを描いたSFスリラーです。ザル設定が何かと叩かれている作品ではありますが、家族ドラマとホラー映画との相性はやっぱり抜群で、個人的には泣きましたよ。あなたはあの花火にいったい何を見ますか?
サスペリア(2018)
1977年のベルリンを舞台に、闇と秘密を背負った舞踏団へと入団した女性が目撃、体験、覚醒、破壊、救済する、歴史の闇へと埋もれつつある記憶の再構築を目論んだ『サスペリア』のようで『サスペリア』ではない『ルカペリア』です。オリジナルとの比較はどうしても避けられませんが、これはこれで強烈に面白い!面白いのだ!
ヘレディタリー/継承(2018)
謎めいた祖母の死をきっかけに、不可解な現象にさいなまれ出したグラハム家の呪われた血脈と大いなる遺産を描いたオカルトホラーです。個人的には世評ほど怖さは感じなかったものの、精緻に築き上げられた脚本、演出、音響、音楽、そして顔面が秀逸なそのじつ爆笑ホラー!怖いというよりも笑えるので、ホラー映画が苦手な人にこそ観てほしいですよね。
樹海村(2021)
自殺の名所にして有数の心霊スポットでもある富士の樹海を起点とし、呪いの箱“コトリバコ”にまつわる封印された村の恐怖を描いた『犬鳴村』に続く「恐怖の村」シリーズ第2弾です。前作のブラッシュアップ版として見事なアップグレードを果たした続編で、心霊よりもオカルトへと振りきれたことにより映画的面白さが増した成功作だと個人的には評価しております。
最新版オールタイムベストホラー映画ランキング
「もういい」「うんざりだ」「いい加減にしやがれ!」「このキチガイが!!」とお思いの方もおられるかと思いますが、あともう少し、本当にもう少しだけお付き合いください。
それでは本当に最後の最後に、本記事作成以降に鑑賞したホラー映画も選考対象とした「最新版オールタイムベストホラー映画ランキング」を掲載して本記事を終了したいと思います。ちなみにベスト20どころではない10倍のベスト200での選考で、新たな傑作ホラー映画と出会うたびに随時更新していく予定です。
「心底怖い」や「一監督一作品」という縛りも撤廃し、純粋にボクが大好きな心底面白いホラー映画のランキングとなっておりますので、こちらも参考にしていただけたら幸いです(当ブログで紹介済みの作品にはリンクを張ってありますので、より詳細な感想が読みたいという方はどうぞポチッとな。ちなみに順位はあくまで暫定で、その日の気分によってコロコロ変わったりします)。
2021年版オールタイムベストホラー映画ランキング200
暫定順位 | タイトル | 製作年度 | 監督 |
---|---|---|---|
1 | イレイザーヘッド | 1977 | デヴィッド・リンチ |
2 | バニー・レークは行方不明 | 1965 | オットー・プレミンジャー |
3 | 地獄 | 1960 | 中川信夫 |
4 | シャイニング | 1980 | スタンリー・キューブリック |
5 | 戦慄の絆 | 1988 | デヴィッド・クローネンバーグ |
6 | 反撥 | 1965 | ロマン・ポランスキー |
7 | 悪魔のいけにえ | 1974 | トビー・フーパー |
8 | エクソシスト | 1973 | ウィリアム・フリードキン |
9 | 回転 | 1961 | ジャック・クレイトン |
10 | ザ・チャイルド | 1976 | ナルシソ・イニバエス・セラドール |
11 | 狼の時刻 | 1968 | イングマール・ベルイマン |
12 | ポゼッション | 1981 | アンジェイ・ズラウスキー |
13 | ヴィデオドローム | 1983 | デヴィッド・クローネンバーグ |
14 | 遊星からの物体X | 1982 | ジョン・カーペンター |
15 | 死霊のえじき | 1985 | ジョージ・A・ロメロ |
16 | マザー! | 2017 | ダーレン・アロノフスキー |
17 | 裸のランチ | 1991 | デヴィッド・クローネンバーグ |
18 | アリス・スウィート・アリス | 1976 | アルフレッド・ソウル |
19 | オンリー・ゴッド | 2013 | ニコラス・ウィンディング・レフン |
20 | キャリー | 1976 | ブライアン・デ・パルマ |
21 | 羊たちの沈黙 | 1991 | ジョナサン・デミ |
22 | 鳥 | 1963 | アルフレッド・ヒッチコック |
23 | エイリアン | 1979 | リドリー・スコット |
24 | レクイエム・フォー・ドリーム | 2000 | ダーレン・アロノフスキー |
25 | 白い肌の異常な夜 | 1971 | ドン・シーゲル |
26 | インランド・エンパイア | 2006 | デヴィッド・リンチ |
27 | 赤い影 | 1973 | ニコラス・ローグ |
28 | アンチクライスト | 2009 | ラース・フォン・トリアー |
29 | 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア | 2017 | ヨルゴス・ランティモス |
30 | 何がジェーンに起ったか? | 1962 | ロバート・アルドリッチ |
31 | ザ・フライ | 1986 | デヴィッド・クローネンバーグ |
32 | ゾンビ | 1978 | ジョージ・A・ロメロ |
33 | テナント/恐怖を借りた男 | 1976 | ロマン・ポランスキー |
34 | 白いリボン | 2009 | ミヒャエル・ハネケ |
35 | ミザリー | 1990 | ロブ・ライナー |
36 | サイコ | 1960 | アルフレッド・ヒッチコック |
37 | 血を吸うカメラ | 1960 | マイケル・パウエル |
38 | スキャナーズ | 1981 | デヴィッド・クローネンバーグ |
39 | ミスト | 2007 | フランク・ダラボン |
40 | π | 1998 | ダーレン・アロノフスキー |
41 | ロスト・ハイウェイ | 1997 | デヴィッド・リンチ |
42 | ボディ・スナッチャー/恐怖の街 | 1956 | ドン・シーゲル |
43 | マウス・オブ・マッドネス | 1994 | ジョン・カーペンター |
44 | パンズ・ラビリンス | 2006 | ギレルモ・デル・トロ |
45 | 見知らぬ乗客 | 1951 | アルフレッド・ヒッチコック |
46 | 隣人は静かに笑う | 1999 | マーク・ペリントン |
47 | エクソシスト2 | 1977 | ジョン・ブアマン |
48 | 絞殺魔 | 1968 | リチャード・フライシャー |
49 | ノスフェラトゥ | 1979 | ヴェルナー・ヘルツォーク |
50 | フェイズIV/戦慄!昆虫パニック | 1974 | ソール・バス |
51 | イット・フォローズ | 2014 | デヴィッド・ロバート・ミッチェル |
52 | ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー | 2015 | ジャン・エヴェノル |
53 | ザ・ヴォイド | 2016 | ジェレミー・ギレスピー スティーヴン・コスタンスキ |
54 | ゼイリブ | 1988 | ジョン・カーペンター |
55 | プレデター | 1987 | ジョン・マクティアナン |
56 | FOUND ファウンド | 2012 | スコット・シャーマー |
57 | 東海道四谷怪談 | 1959 | 中川信夫 |
58 | ブロブ/宇宙からの不明物体 | 1988 | チャック・ラッセル |
59 | 呪われたジェシカ | 1971 | ジョン・ハンコック |
60 | バスケットケース | 1982 | フランク・ヘネンロッター |
61 | ジョーズ | 1975 | スティーヴン・スピルバーグ |
62 | フランケンシュタインの花嫁 | 1935 | ジェームズ・ホエール |
63 | ウィッチ | 2015 | ロバート・エガース |
64 | ヒッチャー | 1986 | ロバート・ハーモン |
65 | 屋敷女 | 2007 | アレクサンドル・バスティロ ジュリアン・モーリー |
66 | オペラ座/血の喝采 | 1987 | ダリオ・アルジェント |
67 | スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火 | 1990 | トビー・フーパー |
68 | プロフェシー/恐怖の予言 | 1979 | ジョン・フランケンハイマー |
69 | デッドコースター | 2003 | デヴィッド・R・エリス |
70 | ソウ | 2004 | ジェームズ・ワン |
71 | フリークス/怪物團 | 1932 | トッド・ブラウニング |
72 | ダークレイン | 2015 | イサーク・エスバン |
73 | オーディション | 1999 | 三池崇史 |
74 | マーターズ | 2008 | パスカル・ロジェ |
75 | フランケンシュタイン | 1931 | ジェームズ・ホエール |
76 | 複製された男 | 2013 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
77 | 顔のない眼 | 1959 | ジョルジュ・フランジュ |
78 | ナイト・オブ・ザ・リビングデッド | 1968 | ジョージ・A・ロメロ |
79 | ブルーベルベット | 1986 | デヴィッド・リンチ |
80 | ハロウィン | 1978 | ジョン・カーペンター |
81 | サスペリアPART2 | 1975 | ダリオ・アルジェント |
82 | ウィッカーマン | 1973 | ロビン・ハーディ |
83 | 隠された記憶 | 2005 | ミヒャエル・ハネケ |
84 | 狩人の夜 | 1955 | チャールズ・ロートン |
85 | 恐怖のメロディ | 1971 | クリント・イーストウッド |
86 | サスペリア | 1977 | ダリオ・アルジェント |
87 | CURE | 1997 | 黒沢清 |
88 | SF/ボディ・スナッチャー | 1978 | フィリップ・カウフマン |
89 | トレマーズ | 1990 | ロン・アンダーウッド |
90 | 眼には眼を | 1957 | アンドレ・カイヤット |
91 | サスペリア | 2018 | ルカ・グァダニーノ |
92 | ザ・ブルード/怒りのメタファー | 1979 | デヴィッド・クローネンバーグ |
93 | チェンジリング | 1980 | ピーター・メダック |
94 | 暗闇にベルが鳴る | 1974 | ボ |