俺はTSUTAYAの犬だ!犬として謙虚かつ豪胆にTSUTAYA発掘良品のおすすめ映画を紹介するのだ!マイナー映画好きはけっして足を向けて寝られない神企画にワン!ワン!
発掘良品はこれを観ろ!
新作・旧作・有名・無名・公開・未公開に関係なく、ただ「面白い」を選考基準に埋もれてしまった映画を墓場から掘り起こす神企画、「TSUTAYA発掘良品~100人の映画通が選んだ本当に面白い映画」。
その恩恵にあずかりまくってけっして足を向けては寝られない我が身といたしましては、ここは「TUSUTAYAの犬」と化して誠心誠意ご奉仕しようと、微力ながらこんな記事を書いてみた次第であります。
TSUTAYA発掘良品の充実のラインナップから、各ジャンルごとにボクの独断と偏見により選抜した3本の映画を紹介していきたいと思います。ジャンルの分類はアクション、SF、クラシック、コメディ、サスペンス、西部劇、戦争、ドラマ、パニック、ホラー、恋愛の全11ジャンル。
未見の作品と有名どころは除外して制作した全11ジャンル総数33本の「TSUTAYA発掘良品おすすめ作品リスト」、少々長くなりそうなので今回はページを分割してお送りしたいと思います。それでは行ってみましょう!
アクション映画編
突破口!
Charley Varrick- 1973年/アメリカ/111分
- 監督:ドン・シーゲル
- 出演:ウォルター・マッソー/ジョー・ドン・ベイカー
これぞドン・シーゲル!
そうとは知らずにマフィアの隠し金を強奪してしまった男の華麗なる立ち回りを描いた作品です。監督は『ダーティハリー』のドン・シーゲル。『ダーティハリー』はもちろん傑作ですが、ドン・シーゲルという監督の個性がより発揮されているのはこの『突破口!』だと思います。いい意味で力の抜けた洒脱さが小気味いい、思わず膝を打ちたくなる快作ですよ。クライマックスの飛行機と車とのチェイスシーンはとにかく必見!
より詳しい感想はこちら

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー
Thief- 1981年/アメリカ/123分
- 監督:マイケル・マン
- 出演:ジェームズ・カーン/チューズデイ・ウェルド
マイケル・マンの美学
普通を求めても普通にはなれないプロの金庫破りのけじめを描いた作品です。監督は『ヒート』のマイケル・マン。監督デビュー作にしていきなり彼の美意識が炸裂した最高傑作であります。ラストはほとんど任侠映画の世界ですが、これがまた痙攣するほどカッコいい!これぞマイケル・マン!さすがはジェームズ・カーン!タンジェリン・ドリームのシンセプログレもキマってます。
山猫は眠らない
Sniper- 1993年/アメリカ/98分
- 監督:ルイス・ロッサ
- 出演:トム・べレンジャー/ビリー・ゼイン
スナイパーの生態
特命を受けて南米へと潜入するふたりのスナイパーの戦いを描いた作品です。監督は『アナコンダ』のルイス・ロッサ。彼のフィルモグラフィで唯一の傑作と言ってもよいでしょう。内容は戦争アクションものですが、それよりもスナイパーという特殊な人種の生態をリアルに描写したプロフェッショナルものとして抜群です。シリーズ化されておりますがこの第1作だけで事足りますよ。
SF映画編
地球爆破作戦
Colossus: The Forbin Project- 1970年/アメリカ/101分
- 監督:ジョセフ・サージェント
- 出演:エリック・ブレーデン/スーザン・クラーク
元祖特異点映画
自我をもったコンピュータと人類との主従関係の争奪を描いた作品です。監督は『サブウェイ・パニック』のジョセフ・サージェント。現代においては使い古されたプロットではありますが、最悪の未来予測を卓越したセンスとリアルさ、そしてわずかなユーモアをもって描いた隠れたSF映画の傑作であります。人と機械との心理戦が続くひたすら地味な内容が逆にたまりません!
アンドロメダ…
The Andromeda Strain- 1971年/アメリカ/131分
- 監督:ロバート・ワイズ
- 出演:アーサー・ヒル/デヴィッド・ウェイン
地味すぎる恐怖
宇宙から飛来した未知の細菌の恐怖を描いた作品です。監督は『ウエスト・サイド物語』のロバート・ワイズ。これまたひたすら地味な内容ではありますが、事態の解明、謎解きを中核へと据えたSFミステリー、もしくはドキュメンタリーと言ってもいい非常に丁寧に描写されたスリリングさがとにかく渋い!ダグラス・トランブルが手がけたクライマックスだけは一転アガりますよ。
ダークシティ
Dark City- 1998年/アメリカ/100分
- 監督:アレックス・プロヤス
- 出演:ルーファス・シーウェル/ジェニファー・コネリー
美しい夢
太陽の昇らない街で記憶を失った男が探し求める真実を描いた作品です。監督は『クロウ/飛翔伝説』のアレックス・プロヤス。『マトリックス』直前に公開された『マトリックス』的映画とも言えますが、もっと言っちゃうと『ビューティフル・ドリーマー』的要素のほうが大きいです。パクリ論争うんぬんは置いといて、やはりダークなビジュアルセンスとミステリアスな物語、ラストの解放感は一見の価値が十分にあると思いますよ。
クラシック映画編
悪徳
The Big Knife- 1955年/アメリカ/111分
- 監督:ロバート・アルドリッチ
- 出演:ジャック・パランス/アイダ・ルピノ
ハリウッドの闇
理想と現実のはざまで苦悩するハリウッドスターの姿を描いた作品です。監督は『北国の帝王』のロバート・アルドリッチ。アルドリッチといえばやはり骨太アクションですが、実はこの手の政治的側面を含んだギットギトに濃ゆいドラマも必殺技のひとつなのであります。限定的空間で暴露されるショービジネスの内幕と、卑小な人間の葛藤の果ての決断には打ちのめされること請け合い!
第七の封印
Det sjunde inseglet/The Seventh Seal- 1956年/スウェーデン/97分
- 監督:イングマール・ベルイマン
- 出演:マックス・フォン・シドー/グンナール・ビョルンストランド
死神とチェス
十字軍遠征から帰還した騎士が見る死と神の不在を描いた作品です。監督は『処女の泉』のイングマール・ベルイマン。この手のヨーロッパ映画は小難しいだろうと敬遠しがちですが、小難しくても凄いもんは凄いです!硬質なモノクロ映像で映し出される、圧巻のビジュアルインパクトだけでも観る価値は十分にありますよ。意外とコメディタッチな部分もありますので、苦手だと敬遠している方にこそ観てほしい!
より詳しい感想はこちら

死刑台のエレベーター
Ascenseur pour l’échafaud/Elevator to the Gallows- 1957年/フランス/91分
- 監督:ルイ・マル
- 出演:ジャンヌ・モロー/モーリス・ロネ
ジャンヌ・モロー♡
完全犯罪を目論んだ男女の思いがけない顛末を描いた作品です。監督は『鬼火』のルイ・マル。犯罪映画としてはやや粗さの目立つものではありますが、それを志向した作品ではありませんので、夜のパリで恋人を求めてさまよい歩くジャンヌ・モローのけだるい美しさに酔いしれましょう。ラストで満を持して披露される彼女の笑顔には号泣もの!あ、マイルス・デイヴィスも忘れずに。
コメディ映画編
袋小路
Cul-de-sac- 1966年/イギリス/112分
- 監督:ロマン・ポランスキー
- 出演:ドナルド・プレザンス/フランソワーズ・ドルレアック
中年男の夢
外界と遮断された古城に住む夫婦のもとに逃亡中のギャングが闖入したことによる騒動を描いた作品です。監督は『チャイナタウン』のロマン・ポランスキー。ある種の理想郷を追い求めていた男の夢がもろくも崩れ去っていく様を、緊張感と不安感、閉塞感、そしてブラックユーモアたっぷりに描き出した怪作であります。25歳の若さでこの世を去ったフランソワーズ・ドルレアックの妖艶な魅力も堪能できますよ。
ゾンビ・コップ
Dead Heat- 1988年/アメリカ/86分
- 監督:マーク・ゴールドブラッド
- 出演:トリート・ウィリアムズ/ジョー・ピスコポ
来世は女性用サドル
殉職した刑事がゾンビと化して大活躍をする作品です。監督は『ターミネーター』などの名編集マンであるマーク・ゴールドブラッド。演出的失敗や脚本の杜撰さは否定できない事実でありますが、ポリスアクションとゾンビホラーとの融合に、気の抜けたコメディセンスをミックスさせたごった煮的サービス精神が素直に楽しいです。中華料理屋での巨大焼き豚ゾンビ登場は問答無用に必見ですよ!
より詳しい感想はこちら

愛が微笑む時
Heart and Souls- 1993年/アメリカ/104分
- 監督:ロン・アンダーウッド
- 出演:ロバート・ダウニー・Jr/チャールズ・グローディン
ロバート・ダウニー・Jrが上手い!
取り憑いた霊たちの生前の未練を晴らすべく奮闘する青年の姿を描いた作品です。監督は『トレマーズ』のロン・アンダーウッド。若き日のロバート・ダウニー・Jrの演技巧者ぶりが堪能できるハートフルなコメディでありますが、笑えるのみならず、けっこうな泣き映画としてもおすすめいたします。この世に残してきた霊たちの想いと、それを受けて徐々に変化していく主人公の心情がよいのです。
サスペンス映画編
バニー・レークは行方不明
Bunny Lake Is Missing- 1965年/イギリス/107分
- 監督:オットー・プレミンジャー
- 出演:キャロル・リンレイ/キア・デュリア
実存不安映画の傑作中の傑作!
突然いなくなった子供の実存と真相を追った作品です。監督は『帰らざる河』のオットー・プレミンジャー。消えた人物と、その存在を主張する唯一の主人公という、いわゆる実存的不安をテーマにした作品なのですが、この手の映画の難儀な問題であるオチの衝撃を見事に演出してみせた唯一の傑作だといえます。なので絶対にネタバレは踏まないで!華麗な撮影技術の数々にも見惚れてしまいますよ!
より詳しい感想はこちら

殺しの分け前/ポイント・ブランク
Point Blank- 1967年/アメリカ/92分
- 監督:ジョン・ブアマン
- 出演:リー・マーヴィン/アンジー・ディキンソン
難解奇怪復讐劇
自分を裏切った相棒と妻への復讐を果たすべくさまよう男の姿を描いた作品です。監督は『脱出』のジョン・ブアマン。同一原作の映画化にメルギブ主演の『ペイバック』がありますが、あれとは似ても似つかぬ怪作であります。一言でいえば難解。しかしこの難解きわまりない前衛的演出がひたすら凄い!もう凄いとしか言いようがない!さまざまに解釈可能な複雑怪奇な物語をぜひ堪能していただきたい!
マラソンマン
Marathon Man- 1976年/アメリカ/125分
- 監督:ジョン・シュレシンジャー
- 出演:ダスティン・ホフマン/ローレンス・オリヴィエ
歯医者恐怖症
ナチスの残党が絡む陰謀に巻き込まれた大学院生の災難を描いた作品です。監督は『真夜中のカーボーイ』のジョン・シュレシンジャー。やや尻すぼみな後半が残念ではありますが、事態の全貌が見えない段階での悪夢的な映像、不条理な展開の数々は非常に恐ろしいです。この映画を観て歯医者がトラウマ化した方は多数おられるでしょうが、それぐらい強烈にリアルな拷問シーンが拝めますよ。
コメント
こんにちわ。「地球爆破作戦」、技術的特異点の恐怖を、描いた先駆け的作品ですね。あの結末は結構、トラウマになりますね。
ハリーさんコメントありがとうございます!
この『地球爆破作戦』がなければ、『ウォー・ゲーム』も『ターミネーター』もなかったかもしれませんからね。しかも後者がエンタメ的結末を志向しているなか、この『地球爆破作戦』だけはひたすらリアルな現実を突きつけてきてエンドですからね。平和ってなんなんだろう?って思っちゃいますよね。
こんにちわ。
「ダークシティ」は前知識なしで見たので、途中で「うん?」とデジャヴを感じ、これは「うる星やつら2ビューティフルドリーマーのオマージュか!」と驚いたのを覚えています。博士とメガネも何処と無く似てますし(笑)。
うる星やつら2、ダークシティ、コングレクス未来学会議と、テーマが似ていますが、それぞれ監督の感性の違いが浮き出ていて、見比べてみると、とても面白いですね。
ハリーさんコメントありがとうございます!
アレックス・プロヤス監督は確か影響を否定していたと記憶しておりますけど、ここまで似ちゃうとなんともねぇ(笑)。だいたい似てようがパクりだろうが、面白ければそれでいいわけですから。その点この『ダークシティ』は非常に面白かった!『コングレス未来学会議』もめちゃくちゃ面白かった!「どれが一番なんだ?」と問われたら、結局『ビューティフル・ドリーマー』になっちゃいますけどね(笑)。