『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』感想とイラスト 男ヨンドゥ一世一代の晴れ舞台

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』ヨンドゥのイラスト

ノリとダンスとポップミュージックで宇宙を救う最低最高のあいつら、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが帰ってきた!笑いも興奮も泣きも前作以上の盛り盛りにして、ついにあいつらが帰ってきた!

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作品データ

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
Guardians of the Galaxy Vol. 2

  • 2017年/アメリカ/136分
  • 監督・脚本:ジェームズ・ガン
  • 撮影:ヘンリー・ブラハム
  • 音楽:タイラー・ベイツ
  • 出演:クリス・プラット/ゾーイ・サルダナ/ブラッドリー・クーパー(声)/デイヴ・バウティスタ/ヴィン・ディーゼル(声)/マイケル・ルーカー/カレン・ギラン/ポム・クレメンティフ/カート・ラッセル//エリザベス・デビッキ/シルヴェスター・スタローン

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

銀河のはぐれ者ヒーローチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”が、ふたたび宇宙の危機へと立ち向かうシリーズ第2弾です。監督は前作に引き続きジェームズ・ガンで、クロスオーバーシリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース」としては第15作目。

続編映画に傑作なし?

スーパーヒーロー映画というものにさして興味がなく、観たとしてもほとんどが「ふーん」で終わっていたボクを思わず踊り狂わせたマーベル・シネマティック・ユニバース唯一の傑作、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。ついにあいつらが帰ってまいりました。

スペースファンタジーと1970年代ポップミュージックとの融合という荒業。銀河のアウトローたちの衝突と結束。どうしようもないダメ人間たちが図らずも銀河を救い、思いがけず家族を形成することになる、トロマの星ジェームズ・ガンの立身出世作が帰ってきたのです。

偉大な兄をもつ弟は常に苦労するもの。そんな黒歴史として記憶から抹消される続編映画の墓場はすでに定員オーバーですが、皆さまご安心ください。この『GotG:リミックス』は前作と同等、もしくはそれを凌駕すると言っても過言ではない傑作でしたから!

萌えが宇宙を救う

プロローグはなんと1980年のミズーリ州。ルッキング・グラスの『Brandy』を陽気に口ずさみながらドライブを楽しむのは、主人公ピーター・クイルの母と顔も知らない父。っていうかいきなりの顔バレ。ヒゲと眼帯はありませんがこれはスネーク・プレスキンではないですか!

そうか、ピーターの父親はカート・ラッセル氏その人だったのか。1980年といえば傑作コメディ『ユーズド・カー』に出演し、そこから『ニューヨーク1997』『遊星からの物体X』へと雪崩れ込んだラッセル全盛期の幕開け。そんなときにピーターを種付けしていたのですね。

時は流れて34年後。実はスネーク・プレスキンという稀代のアウトローのご子息だったピーターは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのリーダーとしてもっかお仕事中。ソブリン星のアニュラクス電池なるよくわからない物体を怪物から守る役目を担っていたのですね。

例のごとくバカな会話と衝突を繰り返しながら怪物退治にあたるGotGの面々。『スリザー』が懐かしく思い起こされるキモ~い怪物の造形。登場した瞬間からかわいすぎて悶絶してしまうベビー・グルート。ELOの『Mr. Blue Sky』に乗せてそれらを長回しで見せる心意気。

オープニングからすでに最高やないかい!前作の危機をともに通過して家族となった、ピーター、ガモーラ、ロケット、ドラックス、そしてベビー・グルートの5人が、いつものようにバカ騒ぎをしながらノリとダンスとミュージックで強大な敵を撃破してしまう。

必死にキモい怪物と、パパやママ、ハゲのおじさん、喋るペットが戦っているのを尻目に、ひとりだけ『Mr. Blue Sky』でノリノリダンスを披露するベビー・グルートの無邪気な愛らしさこそが、世界を、宇宙を救うのだと教えてくれます。萌えが宇宙を救うのです!

大喰い早喰い満漢全席

勢い余って支離滅裂なたわごとをほざいてしまいましたが、それだけオープニングの時点ですでに最高だったということ。前作で確立されたキャラクターの個性を軸に、過剰なまでにデコレーションされたサービス精神で観客を楽しませるジェームズ・ガンの満漢全席。

正直やや盛りすぎたかな?というきらいはあるものの、それも前作を超えてみせようというガンの心意気なのでしょう。物語も余計な引き延ばしなどは存在せず、136分というまあまあの長尺に必要なものはすべて詰め込んだ大喰い早喰い大会的様相を呈しております。

ソブリン星で仕事を果たし、報酬として賞金首であるガモーラの妹ネビュラの身柄を引き取ったGotGだったが、ロケットがアニュラクス電池をこっそりくすねたことによって追手が迫り、絶体絶命のピンチへと陥ったところを救ってくれたのがなんとピーターの父エゴだった!

いやはや開始早々もの凄い勢いと物量で物語が流れております。今作の片面のヴィランを担うゾブリン星の金箔美女アイーシャ。アニュラクス電池の伏線。前作のヴィランのひとりネビュラ。そして本作の肝ともいえるピーターの父エゴさっそくの登場。これぞまさに怒涛の展開。

この最中にもピーターの育ての父であり、ラヴェジャーズのリーダーでもあるヨンドゥの葛藤に、いきなり登場して師匠感を発散さしているシルヴェスター・スタローン、脱走して人生を満喫するハワード・ザ・ダックなど、この短い時間に盛り盛りすぎる大盤振る舞い。

盛りすぎ速すぎによって情報や感情を整理できない問題も確かに発生しているのですが、この怒涛の物量と速度をボクは支持しておりますし、そんななかでも徹底して笑いを忘れないサービス精神は凄まじく、すべてにおいて観客を飽きさせない貪欲さには頭が下がります。

ドラックスの大化け

全体的に前作をはるかに上回る爆笑映画と化していた本作ですが、見事な大化けを見せてくれていたのが元プロレスラーのデイヴ・バウティスタ演じるドラックス。前作ではただの猪突猛進キャラとして最も地味な役回りを演じていた彼の華麗なる転身ぶりには驚きました。

おそらくは監督のジェームズ・ガンもここが弱いと認識しており、さらなるテコ入れを模索した結果なのでしょう。そして誕生したのが、その場の空気を読めないデリカシー皆無の爆弾発言怪力ハゲ男。この華麗なる転身が今作の成功に大きく寄与していたのは間違いありません。

冒頭の「実は乳首が敏感なの♥」発言でその片鱗をかいま見せておりましたが、その後のまったく空気が読めない爆弾発言の連発には爆笑必至で、新キャラのマンティスとの掛け合いも絶妙の漫才。しかしそれでいて一面の真理をついてくる役回りを担っているのが小憎らしい。

エゴがピーターの実の父親だと知らされたドラックスが、「ヨンドゥが父親だと思ってた」とマジマジ語るのが一瞬の爆笑とともにこの映画の真理を見事についており、実は大バカ者に見えて物事の本質を無自覚に理解している唯一の存在だなんて、小憎らしいにも程があります。

ふたりの父

ドラックスが無自覚に見通していたとおり、この『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は主人公ピーター・クイルが父親不在の喪失感を埋める映画なのであります。ピーターの出生の秘密と、彼の父エゴの存在、そしてここからどのように物語が転がるのか?

しかしあまりに早すぎるエゴの登場と、なかば神同然の存在、そしてたどり着いた彼と一心同体と言える惑星エゴの描写を見るにつけ、いかがわしい暗雲しか垂れこめてこない事実にまたまた驚きました。どっからどう見てもこいつはヴィラン以外の何ものでもない。

そんな実の父親のいかがわしさと並行して描かれるのは、育ての父であるヨンドゥの失墜と不器用すぎる本音。ボクはこの続編で実の父との再会がネガティブに描かれるとはまったく想像していなかったのですが、まさかこういう方向に舵を切ってくるとは三度驚かされましたね。

思い続けていた実の父親がその名のとおり単なるエゴの塊であった事実を突きつけられたピーターが、実はずっとそばにいてくれた真実の父親の姿に気づくまでの物語。実の父殺しによって真実の父を得るという、父親の獲得と喪失を同時に描いた神話のごとき映画だったのです!

ここにきてこの映画の真の主役が誰であったのかがついに判明いたします。この映画の真の主役は誰が何と言おうとヨンドゥ、ヨンドゥ以外にはありえないのです!

男ヨンドゥ一世一代の晴れ舞台

部下の反逆によって乗っ取られた宇宙船を取り戻すため、ロケットやベビー・グルートと共闘する彼の圧倒的無双ぶりは本作最大の見せ場と言ってもよく、あまりに美しい極悪非道ぶりに小便ちびりそうになりましたが、彼の主役級の活躍はアクションだけにとどまりません。

エゴと対をなすピーターの父親としての在り方。思えば前作のときからヨンドゥのピーターに対する秘められた想いというのは見え隠れしておりました。金のために幼いピーターを地球から誘拐したものの、なぜかその身を引き渡さず手元に置き続けた彼の本心。

依頼主であるエゴの恐ろしい真意に気づいたのも理由のひとつでしょうが、もっと大きいのは自身の暗い生い立ちとピーターとを重ね合わせ、彼を救う一大決心をしたということ。実はこれは救いの継承であり、自分がかつて救われた恩を還元しているのですよね。

しかし生来の不器用さと天邪鬼によって、その愛情をストレートに表現することができなかったのです。彼の人生は不器用さと誤解の積み重ね。そのために心酔していた仲間たちから追放され、愛するピーターには去られ、部下たちの反旗を引き起こしてしまう。

そんなジレンマを身に染みてわかっているからこそ、実は似た者同士であるロケットの無鉄砲なかまってちゃんぶりを指摘し、「俺のようにはなるな」と教え諭したのでしょう。失ってから気づくのは遅すぎる。そして失ったものを取り戻すには大きな代償を払わねばならない。

ピーターがエゴの惑星へと向かった事実を知ったヨンドゥは、おそらくその代償を払う覚悟をすでに決めていたはずです。「俺はメリー・ポピンズだ!」と、これまた爆笑かつ核心的なセリフを口にしながら戦いの場へと降り立った彼の心は、命に代えてもピーターは俺が守る!

男ヨンドゥ一世一代の晴れ舞台です。不器用すぎる男がその心を精一杯開き、わずかな隙間から覗くあふれんばかりの息子への、そう、大切な息子へのあふれんばかりの愛情。似た者同士であるロケットは、すぐにヨンドゥの決死の覚悟を理解したことでしょう。

「仲間を失うのはひとりで十分だ」。そう、ヨンドゥはもう仲間なのです。短い時間だったかもしれませんが、彼はガーディンズ・オブ・ギャラクシーという最低最高チームのメンバーになり、家族となり、父となり、その役割を命をかけて果たしたのです。

仲間によってヨンドゥの宇宙葬が行われるなか、ロケットの粋な計らいによって集まってくる100以上に及ぶラヴェジャーズの船団。そこには若きヨンドゥを救った恩人スタカー(シルヴェスター・スターローン)の姿もあります。彼の家族がすべてここに揃ったのです。

もう一度言いますよ。男ヨンドゥ一世一代の晴れ舞台、ここに極まれり!

もう泣くでしょう!ボロボロのグチョチョに泣き崩れて、「んっ…グぼぉっ」とか変な嗚咽を漏らして、隣の見知らぬおばさんに変な目で見られるでしょう!ダメ人間かよ!ああダメ人間さ!ダメ人間がダメ人間の一世一代の晴れ舞台を見て目と鼻から心の小便漏らして何が悪い!

ヨンドゥ!あんた男だ!最高に不器用なダメ男だよ!そんなあんたの血も涙もない極悪非道ぶり、想いと言動が一致しないジレンマ、命をかけた決心、そしてあふれんばかりの愛情をしかと心に刻み込みましたぜ!ありがとうヨンドゥ!そしてマイケル・ルーカー!

それでも俺たちゃ家族だよ

ヨンドゥの不器用すぎる男のカッコよさを書き記したいがため、あえてネタバレ全開で展開してきた今回の感想、これにてほぼ終了です。ほかにも書きたいことは山ほどあるのですけど、なんせてんこ盛り盛りの映画ゆえ、長くなりすぎるので泣く泣く割愛いたしました。

最後にひとつだけ。やはりこの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という映画は家族の物語だということ。前作が家族が形成されるまでの成り立ちを描いた作品だとしたら、今作は家族とはそもそもなんなのかを追求した一種のファミリー哲学映画だったということ。

この問題に対する回答がフリートウッド・マックの『The Chain』なのでしょう。どんなに衝突しても、喧嘩ばかりでも、仲違いをしても、家族とは切っても切れない腐れ縁。挿入歌にまで映画のテーマ、象徴を盛り込んでくる盛り盛りフルコースには胃が破裂しそうですな。

とても一度観ただけではすべてを拾いきれない怒涛の満漢全席映画、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。こいつはもうリピーター続出決定的ですな!

個人的評価:8/10点

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コメント

  1. えるぼーロケッティア より:

    どうもです。
    外人さんの多い劇場でみたのもあってかギャグシーンでは劇場全体が大爆笑で盛り上がって
    とてもいい雰囲気で鑑賞できました。

    本編の内容はもうこちらの内容でほぼ同意!
    スタローンとヨンドゥを演じたマイケル・ルーカーさんは実はクリフハンガーという映画で共演してるんですね。
    スタローンの初登場シーンはマイケルさんとの久しぶりの再会でもあるわけです。
    しかもロケーション的には雪景色!(クリフハンガーは雪山が舞台)
    狙ってやったのだとしたらガン監督もにくいことしますよね。
    後冒頭のミスターブルースカイは最近のヘビロテなのですが、
    歌詞もヨンドゥのことを指しているようで聴くたび涙腺が緩みます。
    あのしわがれ声をもう聴けないのかと思うと寂しいです。

    ちなみにスタローンの役どころですが、原作コミックのガーディアンズは1969年の物が元祖で実写のピーター率いるガーディアンズは2代目にあたります(2008年初出のコミックシリーズ)
    ヨンドゥもコミックでは元祖ガーディアンズのメンバーで、MCUお決まりのエンディング後のおまけ本編にスタローンのもとに集まった面子も元祖GOTGのメンバーです。
    ガン監督がスタローンの役は重要だと言っていましたが恐らくそういう意味合いで重要だといったのでしょうし3作目で何かしら活躍を見せる可能性大です。

    さらに色々補足させていただくと、おまけ1にアダムというキャラの存在が示唆されましたが
    本名はアダムウォーロックといい、2代目ガーディアンズのチームの一員でもありました。
    1作目2作目に宇宙服をきた犬が出てきます。
    彼もまたガーディアンズの原作キャラでなんとピーター達GOTGの上司でもあります。
    テレキネシスとテレパシーが使え、人語も能力によって話せます。
    原作ではかなり重要なキャラですが映画では原作ファンへのサービス程度の登場になっていますね。
    といったように原作ガーディアンズは中々に登場人物の多いバラエティーに富んだ作品なので実写で全て登場しきれていないキャラが結構います。

    • スパイクロッド より:

      えるぼーロケッティアさん、これまた細部にわたって解説していただいたコメント誠にありがとうございます!

      ボクは依然書きましたとおりアメコミ音痴でして、小ネタがほとんどわからないのですよね。そのへんは検索で補完しているわけですけど、えるぼーロケッティアさんのように原作にも詳しいとさらなる楽しみが増えてうらやましいですね。ビギナーより深いところで楽しめているわけですから。まあそれによって素直に映画化を楽しめないというコアなファンの方もいらっしゃいますけど(笑)。そんなコアな原作ファンでも楽しめる、思わず称賛してしまうような傑作だったのではなかろうかと思います。

      『クリフハンガー』の件ですが、おそらくオタクのジェームズ・ガン監督だけに確信犯だと思われます。まずマイケル・ルーカーありきで、それじゃスタカーに誰をキャスティングしたら面白いだろうか?と考えたうでのスタローン起用なのだと思います。このふたりが顔を並べるだけでオールドファンはニヤリとしてしまいますから(笑)。

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