『ダークタワー』感想とイラスト おためし映画はうっすいのぉ

映画『ダークタワー』イドリス・エルバとトム・テイラーのイラスト(似顔絵)
多元宇宙のバランスをつかさどる暗黒の塔。その均衡を崩そうとする者と守る者との長大な戦いの歴史。スティーヴン・キングのライフワーク。それを95分で描こうってかい!?

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作品情報

『ダークタワー』
The Dark Tower

  • 2017年/アメリカ/95分
  • 監督:ニコライ・アーセル
  • 原作:スティーヴン・キング
  • 脚本:アキヴァ・ゴールズマン/ジェフ・ピンクナー/アナス・トマス・イェンセン/ニコライ・アーセル
  • 撮影:ラスムス・ヴィデベック
  • 音楽:トム・ホルケンボルフ(ジャンキー・XL)
  • 出演:イドリス・エルバ/マシュー・マコノヒー/トム・テイラー

参考 ダーク・タワー – Wikipedia

予告編動画

映画『ダークタワー』予告

解説

多次元世界のバランスを保つ暗黒の塔を守る最後のガンスリンガーと、塔の破壊による世界の破滅を目論む黒衣の幻術使いとの対決を描いたファンタジーアクションです。

監督は『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』『特捜部Q』シリーズの脚本で知られるニコライ・アーセル。原作はスティーヴン・キングの同名長編小説。

主演は『パシフィック・リム』のイドリス・エルバ。共演は『キラー・スナイパー』のマシュー・マコノヒー、子役のトム・テイラー、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に出演していた韓国人女優クローディア・キムなど。

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感想と評価/ネタバレ有

スティーヴン・キングのライフワークと言われる全7部構成の長大な幻想小説『ダーク・タワー』。J・J・エイブラムスやロン・ハワードによる映画化が模索されていたものの、最終的にはニコライ・アーセルに落ち着いたという時点ですでに底が知れてしまっているかも。

キングの原作小説は未読なれど、全7部にも及ぶ長大な物語をたった95分で描こうという時点ですでに無理がありすぎますわな。てなわけでひたすら薄いです。見た目は濃そうですが食べてみたらなんの味もいたしません。これはなんですか?絵の具を垂らした白湯ですか?

厨二心をくすぐる導入部

毎夜のように悪夢にうなされている少年ジェイク。それは巨大な暗黒の塔を破壊しようと目論む黒衣の幻術使いと、塔を守る宿命を背負った最後の拳銃使い(ガンスリンガー)との戦いであった。その戦いが自分の住む現実世界にも影響を与えている事実に気がついたジェイク。

そんな彼へと忍び寄る黒衣の男の魔の手。からくもその手を逃れたジェイクは、自分たちの世界と夢で見た“中間世界”との境界を結ぶ地点を発見し、そうしてたどり着いた中間世界で最後のガンスリンガー、ローランドとの運命的な出会いを果たすのだった……。

どこまで原作に忠実なのかはわかりませんが、世界観と導入部は悪くないですよね。主人公が毎夜うなされる悪夢。何かのために隔離・管理されている子供たち。偽皮を被ったバケモノ。謎の黒衣の男。最後のガンスリンガー。そして多元宇宙の真ん中にそびえるタワー。

これらの不吉な予兆がやがて現実化してゆき、ついに異世界への扉が開かれる。やや急ぎ足すぎるような気もしますが、現実世界では何者でもない存在が別世界によって存在を認知されるという、まさに厨ニ心をくすぐる設定で、その行き先が荒廃したウエスタン風なのも良し。

背骨がほっそい

と、それなりに観られたのはここまでで、これ以降はひたすら薄くて浅い睡魔との息詰まる死闘が続く試練の時間が始まり、白状しますと2度ほど敗北を喫し寝落ちしておりました。それぐらい薄いんですわ。設定だけで満足している厨二的世界観そのまんまですわ。

ともに父親を失ったジェイクとローランドとの交流は表面をなぞるだけですし、マコノヒー演じる黒衣の幻術使いの動機は不明ですし、彼と偽皮軍団との関係性もわかりませんし、輝きをもったほかの子供たちはガン無視ですし、だいたいダークタワーがどこにあるのか皆目不明。

「タワーを守る最後のガンスリンガー」なんて言っていたので、てっきりタワーの門番的な役割なのかと思ったら、親父の復讐のためにそこらをえっちらほっちら徘徊しているだけの根なし草で、肝心のタワーは時折チラッと映るだけでホントにその存在感が希薄。

そんなどこにあるのか、何が起こるのかよくわからないタワーのために、浅いドラマと薄い背景と不明な動機を背負ったふたりの男が、格好だけはガチガチにキメて対決する。こんな背骨がひたすらほっそいバトルが盛り上がるはずもなく、ボクの意識はたびたび別の夢のなか。

おためしプロトタイプ

クライマックスでイドリス・エルバ演じるローランドが魅せる、厨二ガンアクションを評価する向きもあるでしょうが、画的にカッコいいのはリロードぐらいで、あとは並。平々凡々ですわな。これを評価するなら中盤で魅せた耳をすませば長距離狙撃のほうが渋いでしょうに。

渋いといえば『ウォッチメン』のロールシャッハことジャッキー・アール・ヘイリーの出演には歓喜したのですが、単なるやられキャラ扱いでその渋みがまったく活かされておりませんでしたし、それは偽皮バケモン軍団の雑な扱い全般にも言えることで、ついでにCGまで雑。

まあこのへんは予算の関係なのかな?長大なシリーズの映画化には当然のごとく莫大な予算がかかるわけで、それが調達できないがゆえのおためし映画化的なニオイが漂っている本作は、予算も映像も中身もひたすら薄い試作品、おためし企画のおうかがい映画のような塩梅です。

これであわよくばヒットしようものなら喜び勇んでシリーズ化、ユニバース化、金のなる木化を狙っていたとは思いますが、世間の目はそこまで節穴ではありません。単なるおためしプロトタイプをありがたがるほどこちとら暇ではないのです。薄いし細いし眠いんじゃあ!

てなわけで、やや特殊かもしれないボクの厨二心はまったくもってくすぐられなかった『ダークタワー』。こんなお粗末な出来、世間の評価では続編の夢は夢のままでついえたことでしょう。長い話はドラマ向きだと思うからドラマでやればいいのにね……って、え?やるのぉ?

参考 スティーブン・キング「ダーク・タワー」がTVシリーズ化 映画版の前日譚に – 映画.com

個人的評価:2/10点

DVD&Blu-ray

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スパイクロッド

映画を観たらとりあえず感想とイラストを書く(描く)人畜無害な釘バット。ちなみにイラストはぺんてるの筆ペン一本によるアナログ描き。

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コメント

  1. ダムダム人 より:

    やはり失敗しましたか!
    私は原作のうち最初の二つを読みました。
    (それ以降は読んでいません。あまりにも壮大すぎて
    で、一作目の中に登場する「干し肉」を食べるシーンは、すごく旨そうでした。)
    キングの作品を映像化して失敗した例は、有りすぎて書く気になれないほどですが
    またその記録を更新したようですね?
    (だいたいキング自体が映像化は、無理だろうと言っているくらいですし…)

    さて、数少ない成功例である「ザ・デッドゾーン」の評の作成は如何でしょうか?
    すごく楽しみにしています!!!

    • スパイクロッド スパイクロッド より:

      ダムダム人さん、コメントありがとうございます!

      ボク的には失敗だったと思いますね。原作は未読ですが、その世界観や設定を拝借しただけのプロモーションビデオのような仕上がりとでも言いましょうか。とにかくすべてが薄っぺらいのですよね。記事本文でも書きましたが、これだけ長大な話なのですからやっぱり映画よりドラマ向きなのだと思います。

      『デッドゾーン』のレビューを長らくお待たせしておりますが、そうですね、そろそろ取り掛かりましょうか?実はできればBlu-ray盤による再視聴のレビューを書きたいと思い、その発売を今か今かと待ち望んでおったのですけど、しばらく出る気配はなさそうですのでもうDVD盤で再視聴してレビュー書いちゃいます。来月中にはアップしたいと思っておりますので、今しばらくのお待ちを!

  2. (눈_눈) より:

    あの2010年代とは思えないガンアクションは無いっすよ。
    シューテムアップくらいには弾けて欲しかった。
    まだマトリックスのガンアクションのほうが、誰も見たことないアイデアを出そうという模索が見えて愛せるレベル。

    • スパイクロッド スパイクロッド より:

      (눈_눈)さん、コメントありがとうございます!

      確かに今更感満点のガンアクションだったとボクも思うのですけど、なんかけっこうみんな喜んでて「あれ?」と思っていたのですが、同意見の人がいて安心いたしました。残念ながらこの『ダークタワー』のおためし映画版には何も新しい試みはなかったですね。まあおためし映画化という時点で志が低いですから、最初から無理な話ですわな。