『スプリット』感想とイラスト 甘えん坊のシャマランおじさん

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映画『スプリット』ジェームズ・マカヴォイのイラスト(似顔絵)

23の人格をもつ変態に拉致監禁されてしまった3人の女子高生。男の目的は?少女たちの運命は?すべてはシャマランの自意識過剰な大どんでん返しを現出させるための壮大な予告編だったのだ!

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作品データ

『スプリット』
Split

  • 2016年/アメリカ/117分
  • 監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
  • 撮影:マイケル・ジオラキス
  • 音楽:ウェスト・ディラン・ソードソン
  • 出演:ジェームズ・マカヴォイ/アニヤ・テイラー=ジョイ/ベティ・バックリー/ヘイリー・ルー・リチャードソン/ジェシカ・スーラ

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

23もの人格をもつ解離性同一性障害(多重人格)の男に誘拐、監禁された3人の女子高生が体験する、理解不能な恐怖と「何それ?」という結末を描いたサスペンス・スリラーです。監督は『シックス・センス』『アンブレイカブル』『サイン』のM・ナイト・シャマラン。

結末へと触れた超絶ネタバレ、ならびに監督であるシャマランをボロクソに叩いた記述がありますので、ファンの方は気分を害する恐れがあります。どうぞ自己判断で。

町山氏のツイートについて

「シャマランの過去作観てないと意味不明ですぜ」という本作に対する映画評論家の町山智浩氏のツイートが、ネタバレかそうじゃないかでけっこうな論争になっていた『スプリット』。自分はまったくネタバレを踏まずに本作を観たのですが、こりゃ確かに意味不明。

事実、その過去作品を観ていないボクの友人は、「なんなのあれ?全然面白くなかった…」とガッカリされておられましたので、町山氏のツイートを超絶ネタバレだと糾弾するのは行きすぎた批判であり、あれはビギナーに対する親切な忠告と受け止めたほうが良いと思います。

この映画を「面白そうだ」と期待して観に行く観客は、あくまでこの『スプリット』単品を楽しみにしているのに、観終わってから「実は監督の過去作観てないと意味不明なのよ」と告げられても、「はあ?何それ?」って話です。そういう悲劇を回避するための老婆心ですよね。

シャマランファンの方々はもちろん例の作品をすでに観ているわけであり、何も知らされずにサプライズを体験したいという気持ちも十分理解できますが、じゃあその映画を観ていない一般客、ビギナーは置き去りにしてもいいの?って話でどうにも釈然としません。

っていうか、この問題の元凶はそれを観ていないと理解できないような映画を撮ったシャマラン自身にあり、彼のいつまでも甘えた姿勢こそ糾弾されるべきだと、根っからのシャマラン嫌いであるボクなんかは思うのですよね。「いつまでもファンに甘えてんじゃねえ!」と。

良いもんは良い

前述したとおり根っからのシャマラン嫌いを自認しているボクですが、この『スプリット』出だしは非常によろしいのです。親しくもない級友の誕生パーティに参加しているケイシーの所在なげな視線をやや長回しでとらえたカットからして非常に印象的。

この冒頭でケイシーの孤立感や特異性をそれとなく観客に伝えながら、一気呵成の誘拐劇へと雪崩れ込んでいく無駄のなさと、日常と車内に忍び込んでくる非日常の恐怖感、そして誘拐犯を演じるジェームズ・マカヴォイの神経質な狂気のハンカチとマスクが非常にいい感じです。

マカヴォイとケイシーを演じたアニヤ・テイラー=ジョイのアップでつなぐ顔面力の距離感も良かったですし、ひとりだけ事態を冷静に受け止めるケイシーへの違和感、「オシッコしちゃえ」、脱走の罰として服を一枚だけ脱がされる勝手に野球拳も絶妙のフェティシズム。

そして個人的にこの『スプリット』でボクが最も気に入っているポイントは、微妙な人格の違いを演じ分けたマカヴォイ劇場ではなく、人格が入れ替わるたびに律義に服まで着替えている点です。しかも驚異の早着替えで。この生真面目さとスピード感が個人的にはツボでした。

悪いもんは悪い

しかしですねぇ、異常者による女子高生誘拐監禁事件としてはどうでしょうか?ついこないだ観た『ペット 檻の中の乙女』なんかに比べたらはるかにちゃんとした心理戦が行われておりましたが、それこそやっていることは名実ともに子供騙しで、言うほどの緊張感はありません。

監禁されている部屋、意外と広い地下空間、覗き見なども画的に活かされておらず、正直スリラーとしてはかなり弱いと思います。それは監禁・恐怖・脱出よりも、「なぜこんな事態が引き起こされたのか?」に注力しているせいで、それはそれでシャマランらしくもあります。

ありきたりのシチュエーションで何か違うものを描こうともがいてみせる。今回は多重人格と児童虐待がそれで、マカヴォイ演じる23の人格をもつ男のカウンセリングと、ケイシーの子供時代の回想が謎を増幅させながら、監禁スリラーを邪魔しているという構図なのです。

マカヴォイの真意とはなんなのか?彼のいくつかの人格が出現を願う24番目の人格ビーストとは?ケイシーに隠された秘密とは?いろいろとミスリードを誘いながら謎と伏線をばら撒いてこちらの興味をひくものの、実は多重人格も児童虐待もマクガフィンに過ぎなかったのです。

誘拐監禁事件も、多重人格も、児童虐待も、すべては最後のオチを見せるためだけの仕掛けにすぎず、これ自体にはなんの意外性も動機もどんでん返しも存在していなかったというある意味では驚愕の真実。すべては自意識過剰なオチへとつなげるための茶番劇だったのです。

オチないオチ(超絶ネタバレ)

その自意識過剰なオチとは、実はこの『スプリット』はシャマランが17年前に撮った『アンブレイカブル』と地続きの世界であり、2019年に公開予定の『Glass(原題)』の長い長い予告編だったというポカ~ンな事実。ゆえに監禁スリラーとしてのオチは何もありません。

あるのは『アンブレイカブル』から『スプリット』、そして『Glass』へとつなげるための超人存在の根拠のみなのです。そのための児童虐待、多重人格、プラシーボ儀式だったというわけです。しかしよくもまあこれだけファンに甘えたどんでん返しを考えついたもんですな。

町山智浩氏がツイートしたとおり、シャマランの過去作である『アンブレイカブル』を観ていないとまったくなんのこっちゃわからんオチなわけですから。ビギナー置いてけぼりの閉じられた世界には正直あきれ返りましたし、これって言うほど凄いどんでん返しなのでしょうか?

ボクはネタバレを踏まずにこの映画を観たのですけど、「解離性同一性障害は人格だけではなく性質も変える。彼らのほうが私たちより優れているかもしれない」というフレッチャー先生の言葉によりだいたいを察しましたよ。なんじゃそりゃ?『X-MEN』かい?って。

そういやハゲマカヴォイ主演じゃのう。ビーストって『X-MEN』にもおったのう。能力者の話をしてるってことは、ああ~なんか嫌な予感がする。ああ~地下鉄出てきてもうた。ああ~変身しちょるわ。ああ~嫌だ嫌だ、まさか、これってまさか……ってブルース・ウィリス!

ファンでもないアンチに肝心のオチを読まれているようでは、正式な続編告知を打たなかった苦労も水の泡。っていうかちゃんと『アンブレイカブル』とつながる話ですよと宣伝しなさいよ。そのうえでどうつながるのかをあれこれファンに想像させたらいいではないですか。

それをこんな姑息な真似をするからボクのようなアンチにさらに叩かれるのですよ。ああ~もうホンットこの映画嫌いだわ。シャマラン嫌いだわ。シャマランひとりクロスオーバー?シャマラン・シネマティック・ユニバース?知らんがな!勝手にやっとれ!

個人的評価:3/10点

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コメント

  1. OGAWATORY より:

    スパイクロッドさん、こんにちは。
    私も本作を鑑賞致しました。
    個人的には悪くない映画でしたが。
    別段、良くもなかったですね。。。
    仰る通り、アンブレイカブルの事を先に伝えて頂きたいと私も思いました。
    私は未だアンブレイカブルを観た事ない為、どう云う繋がりをしているのか。
    スプリットとの関係を知る為にアンブレイカブルを観たいな、と云った感じで終わる映画ですね。
    本当、只、アンブレイカブルの布石的映画で御座いました。。。

    • スパイクロッド より:

      OGAWATORYさん、コメントありがとうございます!

      『アンブレイカブル』とのつながりを隠して公開したということは、あんがいこの『スプリット』自体にあまり自信がないのではないかと勘ぐってしまいます。本作に本当の自信があるのであれば、正々堂々と『アンブレイカブル』の続編だと公表したうえで「どうだ!凄いどんでん返しだろ!」ってやればいいのですから。それをこんなコソコソとやっているということは、最初から続編告知をしてしまうと簡単に見透かされてしまうわけであり、本作のどんでん返しとはその程度のものだということです。なんかもう観てから時間がたてばたつほど怒りが増幅してきております!

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