『トレイン・ミッション』感想とイラスト プリンを捜せ!

映画『トレイン・ミッション』ローランド・ムーラーのイラスト(似顔絵)
住宅ローンを抱え、息子の大学受験を控え、定年間近で会社から首を宣告され、妻子を人質に取られた男に課せられた過酷なミッション「プリンを捜せ」。妻子の命とプリンが等価だなんてなんとご無体な!

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作品情報

『トレイン・ミッション』
The Commuter

  • 2018年/アメリカ、イギリス/105分
  • 監督:ジャウマ・コレット=セラ
  • 脚本:バイロン・ウィリンガー/フィリップ・デ・ブラジ/ライアン・イングル
  • 撮影:ポール・キャメロン
  • 音楽:ロケ・バニョス
  • 出演:リーアム・ニーソン/ヴェラ・ファーミガ/パトリック・ウィルソン/サム・ニール

参考 トレイン・ミッション – Wikipedia

予告編動画

解説

いつも利用している通勤電車のなかで、家族を人質に取られた男が強制的に危険なミッションへと挑まされる姿を描いたサスペンスアクションです。

監督は『ラン・オールナイト』『ロスト・バケーション』の現代の職人監督ジャウマ・コレット=セラで、主演は彼とコンビを組むことが多い『沈黙 -サイレンス-』のリーアム・ニーソン。

共演には『死霊館』シリーズのヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソン、『マウス・オブ・マッドネス』のサム・ニール、『真夜中のゆりかご』のローランド・ムーラーなど。

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感想と評価/ネタバレ多少

『ペンタゴン・ペーパーズ』『ウィンストン・チャーチル』『ヴァレリアン』『レッド・スパロー』など、3月頭に続いてバカみたいに話題作・注目作が並ぶ3月後半の激戦区。実話ものにあまり興味のないボクが選んだのはとにかく邦題がダサい『トレイン・ミッション』。

『アンノウン』『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』に続き4作目となるジャウマ・コレット=セラ&リーアム・ニーソンのコンビ芸はもはや熟練の粋です。系統としては『フライト・ゲーム』に近いが、大事な後半でスベり倒していたあちらとは雲泥の面白さ。

とにかく邦題はダサいが映画自体はとにかく面白いのだ。公開直後ですし、巻き込まれ型謎解きミステリーでもありますので、なるべくネタバレは避けながら今回の感想を書いていこうとは思ってますが、少しでも地雷を踏みたくないという人は今すぐ映画館へと向かっておくれ。

アンテナびんびん

10年勤めてきた保険会社を定年間近にして突然解雇されたマイケル・マコーリー。住宅ローンと大学受験を控える息子を抱える彼は、その事実を妻に伝えることもできず、10年間利用してきたいつもの通勤電車のシートへとフラフラと落ち着き、そして途方に暮れる。

そんな彼の前に見知らぬ女性が座り、乗客のなかからある人物を捜し出せたら10万ドルを渡すと告げられる。最初はたちの悪いジョークと思っていたマイケルだったが、この困難な要求を絶対に実行しなければならなくなってしまう。妻と息子が人質に取られていたのだ……。

てな感じの列車を舞台にした巻き込まれ型サスペンスの王道を行くような『トレイン・ミッション』。この手の映画を観慣れている観客にとってはオープニングからすでに勝負は始まっており、びんびんに張り巡らせたアンテナによって伏線を探っていることでしょう。

そんな我々のアンテナを見事に刺激してくるオープニングクレジットから目の肥し的な創意工夫が施されており、伏線を探るとともに見事な映像演出に酔いしれます。ここで描かれているのはひとりの男の毎朝の日常であり、幸福であり、その人となりなのであります。

平凡だけど幸福な日常を生きる男の毎日の朝。そんな彼へと突きつけられる非情な解雇宣告。彼の勤める会社が保険会社だというのにもピピピとアンテナが反応しますが、それより何より住宅ローンと息子の大学進学を抱えて首を切られる60男の悲哀のほうが切実です。

平凡な家庭人としての顔と、急転直下で奈落へと叩き落された60男の悲哀を、見事に悲しそうな犬の顔で表現したリーアム・ニーソンはさすがのせつな顔。彼はやっぱり無双しているよりも人間臭い痛みや、悲しみや、弱さ、葛藤を抱えているほうがはるかに絵になるのです。

プリンをめぐるどんがらがっちゃん

元刑事という設定はありがちだなぁとは思いますが、ここで登場する元同僚にパトリック・ウィルソンとサム・ニールを配しているのもアンテナびんびんポイントで、主人公に強制的なミッションを課す謎の女をヴェラ・ファーミガが演じているのも『死霊館』好きはニヤリ。

そして始まるリーアムの過酷な人捜し。彼女から与えられたヒントはたったの3つ。この通勤電車の常連客ではなく、終着駅コールド・スプリングで降りる、カバンを持った“プリン”という偽名を名乗る人物。男か女かもわからない。どうやって捜せっちゅうねん!

あいつかな?こいつかな?そいつかな?どいつかな?と血眼になって列車のなかを行ったり来たり、危ない目つきで赤の他人を凝視、切符を拝借、「チョットイイデスカァ?」ってお前がいっちゃん怪しいわ!といっせいに突っ込みを受けるであろうリーアムがかわいいのなんの。

少ない手がかりと元刑事の嗅覚を武器に、おいしいプリンの行方とプリンを狙う謎の組織の正体を探るかわいいリーアム。そんな彼にプリンのせいで次々と降りかかる災難と困難。列車という限定された空間で繰り広げられるサスペンスとアクションの塩梅がホントちょうどいい。

とりわけ謎解きの合間に挿入されるアクションがけっこう常軌を逸していて、中盤で長々とワンショットで展開される手斧とギターのコラボレーションなんて意味不明に最高でしたし、予告編でも客引き的に使われていた脱線シーンのどんがらがっちゃんも異様な造形美。

何よりリーアムが無双してないのがいい。確かに元刑事で図体はデカいが、けっして無敵ではない生身の男がけっこうやられながら野蛮に殴り合っている姿がなんともセクシー。決着のつけ方も体ではなく頭を使っていて、なにげに細かいアイデアが活きてる良作でしたよホント。

推し俳優ローランド・ムーラー

ただまあ脚本的にはそうとうな力技で、この手の映画では常に浮かぶ「なんでそんなまだるっこいことを?」という疑問もあるにはあるのですが、そこはまあそうしないと映画になりませんから、細部は大目に見て王道的緊張感と常軌を逸したアクションを愛でましょうぞ。

何よりこの『トレイン・ミッション』後半が良いのだ。わけあってさらに限定された空間へと押し込められた人間たちのドラマと戦いと勇気が胸に来るのよねぇ。虐げられてきた中産階級と労働者階級たちからの決意表明って感じもして、「いよ!よく言った!」と拍手喝采。

まあそれゆえに黒幕である巨悪の存在が見えにくく、結局は末端の尻ぬぐいにとどまってしまっていた不満もあるにはあるのですが、事が終結してからの彼らの顔と、最後のオチで見せたリーアムからの痛快な反撃に免じてこれも見なかったことにしましょうぞ。

ところで何かといい顔揃いの本作で、最もボクが推したいのがデンマーク出身のローランド・ムーラー。『ヒトラーの忘れもの』を観たときからいい面構えをした俳優だと目をつけておったのですが、ここに来ていよいよブレイクの兆しアリですかね?

本作ではそれほど大きい役ではありませんが、去年公開された『アトミック・ブロンド』では重要な役どころを演じておりましたので、これから大注目のいい面構え俳優です。まだまだ出演作も少なく、認知度も低いですが、どうぞ皆さまローランド・ムーラーをお見知りおきを。

個人的評価:7/10点

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