『ザ・ギフト』感想とイラスト 一生消えない贈り物

映画『ザ・ギフト』ジョエル・エドガートンのイラスト(似顔絵)

忘れていた過去から届けられた心のこもった贈り物。あなたが忘れてしまったとしても、向こうは生涯忘れないものなのですよ。さあ開けなさい。彼の心がこもった最後にして最高最悪のこのギフトを!

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目次

『ザ・ギフト』感想とイラスト 一生消えない贈り物

  1. 作品データ
    1. 予告編動画
  2. 解説
    1. あらすじ
  3. 感想と評価/ネタバレ多少
    1. 心がこもった贈り物
    2. 不快さの移動
    3. 消せない疑念

作品データ

『ザ・ギフト』
The Gift

  • 2015年/アメリカ/108分
  • 監督・脚本:ジョエル・エドガートン
  • 撮影:エドゥアルド・グラウ
  • 音楽:ダニー・ベンジー/ソーンダー・ジュリアーンズ
  • 出演:ジェイソン・べイトマン/レベッカ・ホール/ジョエル・エドガートン

予告編動画

解説

毎日のように玄関先に届けられる心のこもった贈り物。こいつは気持ちの悪いクズ野郎だと思てったらいつしかその対象が移り変わっているという佳作サイコスリラーです。

監督と脚本に出演まで務めるのは、『アニマル・キングダム』『エクソダス:神と王』などで知られる俳優のジョエル・エドガートンで、これが監督デビュー作となります。主演は『ズートピア』のジェイソン・べイトマンと、『暮れ逢い』のレベッカ・ホール。

あらすじ

シカゴからカリフォルニアの郊外へと引っ越してきたサイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)の夫婦。キャリアアップのために転職をしたサイモンは、流産のために心に深い傷を負ったロビンの療養も兼ねて、自身の故郷に近いこの地へと戻って来たのだった。

順調な新生活をスタートさせたふたりだったが、ある日、サイモンの高校の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)と出会う。ゴードのことをすっかり忘れていたサイモンだったが、ゴードはこの再会を喜び、翌日、夫婦の自宅玄関先へとワインの贈り物を届ける。

その後もことあるごとに届くゴードからの贈り物。真意のつかめないゴードの言動に不信感を募らせていく夫妻。やがてその不信は彼ら夫婦のあいだにまで亀裂を生み、ある忌まわしい過去の記憶を呼び起こすのだった……。

感想と評価/ネタバレ多少

『アニマル・キングダム』『エクソダス:神と王』 などで知られるオーストラリア出身の俳優ジョエル・エドガートン。彼の長編監督デビュー作にして、全米スマッシュヒットを放ったサイコスリラーであります。

黒沢清の『クリーピー 偽りの隣人』を彷彿とさせるプロットと、某有名映画レビューサイトでの「満足度驚異の93パーセント!」というわかりやすいうたい文句に乗せられ、『手紙は憶えている』とハシゴで観てきました。

くしくも両作とも「てめえは忘れたかもしれねえがおいらは忘れちゃいねえぞ!ぜってー許さねえ!」という、過去にまつわる怨嗟がとぐろを巻いている心温まる良作でありました。こういう映画はネタバレしちゃ身も蓋もないので、極力ネタバレなしで感想いってみましょう。

心がこもった贈り物

物語のプロットはいたって単純。さまざまな事情からカリフォルニアの郊外へと引っ越してきた夫婦が、夫の同窓生だと名乗る変な男に付きまとわれる。そんでもってそのキモダサい変な男は、ことあるごとに夫婦の自宅玄関先へと贈り物を届けてくる。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ………。はたして男の真意とは?というもの。親しい友人や家族、恋人から贈られたプレゼントは、それが何であれうれしいものです。ネットで金額を調べてそれが高額商品だったりしたらなおうれしい。いっそのこと現金なら靴でも舐めちゃう。

そんな贈り手の心がこもった贈り物。それを受け取って気を悪くするわけがない。でも、あまり親しくない、真意がわからない、そもそも誰だかよくわからない相手から、高額だったり、意味不明な贈り物が届けられたら皆さん気持ち悪くないですか?

相手との信頼関係が成立してこそ贈り物(ギフト)というのは成立するものなのです。なのにこの映画のゴードという変態は、なんらの関係性も築けていない相手に対していきなり意味不明な贈り物攻撃を仕掛けてくる。これが気持ち悪くないはずがありません。

相手に与えた恩恵、信頼、愛情の対価として贈られるギフト。それの見えない贈り物はもはや恐怖でしかありません。こういう日常的ガジェットを映画の起爆剤として採用したセンスは素晴らしいですね。自然とその対価の意味、送り主の心へと注視してしまいますから。

不快さの移動

そんななんだかよくわからないが、おそらくは何かしらの心がこもった贈り物を主人公夫妻に贈り続けるゴードという不気味な男。彼のなんともキモダサいルックス、生気が宿っていない瞳、のっそりひょっこり夫婦の自宅玄関前に現れる神出鬼没ぶりがたまりません。

中盤でちょっとした脅かし演出もあるのですが、そんなこけおどしよりも、やはりのっそりひょっこりもったりしたダルさが良いのです。ふと、そこにいる恐怖。ダサい、キモい、イタい、怖いと皆さん思われることでしょう。事実、こいつは完全なるキ〇ガイですから。

しかし、映画が進むにつれてそれがある種の偏見であったことに気づくことでしょう。いや、事実キモいので偏見ではないが、そのキモさ、キ〇ガイ言動の裏側にはあまりに残酷な原因があり、耐えがたい傷があり、共感しうる動機があったことに愕然とするのです。

そしてこれにより、このスリラー映画における不快の対象が移動し、ある意味における悪役の逆転現象が発生してしまうのです。きちんと整理された伏線によって勘の良い方は早い時点で気づくと思われますが、肝心なのはここから。ゴードからの最後の贈り物とはなんなのか?

消せない疑念

夫妻とゴードとの初の会食の場で彼が語った「目には目を」。これも伏線のひとつであり、過去に自分が受けた贈り物に対する正当な対価物として、ゴードから夫妻に対する心のこもった最後の贈り物が届けられるのです。

これもタイトルの意味からある時点で気づく方もおられると思いますが、気づいたとしてもその衝撃と後味の悪さはたいしたものです。腕力に頼らない復讐劇として見事でしたね。いちど生まれた疑念は生涯消えることがない。もうちょっと自分のセキュリティもしっかりね。

もうちょっとだけ核心を突かないネタバレをしてみますと、これは「リア充許すまじ!」というホラー映画の基本スタイルをちゃんと踏襲した、カースト最下層民から力ずくですべてを実現させてしまう上位者に対する宣戦布告なのです。力をもたない者の戦争の仕方。

そういう意味において多少の問題があったと思われるのが、ゴード役のジョエル・エドガートンでしょうね。彼は非常にいい演技をしていたと思うのですけど、はっきり言って普通に力で勝てそうなのですよね。めちゃくちゃ腕っぷし強そうですもの。

後半である人物から彼がボコられるというシーンがあるのですけど、これがどうにもリアルじゃない。いやお前なら普通に勝てるだろ?って話。監督デビュー作ということでおいしい役も自分でやりたかったのだろうけど、ここは素直に身を引くべきだったと思いましたね。

しかしゴア描写やびっくり演出に頼らない、脚本と設定の妙による恐怖感の醸成はお見事で、監督デビュー作としては文句なしの二重丸。全年齢視聴可能なG指定ですので、ゴアゴアホラーが苦手な人にも安心しておすすめできます。後味は最悪ですけどね。

個人的評価:6/10点

隣人トラブル映画の感想はこちら

衝撃の結末映画好きにおすすめ

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コメント

  1. 谷下 豪志 より:

    韓国ノワールのような
    切れ味のいいラストには
    ワクワクしちゃいました!

    久しぶりに心に残る映画だなと

    • スパイクロッド より:

      谷下 豪志さん、コメントありがとうございます!

      言われるまで気づきませんでしたが、この映画の復讐劇は確かにちょっと韓国ノワールっぽくもありますね。積年の恨みをいったいどのようなかたちで晴らすのか?サイモンの心に生涯消えないであろう疑念を植えつけたゴードの執念の復讐劇は、確かに切れ味抜群でその恨みの深さがうかがえます。「貴様を絶対に幸せになんかしてやらねえ!一生苦しめ!」ってなもんです。と言いつつたぶんゴードは何もしてないんですけどね(笑)。

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