20世紀最高のセックスシンボル、マリリン・モンロー。実は恥ずかしながら、彼女の映画ってこれまでちゃんと観たことなかったの。いい年こいて初体験となるモンロー映画。しかしこれって、もしかして観る順番間違えたかも!
作品情報
『帰らざる河』
River of No Return
- 1954年/アメリカ/91分
- 監督:オットー・プレミンジャー
- 脚本:フランク・フェントン
- 撮影:ジョセフ・ラシェル
- 音楽:シリル・J・モックリッジ
- 出演:ロバート・ミッチャム/マリリン・モンロー/トミー・レティグ/ロリー・カルホーン
解説
ゴールドラッシュに沸くアメリカ北西部の町を舞台に、不測の事態から“帰らざる河”と呼ばれる急流をいかだで下ることになった親子と美しい歌手の苦難を描いた西部劇です。
監督は『バニー・レークは行方不明』のオットー・プレミンジャー。主演は『狩人の夜』のロバート・ミッチャムと20世紀を代表するセックスシンボル『七年目の浮気』のマリリン・モンロー。共演にはテレビシリーズ『名犬ラッシー』の主役を演じたトミー・レティグ、『地獄のモーテル』のロリー・カルホーンなど。
感想と評価/ネタバレ有
実はこれまでまともに観たことがなかったマリリン・モンローの映画。喰わず嫌いもなんですので、試しにひとつ観てみようとこの『帰らざる河』を選んでみました。なぜこの映画なのかといったら、監督が『バニー・レークは行方不明』のオットー・プレミンジャーだったから。
物語はゴールドラッシュで湧き上がるアメリカ北西部を舞台に、金には目もくれず畑を耕す父と息子、そして金鉱を掘り当てたとうそぶくギャンブラーとその恋人である酒場の歌手を中心に、激流下りやプロレスなどのアクションも交えて人生のなんたるかを描いたもの。
でまあ20世紀最強のセックスシンボルとも言われる肝心のマリリン・モンローなのですが、どうやらそういう固定観念からの脱却を模索していた頃の作品のようで、まあ正直なところ良いとも悪いとも言えない中途半端なイメージに終わってしまっていましたね。
マリリン・モンロー暗中模索
性を武器に男たちを魅了しながらも、一方では愛を餌に男からいいように支配される女。そんな彼女が一組の親子との冒険を通して、単なるセックスシンボルからひとりの女性として自立し、月並みな幸せを手に入れるというのが本作におけるマリリンの物語。
しかし、酒場で歌い踊るイメージどおりの彼女の姿には安定と安心があるものの、ジーンズ姿で急流を下り出してからは正直まだまだ馴染んでいない感じで、演じた役どころ同様におっかなびっくり四苦八苦といった印象。
まあ彼女の実人生とのシンクロがプレミンジャーの狙いかもしれませんので、このぎこちなさこそがある意味ではリアルかもとは思うものの、やはりこれはマリリンのキャリアでも過渡期的な作品であり、これは観る順番を間違ったか?と思ったところであとの祭り。
だいたい当初に思い描いていた物語とは大きくかけ離れていて、ちょっと面喰らってしまったのもマイナスに働いたか?てっきり歌あり、踊りありの明るいミュージカル・コメディかと思っていたら、人間の善悪へと迫ったかなりハードな内容ではないですか。
殺人、裏切り、レイプ未遂に親子の確執と、登場人物すべてが善悪の境界をウロウロしている様相で、まったくもって明るく楽しい映画などではありませんでした。クライマックスにおける父と子の経験、ならびに罪の共有なんてあまりにやりすぎでちょっと引いちゃいましたね。
急流下りの合成丸出しの映像、インディアンの一方的な描き方など、いま観るとかなりしんどい部分も多く、そういう意味ではマリリン・モンローの存在がこの映画を救っていると言えなくもなく、なんだかんだで結局はマリリン・モンローありきの映画だったということか。
ラストで彼女が悲しげに歌う『River of No Return(帰らざる河)』の素晴らしさ。颯爽と現れて彼女を担ぎ上げるロバート・ミッチャム。彼らの新たな人生の門出はこの映画で唯一ともいえる幸福感に満ち満ちておりました。
月並みだけどかけがえのない幸福を手に入れた彼女。もう赤いハイヒールは必要ない。マリリン自身もこういうあたりまえの幸せを望んでいたのか否か?事実はフィクションよりもはるかに奇なり。彼女がどこへ向かおうとしていたのか、ボクには知る由もありません。
個人的評価:5/10点
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