『バードマン』感想とイラスト 真の主役はドラムなり

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映画『バードマン』マイケル・キートンのイラスト(似顔絵)

ひたすら長ーーーーーーーい長回し。これは映画なのか?演劇なのか?ハゲがうつつで飛翔する。まあよい。飛ばねぇハゲはただのハゲだ。

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作品情報

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

  • 原題:Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance
  • 製作:2014年/アメリカ/120分/PG12
  • 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
  • 脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ/ニコラス・ヒアコボーネ/アレクサンダー・ディネラリス・Jr/アルマンド・ボー
  • 撮影:エマニュエル・ルベツキ
  • 音楽:アントニオ・サンチェス
  • 出演:マイケル・キートン/エマ・ストーン/エドワード・ノートン/ナオミ・ワッツ

参考 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) – Wikipedia

予告編動画

解説

老年俳優が現実と妄想のはざまで飛翔するコメディドラマです。2014年度のアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞の4冠を獲得。

監督は『レヴェナント:蘇えりし者』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ改めアレハンドロ・G・イニャリトゥ。「名前が長い!」というクレームでもあったのでしょうかね?

主演は『バットマン』のマイケル・キートンをはじめとし、『アメイジング・スパイダーマン』のエマ・ストーン、『インクレディブル・ハルク』のエドワード・ノートン、『キング・コング』のナオミ・ワッツという、「おや?」という面々。

あらすじ

一世を風靡したスーパーヒーロー映画『バードマン』によって一躍人気スターに躍り出るものの、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送るリーガン・トムソン(マイケル・キートン)。

起死回生を狙ってレイモンド・カーヴァーの小説『愛について語るときに我々の語ること』を自身の脚色・演出・主演で舞台化しようとするものの、トラブル続出で前途は多難だった。

代役で起用した実力派俳優マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)には振り回され、娘のサム(エマ・ストーン)との溝は深まるばかり。刻々と本公演の日が近づくなか、リーガンの精神はどんどん追い込まれていくのであった……。

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感想と評価/ネタバレ多少

まず最初に白状させていただきますと、自分はこの無暗矢鱈と長々しい名前の監督の映画は苦手であります。自意識過剰なナルシシズム演出とでも形容しましょうか。とにかくそれが鼻について好きになれないのですよね。「それなりに才能があるのはわかるけど、何をアートぶっとんねん!」って感じなの。

ほんでまあ監督の名前だけではなく、とうとうタイトルまで無暗矢鱈と長々しくなってしまったこの『バードマン(以下省略)』の感想ですが、基本的には楽しめたもののやはりあまり好きではないというか、傑作だとする評価にはやや異を唱えたくなるのですよね。

長回しに見る作家性

この映画を語るうえで誰も避けては通ることができない長回し。巧妙な編集とライティングによって、2時間近くにわたる驚愕の疑似ノーカット映像を見事に作り上げていたと思います。

しかし、デ・パルマのケレン、相米のエモーション、ジョニー・トーの美意識、キュアロンのリアリズムといった独自性は感じられず、物語上の必要性は理解できるものの、それ以上に訴えかけてくる「何か」を欲してしまうのは求めすぎなのでしょうか?

実は白状させていただきますと、名カメラマン、エマニュエル・ルベツキによる超絶技巧には惚れ惚れしたものの、この映画で最も印象に残ったシーンはカットが割られた瞬間なのですよね。延々と続く長回しの果てに割られたカットにある種の癒しを見いだしてしまった。

まあそれこそが狙いだったのかもしれませんけどね。物語上のターニングポイントとして非常に重要な一瞬だったわけですし。

いつかどこかで見た物語

そんなある種の苦行ともいえる長回しの渦中で映し出されるのは、落ちぶれた元ヒーロー俳優の必死のあがき、現実と夢想の果ての飛翔を描いておるのですけど、脚本的にはそれほどサプライズはありません。想定内のラストに向かってただ一直線に進んでいったという感じです。

ダーレン・アロノフスキーの『レスラー』『ブラック・スワン』。デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』『インランド・エンパイア』etc.

これには先行作品との類似性が関係しておるかと思われます。撮影方法の特異性は認めるものの、物語としてはすでにどこかで観たことがあるような内容なので、容易に結末の予想がついてしまうということです。

ブラックユーモアの萌芽

しかし、これまでは真面目ぶった出木杉くんスタイルを貫いてカッコつけていたイニャリトゥが、シニカルなブラックコメディも撮れるということを証明した点は大きく評価したいですね。これによって彼も一皮むけたのではないでしょうか?(何様だ)

嫌がらせとしか思えないセルフパロディ的キャスティング。ハリウッド楽屋ネタ。表現者と評論家との乖離。SNSによる拡散。映画と演劇の芸術的対立などなど。

特に傷口に塩を塗り込むがごときキャスティングの妙は、映画好きであればあるほどニヤリとしてしまうことは必至です。ボク的には遅咲きナオミ・ワッツのくだりが大好物でしたね。

真の主役はドラムなり

というわけで、総合的な評価としてはやや微妙なのですけど、この映画のなかで最も素晴らしかったもの、真の主役はなんなのかと申しましたら、それは奮闘していた俳優たちでも、エマニュエル・ルベツキの長回しでもなく、追いつめられた主人公の鼓動の高鳴りに呼応して激しいリズムを叩き出すドラムにほかなりません。

同年のアカデミー賞を争ったジャズドラムを題材にした『セッション』と比較しても、作品の完成度では大きく劣るものの、ことドラムに関してはこの『バードマン』の圧勝だと言っても過言ではないでしょう。

この映画の音楽を担当したのはアントニオ・サンチェスというジャズドラマーなのですけど、ほぼ彼のドラムソロのみで成立してるんですよね。これ自体が劇伴としてはかなり異例なのですけど、それ以上にアントニオ・サンチェスのプレイが圧巻!この超絶ドラムプレイこそが真の主役!

よってこの映画における最高のシーンは、余計な映像に邪魔されずアントニオ・サンチェスの演奏を堪能できるエンドロールとなるわけであります。本編終了後に至福の時が待っておりますので、どうぞ皆さま席を立たずに最後までご鑑賞していってください。

個人的評価:6/10点

DVD&Blu-ray

VOD・動画配信

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が定額見放題なおすすめ動画配信サービスはNetflix(2020年2月現在。最新の配信状況はNetflixのサイトにてご確認ください)。

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コメント

  1. なるは より:

    お久しぶりです。
    ブログ、心機一転で、お引っ越しされたんですね!
    リンクの変更をしますね♪
    『バードマン』の感想が、共感に共感が重なって
    思わずコメントしてしまいました。
    私もナオミ・ワッツが演じる女優のくだりが好きです。
    あとパロディ的キャスティングも。
    でもスパイクロッドさんがいうように、
    イニャリトゥ監督作品があまりピンとこないことがあります。
    特に本作は、アカデミー賞作品賞とか脚本賞をとっていなければ
    別にどうってことなく、普通に好きな作品で終わるはずが、
    ここまで評価されると・・・なんでやねん、とつっかかりたくなります。
    マイケル・キートンの迫力あるイラスト素敵です。
    これからも更新楽しみにしています!!

  2. こんばんは。
    こちらに引越し、分からなくもないです。
    僕はもともとライブドアでブログをやっていたんですけど、
    FC2の方がやりやすかったのであっちに引越ししたんですけど、
    どうしようかなと悩んでいるところです(^_^;)。
    このバードマンは観たい作品なので、レンタルが始まったら観ます。

  3. こんにちは☆
    TBありがとうございます♪
    返礼TBさせていただこうと思いましたが
    うまくいかないときは、ごめんなさいね。
    時々、うかがっています。
    また、来ますネ(^_-)-☆

  4. スパイクロッド より:

    お久しぶりです、なるはさん!
    この新たに新設したブログへの初めてのコメントありがとうございます!
    移ったばかりで不安ななか、なるはさんの名前を見つけてホッとしたところです(笑)
    そうですね、おっしゃるとおり面白い映画でして、
    ボクの中ではイニャリトゥ監督のベストと言ってもいいのですけど、
    そこまで評価される映画かといったらちょっと首をかしげてしまう、
    そんな、そんな微妙な感じなのですよね。
    けっこういろんなところへの目配せも嫌らしいというか。
    あのキャスティングも絶妙は絶妙ですけど、ちょっと狙いすぎですよね(笑)
    まあ受けるほうも受けるほうですけど(笑)
    これからも変わらずそちらへと顔を出させていただくつもりですので、
    どうぞこれからもよろしくお願いしますね♪
    初めてのコメント、重ねてお礼申し上げます!

  5. スパイクロッド より:

    こんばんは!
    コメントありがとうございますバニーマンさん!
    まあ前々から考えていたことでありまして、
    例のFC2事件はきっかけにすぎないわけですけど、
    やってるほうとしては多少不安にはなりますよね。
    でもFC2に慣れすぎていたせいで、
    こちらのシステムに順応できず悪戦苦闘の最中であります(汗)
    まあボチボチってところですかね♪
    この映画も観て損はない作品だと思いますので、
    レンタル解禁の暁にはぜひご鑑賞ください。
    それではこれからもそちらに顔を出させていただきますので、
    どうぞ変わらぬお付き合いのほどをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

  6. スパイクロッド より:

    こんばんは!
    コメントありがとうございますyutake☆イヴさん!
    TBはどうやら反映されていないようですけど、
    無知なボクには理由がよくわかりません(笑)
    こちらも時々のぞかせていただいて、
    楽しく記事を拝見させてもらっておりました。
    ブログサービスを移り、新設したばかりで不安いっぱいですので、
    ぜひまた遊びに来てやってください!
    それだけでもう励みになりますので♪

  7.  私はYahoo!で映画レビューを書いていたのですが。FC2が扱いやすくアフィリが自由という事で設置したのですが、一連のニュースは悩みます。引っ越しとなると記事が多いので大変です。
     私はライバルサイト(たとえば、〇メーバとか)のリークでガサ入れがあったのではないかと思っていますが。少し寂しくなりますね。

  8. スパイクロッド より:

    ミカエルさんこちらにもコメントありがとうございます!
    FC2を使っている者にとっては例の事件は悩みの種ですよね。
    ボクのように新規に立ち上げようかどうしようか迷っていた人間にとっては、
    けっこういいきっかけにはなりましたけど。
    まあいろいろと憶測は流れておりますけど、
    あの素早い対応を見るとあんがい「ここ」がいちばん怪しいかも(笑)
    確かに少し寂しくはなるのですけど、
    変わらずそちらにも遊びに寄らさせていただきますので、
    ミカエルさんもどうぞいつでも遊びにいらしてください!
    それではまた!

  9. maki より:

    こんにちは
    前衛的な映画だと思います
    そのぶん映画的な面白みには欠けてしまったかな
    演出は面白いし舞台裏をみているみたいでワクワクもする
    ぱんいちで外へ飛び出すくだりもアホで笑える
    けれどやっぱり、好きかどうかと問われれば
    さほどでもない、というのが感想になっちゃいますね

  10. スパイクロッド より:

    makiさん、コメントありがとうございます!
    すごい映画とおもしろい映画はまた違いますからね。
    やっていることのすごさは理解できるものの、
    それが映画としてのおもしろさに必ずしもつながるとはかぎらない。
    そういう映画だったと思います。