『突撃隊』感想とイラスト マックイーンのギラついた目が!

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映画『突撃隊』スティーヴ・マックイーンのイラスト(似顔絵)

戦地にふらりと現れたギラついた野獣の目をした男。さぞかし凄い男なのだろう。いや?しかし…これは!くく…狂ってる!?この男、戦場ドランカーだ!

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作品情報

突撃隊

  • 原題:Hell Is for Heroes
  • 製作:1962年/アメリカ/90分
  • 監督:ドナルド・シーゲル(ドン・シーゲル)
  • 原作:ロバート・ピロッシュ
  • 脚本:ロバート・ピロッシュ/リチャード・カー
  • 撮影:ハロルド・リップスタイン
  • 音楽:レナード・ローゼンマン
  • 出演:スティーヴ・マックイーン/ボビー・ダーリン/フェス・パーカー/ジェームズ・コバーン/ニック・アダムス/ハリー・ガーディノ

参考 Hell Is for Heroes (1962) – IMDb

解説

ふらりと戦場へ現れたスティーヴ・マックイーンが、終始そのイカつい眼光をギラつかせている戦争映画です。

監督はサム・ペキンパー、クリント・イーストウッドの師匠として知られる『白い肌の異常な夜』のドン・シーゲル。主演は前述したとおり終始イカつい眼光をギラつかせている『大脱走』のスティーヴ・マックイーン。

共演には『ステート・フェア』のボビー・ダーリン、『赤い砂塵』のフェス・パーカー、『戦争のはらわた』のジェームズ・コバーン、『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』のニック・アダムス、『刑事マディガン』のハリー・ガーディノなど。

あらすじ

1944年秋。ジークフリート要塞線に待機する予備隊。そこに配属されてきた謎の男リース(スティーヴ・マックイーン)。かつては勲章を受けたほどの優秀な士官だったが、問題を起こして現在は二等兵に降格されていた。

すでに帰国を待つだけだと思っていた彼らの部隊だったが、突如として前線への出動命令が下る。彼らの任務はジークフリート線を封鎖し、後続部隊到着までドイツ軍の進行を食い止めることにあった。

わずか1小隊6名でドイツ軍と対峙することになったリースたち。はたして彼らはこの困難な任務を遂行することができるのか!?

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感想と評価/ネタバレ多少

サム・ペキンパーとクリント・イーストウッドの師匠として知られ、骨太B級アクション界ではかのロバート・アルドリッチと双璧をなすと言っても過言ではない、ドン・シーゲルの低予算戦争映画です。

しかし、低予算だからといって侮ってはなりません。いやさ、低予算だからこその魅力にあふれた、隠れた戦争映画の秀作と言ってもよいのではないでしょうか。

呑気な独立愚連隊

1944年のヨーロッパ戦線。有名なジークフリート線における米独の攻防戦を描いておるのですが、映画の始まりは非常に静かなもので、ある意味、牧歌的ともいえる呑気さを醸し出しております。

ここで隊員たちの簡単なキャラクター紹介が行われるのですが、これがまた歴戦の猛者どもというよりかは、癖のある独立愚連隊とでもいうべき寄せ集め集団なのでありますな。

コソ泥的備品調達係や、機械オタク、ポーランドからの難民など、彼らの緊張感のないやりとりにはシーゲルの本質的な人のよさが表れていて、なんとも愉快なのです。

ギラついた野獣の目の真実

そんな牧歌的空気を切り裂いて登場するのが、この映画の主人公である我らがスティーヴ・マックイーン。初登場シーンからいきなりのオーラ全開で、彼の登場によって映画の雰囲気を一変させてしまうのです。

引き締まった肉体。無精ヒゲ。歩き方からひとつひとつの所作。ギラついた狼のような眼光。もう全身全霊ただ者ではございません。うかつに近づいただけでぶっ殺される勢い。そんな孤高の一匹狼キャラなわけですから、「こりゃとてつもない活躍を見せてくれるんだぞ!」と期待するでしょう。

初めはほかの隊員たちから距離を置かれながらも、部隊のピンチに決然と立ち上がり、百戦錬磨の経験と頭脳と勇気をもって、獅子奮迅の働きで部隊に勝利をもたらす。そして仲間たちとのあいだで芽生える絆と友情。そんな熱くて渋い活躍を期待するでしょう。

でもこれが違うんですよね~。はっきり言っちゃいますと、この主人公、完全に壊れちゃっておるのです。『ハート・ロッカー』や『アメリカン・スナイパー』と同じ戦場ドランカーになっちゃってるわけですな。なるほど、ギラついた野獣のような目はそういうことだったのか。

不遇なこの作品にもっと光を!

戦場でしか生きられない、そこにしか居場所がない、悲しい男の鎮魂歌だったわけですね、この映画は。

彼の選択した決断が正しかったのか正しくなかったのか、これは結果論なので答えはないわけですけど、その後のまさに命を賭した突撃の悲しき英雄像には、戦場でしか生きられない男のプライドと意地が炸裂しており、カッコいいというよりかは哀れでたまらなかったですね。

実にあっさりとした「The End」のタイミングも余計にせつないですわ。

低予算を逆手にとったまったく無駄がない演出はさすがにドン・シーゲルで、余計なことは描かないスパッとした切れ味は、無駄を追いすぎている現代の監督は見習うべきです。

しかし、どこか忘れられた感のあるこの作品の現状が残念でなりません。戦争映画ランキングなんかを作ったら、トップ30には入ってしかるべき作品だと思いますよ。未見の方はぜひ観てみてください!

個人的評価:8/10点

DVD&Blu-ray

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コメント

  1. ナオ より:

    絵が独特のタッチで素敵ですっ!
    ネットで『ムカデ人間』の画像検索で、ヒットしてたどり着きましたっ!
    映画も大好きなので、絵の雰囲気がよく伝わりますっ!

  2. スパイクロッド より:

    コメントありがとうございます、ナオさん!
    『ムカデ人間』の画像検索から来てくれたということは、
    旧ブログのほうからこちらにもいらしてくれたんですね。
    ありがとうございます!
    『ムカデ人間』はパート3へ向けてシリーズを観かえそうかと思っているので、
    こっちのブログでも近いうちに取り上げるかもしれません。
    そのときはまた遊びにいらしてください♪

  3. こんにちは。
    観てみましたよ、この作品。タイトルの「突撃隊」ってのは、おそらく「特攻隊」から来てるんでしょうね。私が得た感触としては、三度目の失敗は許されないからのラストの彼の行動だと思いました。一度目の失敗で軍法会議にかけられ降格、二度目に失敗して二人の命を無駄にし、それでも自分は生き残ってしまった。三度目は自分の命を、ということ。いずれにせよ戦争なんて馬鹿げてる、ということはよーく伝わる作品だと思いました。

  4. スパイクロッド より:

    ケフコタカハシさん、コメントありがとうございます!
    さっそく観ていただいたのですね、うれしいっす♪
    もう三度目の失敗は許されないという側面もあるでしょうけど、
    ボク的にはそれ以上に戦場キチガイとしてのプライドを感じましたね。
    そこでしか生きられない、能力を発揮できないくせに、まさかの大失敗。
    キチガイとしての自尊心が許さなかったのでしょう。
    自身の作戦が失敗に終わって戻ってきたときの、
    茫然自失としたマックイーンの表情が忘れられません。
    あんだけカッコつけたわけですから、
    まさか失敗するなんて本人もこっちも思っていませんでしたから。
    こういう役どころにマックイーンを起用するなんて意地が悪いですよね~。