巨大な壁に囲まれた閉鎖空間で暮らす数十人の少年たち。そこに突然放り込まれた同世代の美少女。さて、ここから何が起こるのか?という映画だったら面白かったかもね。
作品情報
メイズ・ランナー
- 原題:The Maze Runner
- 製作:2014年/アメリカ/113分
- 監督:ウェス・ボール
- 原作:ジェームズ・ダシュナー
- 脚本:ノア・オッペンハイム/グラント・ピアース・マイヤーズ/T・S・ノーリン
- 撮影:エンリケ・シャディアック
- 音楽:ジョン・パエザーノ
- 出演:ディラン・オブライエン/カヤ・スコデラリオ/トーマス・ブロディ=サングスター/キー・ホン・リー/ウィル・ポールター/アムル・アミーン/ブレイク・クーパー
予告編動画
解説
記憶がどっかいっちゃったティーンたちがとりあえず迷路を走り回るSFアドベンチャーです。ジェームズ・ダシュナーによるベストセラーヤングアダルト小説の映画化で、原作・映画ともに3部作構成となっている模様。
監督はこれが長編デビュー作となるウェス・ボールで、続編の『砂漠の迷宮』、完結編の『最期の迷宮』と3部作すべての監督を務めております。主演は『アメリカン・アサシン』のディラン・オブライエン。
共演には『タイガー・ハウス』のカヤ・スコデラリオ、『ギャングバスターズ』のトーマス・ブロディ=サングスター、『7 WISH/セブン・ウィッシュ』のキー・ホン・リー、『ミッドサマー』のウィル・ポールター、『アンタッチャブル』のパトリシア・クラークソンなど。
あらすじ
巨大なエレベーターで目を覚ました少年。彼が運ばれた先は四方を巨大な壁に囲まれただだっ広い草原。そこに待っていたのは同年代の少年たち。彼は一切の記憶を失っており、かろうじて思い出したのはトーマス(ディラン・オブライエン)という名前だけだった。
トーマスを迎え入れた少年たちも同じく記憶を失っており、毎月新しく送り込まれてくる仲間とともにこの広場(グレード)でコミューンを形成していた。周囲の壁は決まった時間が来ると開き、内部は巨大な迷路になっているのだという。
「ランナー」と呼ばれる精鋭たちが出口を探すために危険な迷路探索へと挑んでいたが、いまだにその謎は解明されていなかった。少年たちの大半は脱出をあきらめていたが、トーマスの存在が彼らの現状に微妙な波紋を投げかけるのであった……。
感想と評価/ネタバレ多少
おそらくこの映画のレビューを書いたほとんどの方が指摘されていると思いますけど、『進撃の巨人』や『ハンガー・ゲーム』を彷彿とさせる、ティーン向けのディストピアサバイバル映画であります。とは言いつつ、実はボクは前述した両作品を観ておらんのですけどね。
観ておらんので似ているのか別物なのかいまいちよくわかりませんが、ありがちな話であることは確かです。ただ暇つぶしとしてはけっこうよく出来ていたと思いますよ。あくまで暇つぶしであって、それ以上でもそれ以下でもありませんけどね。
シンデレラボーイ
この映画の監督を務めたのはウェス・ボール。これがなんと長編デビュー作であります。彼が今作の監督に抜擢されるきっかけとなったのが、3D短編映画の『RUIN』。
これがきっかけで今回の大抜擢と相成ったわけですけど、これ一本でハリウッドの壁をこじ開けたわけですから、まさにシンデレラボーイですわな、こりゃ。
迷路を走る、ひた走る
それではさっそく感想のほうへと移りましょうか。四方を巨大な壁に囲まれた隔離空間。その壁の向こうに広がる巨大迷宮。夜な夜なその迷宮をさまよい歩く怪物。ひと月ごとに送り込まれる新たなプレイヤー。記憶喪失。ルール。謎。こりゃほとんどゲームですね。
まあゲーム的な映画が総じてダメだというわけではなく、この映画は巨大な壁と迷路、モンスター、謎というゲーム的要素を映画的にある程度は処理できており、基本的にはたいした中身はないわけですけど、2時間近くの上映時間をそれなりに飽きさせず、テンポよく駆け抜けております。
とりわけ爽快なのは、タイトルどおり迷路のなかをひたすら走り回る姿でしょうか。迷路の解法や謎はさして重要ではなく、重要なのはそのなかで疾走するティーンエイジャーたちの躍動感と切迫感。これに尽きるような気がします。
サラリとネタバレ
大ヒットをした3部作小説の映画化ということで、この作品も早々と続編の制作が決定しております。エンドロール後に次回作の予告編が流れるのでどうぞお忘れなく。しかしそうなると、この映画一本ではすべての謎は解明されないわけなのですよね。
なんのために隔離され、記憶を奪われ、迷路を走り回らされたのか?いちおうの解答は示されておりますけど、それはあくまで一部であり、さらなる謎や舞台など、次回作への引きを大量投入して映画は尻切れトンボに「The End」するのです。
おそらく勘のいい観客であればかなり早い時点で気がついたと思いますが、これは要するに何かの実験だったということなのですよね。はい、いまサラリとネタバレしましたよ。この程度のネタバレ、というか謎なんて、謎としての機能を果たしていないという判断ですので、どうぞあしからず。
レンタルで十分です
それではいったいなんのための実験だったのでしょうか?明確な理由は映画のなかでは明かされておりません。それっぽいことは最後に早足で説明されておりますけど、それが真実だとはとうてい思えませんしね。
まあこれが人間をモルモットにした迷路実験なのだとしたら、おそらく最大のキーとなるのは「記憶」なのでしょう。すべての被験者の記憶が失われているというのも、それなら合点がいきます。あとは続編次第ですね。
ただ続きが観たいかといったら、1800円出して観る気は残念ながらありません。確かに映像と音響の迫力にはたいしたものがあったと思いますけど、この程度ならレンタルで十分です。というわけで、次回作以降はレンタルで済ませてしまうつもりです。
最後にドラマ的なことでひとつ。秩序化された保守的コミュニティ内に、いきすぎた革新派が放り込まれることによって起こる波紋は、なかなか象徴的かつ示唆的で面白かったですね。
どなたかの感想で「大阪都構想問題を思い出した」とあったのですが、これが言いえて妙でした。この映画の主人公が橋下徹になるのかどうか?彼の正体がこの3部作最大のキーでしょうからね。
個人的評価:5/10点
コメント
こんばんは。
スパイクロッドさんがお金払って観るとは思いもしませんでした(笑)。
暇つぶしならというのは、よく分かります。
って、勿論僕はこれを観ていませんけど・・・(^_^;)。
バニーマンさん、コメントありがとうございます!
確かに、そう思われても仕方がない趣味をしておりますから(笑)
でも予告編を観たかぎりではおもしろそうな内容でしたからね。
お友達と観に行くことになったのでこちらをチョイスした次第です。
そういう意味では最適な選択だったのかなと思っております。
ひとりで行くならおそらく『チャッピー』を選んだでしょうね。
こんにちは。
ネタばらしありがとうです。ふむふむ、三部作の予定ですか。
三作目が公開されて、レンタルが旧作になったらまとめて観てみようかな。
早くて5年先、遅いと10年?あ、ひょっとして永遠にその日は来ない?
ついさっき「ライラの冒険」観終わって、主人公ライラのおじさん役のダニエル・クレイグがカッコ良くて、とっても残念な気持ちになっているケフコタカハシでした。
コメントありがとうございます、ケフコタカハシさん!
まあ確かにネタバレはネタバレなのですけど、
たしたネタではないのでバラしちゃいました(笑)
まあ気が向いたら観てみてください。
そんな程度の映画ですので♪
同じティーン向けのYAものとしては
ハンガーゲーム、ダイバージェントがありますが
一作目だけの感じだとこれが一番面白かったです
ただ、迷路は既に99%攻略されていて
主人公が化け物倒した=迷路抜けれるってのは
うーん。。。と思いましたが。
makiさん、コメントありがとうございます!
『ハンガーゲーム』も『ダイバージェント』も観ておりませんが、
これはこれでおもしろい映画だったとボクも思いますね。
まあ迷路の解法の部分は確かにボクもそう思いますけど、
あんまり小難しいことをやってもウケませんから、
これはこれで致し方なかったかと。
近々パート2も公開されるのですけど、
観に行くかどうかは現状では微妙ですね。
まあ結局行ってそうな気もいたしますけど(笑)