『ジョン・ウィック:チャプター2』感想とイラスト 仏作って魂入れず

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』キアヌ・リーヴスのイラスト(似顔絵)

戦うことを、殺し合うことを宿命づけられた男、ジョン・ウィックの冥府魔道。今度の敵は全世界の殺し屋だ!近寄る者は皆殺しだ!犬の名前はいっそのこと大五郎にしろ!

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作品データ

『ジョン・ウィック:チャプター2』
John Wick: Chapter 2

  • 2017年/アメリカ/122分/R15+
  • 監督:チャド・スタエルスキ
  • 脚本:デレク・コルスタッド
  • 撮影:ダン・ローストセン
  • 音楽:タイラー・ベイツ/ジョエル・J・リチャード
  • 出演:キアヌ・リーヴス/リッカルド・スカマルチョ/イアン・マクシェーン/ルビー・ローズ/コモン/ローレンス・フィッシュバーン

予告編動画

感想と評価/ネタバレ有

犬と車を奪われた復讐のためにロシアン・マフィアを壊滅させた伝説の殺し屋ジョン・ウィックが、今度はイタリア系マフィア、そして全世界の殺し屋を相手に壮絶な死闘を繰り広げるというクライム・アクション第2弾です。監督と主演は前作から引き続きチャド・スタエルスキとキアヌ・リーヴス。

不届き者による感想

キアヌ・リーヴス復活の狼煙をあげたと一部では絶賛された『ジョン・ウィック』。自分は周囲の激賞ほどはこの映画に興奮を覚えることができず、「ガン・フーよりガン=カタやろが!ガン=カタ!」とひとりで『リベリオン』推しをしていた不届き者であります。

しかし銃で撃たれて人がバタバタおっちぬ映画が大好物な不届き者でもありまして、今度は全世界の殺し屋を相手にジョン・ウィックが無双をやらかすとあっては、パート1での失望をすっかり忘れてホイホイと死屍累々の地獄を覗きにTOHOシネマズへとやって来た次第。

それではさっそくそんな不届き者による『ジョン・ウィック:チャプター2』の感想です。

鈍重俳優キアヌ・リーヴス

前作で愛犬デイジーの復讐をボロボロになりながら果たしたジョンは、その5日後、今度は愛車69年式マスタングを取り戻すため、前作の敵ヴィーゴ・タラソフの弟アブラムのアジトを襲撃し、いきなり前作以上のアクションつるべ打ちをかましてくるというシリーズ第2弾。

なるほど、その意気込みは買いです。ここで見せつけてくるムチャクチャなカーアクションもバカみたいで最高です。しかしですねぇ、今回の撮影にあたってブラジリアン柔術を4か月にわたって特訓したという、肝心のキアヌのアクションがなんとも鈍重なのはどゆこと?

もともとキレのあるアクション俳優ではないけれど、さすがにこれは観てられない。至近距離で撃って殴ってぶっ刺してをワンカットで繰り広げるキアヌの奮闘を褒め称える向きもあるでしょうが、凄い奴がやったらもっと普通に凄いわけでありまして、鈍重なのは明白な事実。

スピードこそが命とは申しませんが、そういう映画にキレない俳優キアヌ・リーヴスを起用してしまっていることこそが最大の失敗であり、もっと彼の特性を活かしたアクション演出を目指すべきですよね。事実、ただ鈍重に歩いている姿は見事に決まっておるわけですから。

魂のないアクション

鈍重ながらなんとか愛車を廃車同然で取り戻したジョン・ウィックでしたが、今度はその仕事復帰を聞きつけて、かつての悪い仲間が昔の借りを返せとやって来るわけですね。その仲間とは、イタリア系犯罪組織“カモッラ”の幹部サンティーノ・ダントニオ。

ジョンはかつて組織を抜けるためにサンティーノの力を借りており、その「誓印」を盾に彼の姉であり組織のトップであるジアナを殺せと迫ってくるわけですな。一度はその申し出を断ったジョンでしたが、家を爆破され、追いつめられ、仕方なく仕事を引き受けることに。

前作ではまがりなりにも「わんこの復讐」という戦う動機がありましたが、今作ではついにそれすらも失われ、ジョンはただ状況に流されるだけのどんぶらこっこと成り果てるわけであります。つまりは戦う理由、命を燃やすドラマがここには存在していないということ。

戦う理由もなく仕方なしにジアナ殺しに加担したジョンでしたが、あんのじょうサンティーノによって裏切られ、700万ドルの賞金首としてすべての殺し屋から命を狙われる存在に。次から次に彼の前に現れる無数の刺客たち。

確かに息をもつかせぬアクションに次ぐアクションで画的には派手ですが、その原動力となるドラマの介在しないアクションは単なる肉体的運動に過ぎません。主人公の目的や目標、つまりは心のアクションが介在しない人殺しはただの人殺しであり畜生にも劣る行為です。

前作の本質であった「虎の尾を踏んだ」と同様に、今作でも戦う理由はさして重要ではなく、そういう運命から逃れられない修羅の道、冥府魔道の犬連れ狼だったということなのでしょうが、それにしてもこのドラマのなさ、物語の適当いい加減薄っぺらさはいただけません。

仏作って魂入れず

表面的なキャラクター造形、『キングスマン』を彷彿とさせる殺し屋御用達の銃ソムリエや戦闘用仕立て屋、“アカウント部”なる殺しの電話オペレーション、『燃えよドラゴン』にオマージュを捧げたような鏡の間など、あくまで表面的なキャラクターやガジェット、美術は面白いのですよね。

しかし前述しましたように肝心の中身、ドラマが不在でありまして、これはまさに「仏作って魂入れず」。どれだけ見た目を取り繕うが、魂のない芸術に人は心動かされません。このチャド・スタエルスキという監督は自分の創造物に愛情がないのかと思えますね。

特にキャラクターの扱いがすべて酷い。とりわけルビー・ローズ演じる聾唖の女殺し屋は男の子がスーツ着てるみたいでカッコよかっただけに、あのぞんざいな扱いはもったいないかぎりです。彼女がなぜあんなポンコツ雇い主に忠誠を誓っているのかも皆目わかりませんしね。

ボク的にはいつ彼女が反旗を翻し、うるさく命令してくるサンティーノの喉元をばかっ斬り、彼女個人としてジョンとの一騎打ちに臨むのか期待をしていただけに、あんなポンコツを逃がすためだけの捨て石になるなんて許しがたいもったいない演出です。神経疑います。

それはローレンス・フィッシュバーンの『マトリックス』同窓会的出演にも言えますし、前作よりもゴツくイカつく存在感を増したわんこにしても、死にはしないものの活躍もしないという単なるマスコットで、どうせなら頼れる相棒としてガブガブ活躍させたらよかったのに。

大嫌いだ~!

最終的に宿敵サンティーノを殺し厳禁のコンチネンタルホテルで射殺してしまったジョン・ウィックは、完全追放処分となり、全世界の殺し屋からその身を狙われる冥府魔道をわんことともに突き進むことに、ってな中途半端な感じでこの映画は幕切れとなります。

すでに製作が決定している『ジョン・ウィック:チャプター3』へのつなぎとして、明確な終わりのない尻切れトンボと化した『チャプター2』。ああ~やだな~いちばん嫌いなパターンになりそうだな~と思っていたらあんのじょう最悪のラストでした。

ここでの「ジョナサン」「ウィンストン」の切り返し、キアヌの棒読み皆殺し宣言は良いと思いますが、やはり次なる続編へのつなぎ、伏線的役割しか果たさない映画というのはボクは大嫌いです。パート1同様に皆さまの評価はおおむね高いようですが、ボクは大嫌いです!

やはり殺し屋映画は邦画なら鈴木清順の『殺しの烙印』、洋画ならジャン=ピエール・メルヴィルの『サムライ』。この2作があれば人生バラ色、喜色満面。特に『殺しの烙印』は真の殺し屋ナンバー1決定戦映画として天下無敵の傑作ですよ!

この『ジョン・ウィック:チャプター2』に満足できなかった方、そして寛大にも満足なさった方にも超絶おすすめですので、未見の方はぜひともご鑑賞あれ。と、無関係な他作品の紹介をしたところで今回の感想を終了させていただきます。それではまた。

個人的評価:2/10点

憂鬱続編映画の感想はこちら

コメント

  1. 匿名 より:

    『ガンカタ』みたいな『嘘んこアクション』が好きならなにも言わんけど、このシリーズでキアヌがやってるのはリアルな実戦のテクニックを下敷きにして、映画的な見栄えもするよう組み立てられた殺陣だよ。
    単なる『射的』ではなく、軍隊や警察の特殊部隊で用いられているCQC/CQB系の動きがきっちり盛り込まれてる。
    銃の扱いにしても適切な指導の下、数万発単位で実弾射撃の訓練を受けてないとあれだけよどみの無い動きは出来ない。
    まあ、分からん人間には分からんのだろうけど、『キアヌの動きが鈍重』とかないわ~。

    • スパイクロッド より:

      匿名さん、コメントありがとうございます!

      あらあら、ずいぶんとお詳しいのですね。ボクはまあ「嘘んこアクション」のほうが好きなお子ちゃまですので、リアルかどうかよりもこういう映画ならケレンミのほうを求めてしまいますけどね。要するにリアリティラインの設定が中途半端ということです。「ガン・フー」の「ガン」においては最小限の動きでそれなりに速そうにも見えますけど、「フー」についてはどうなのでしょう?特に投げ技なんかはボクには「どっこいしょ」って感じに見えてしまいました。そういう部分や、キアヌ・リーヴスという役者の特性も含めて鈍重だということです。お腹もポヨポヨでしたしね(笑)。

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