MADな伝説の幕開け。突然変異的に「ヒャッハー化」したPART2ばかりが評価されておりますが、真に重要なのはこのPART1のほうではないでしょうか?マックスがMADと化したすべてがここにあるのだから!
作品情報
マッドマックス
- 原題:Mad Max
- 製作:1979年/オーストラリア/93分
- 監督:ジョージ・ミラー
- 脚本:ジェームズ・マッカウスランド/ジョージ・ミラー
- 撮影:デヴィッド・エグビー
- 音楽:ブライアン・メイ
- 出演:メル・ギブソン/ジョアン・サミュエル/ヒュー・キース=バーン/スティーヴ・ビズレー
予告編動画
解説
荒廃した近未来の路上を舞台に、キチガイ暴走族とキチガイ警察が激突するSFアクションシリーズの第1弾です。
監督はこのシリーズで一躍トップ監督の仲間入りを果たしたオーストラリア出身のジョージ・ミラーで、本作がまさかの長編監督デビュー作。主演は同じくこのシリーズをきっかけにハリウッドへと進出した『リーサル・ウェポン』シリーズのメル・ギブソン。
音楽をブライアン・メイという人物が担当しておりますが、あのQUEENのギタリストとは別人とのこと。ずっと勘違いしてました。
あらすじ
暴走族による凶悪事件が多発する近未来のオーストラリア。特殊警察「M.F.P.(Main Force Patrol)」に所属するマックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)は、改造されたV8インターセプターをあやつり、日夜、暴走族との戦いに明け暮れていた。
警官殺しの凶悪犯ナイトライダーを執拗な追跡の末に事故死させたマックスは、これによってトーカッター(ヒュー・キース=バーン)率いる極悪暴走族から命を狙われることに。やがて奴らの魔の手はマックスの妻子にまで及ぶのだった……。
感想と評価/ネタバレ多少
いよいよ今月の20日に公開が迫った、30年ぶりの新作『怒りのデス・ロード』。記憶力にかなりの問題を抱えているボクとしましては、これを機に旧シリーズのおさらいをして新作へ臨もうと、十数年ぶりにこの記念すべき第1作を再見した次第です。
あやふやな記憶としましては、とにかくぶっ飛んでいた『マッドマックス2』と比較して、意外とおとなしめだったという印象の薄いもの。しかし今回再見してみて、十分に狂っているキチガイ映画だったという事実を確認できたのは大きな収穫でしたね。
キチガイすぎるオープニング
荒廃した近未来という設定ですが、舞台はオーストラリア。地平線が見渡せる広大な大地はどこか牧歌的で、その他の世紀末SF映画とは一線を画しております。そんなのどかな雰囲気を切り裂くように登場する、警官殺しの凶悪逃亡犯ナイトライダー。
こいつのキチガイ絶叫暴走ぶりがまあ強烈なのですけど、それを追う警察の善玉らしからぬ暴言暴走も負けず劣らずのキチガイ節で、要するに、善悪を問わずどいつもこいつもキチガイばっかり!これ以降も出てくる奴らのすべてがぶっ壊れていて最高なのですよ!
さらにはこのオープニングで炸裂するド迫力のカーチェイスシーンはスリル満点、スピード感満点で、CG全盛の現代の映画ではまあお目にかかれないリアルな緊張感と高揚感に満ち満ちており、揺れる画面とシンクロしてこちらの魂もビリビリ震えてしまいます。
チェイスというよりかはほとんど事故シーンの連発ですからね。やってるほうも観てるほうも危ないったらありゃしない。もうすでにアドレリン全開ですわ!
これを観なけりゃ始まらない
この一連の流れのなかで、カットバック的になかなか登場しないマックスのメキシコ流がひたすらカッコよく、前フリがあまりにカッコよすぎたせいで、いざ登場してみたら拍子抜けしてしまったほど。
この映画における難点は、若き日のメル・ギブソン演じるマックスが意外とぬるいということでしょうかね。のちのシリーズの殺伐とした精悍さのイメージが強すぎるので、どうしても頼んなく映ってしまうわけです。
ただ、心が壊れる前のマックスを描いたという点で、この第1作はやはりシリーズにおける最重要作品と言えるので、ここを外してしまっては皆さん意味がありませんよ。すべての伝説はまずここから始まったのです!
多少の文句も文句なし!
マックスへの恐怖心から自爆したナイトライダーをきっかけとし、血で血を洗う警察対暴走族の復讐合戦がいよいよ展開されるわけですが、前述しましたとおり、このキチガイ暴走族集団のキャラ造形が秀逸なのです。
とりわけ、この集団が内包しているホモソーシャルを飛び越したホモセクシャル的なニオイが妙に危なげで、退廃的なムードに拍車をかけています。ゲイの方には失礼かもしれませんが、これは価値観の崩壊ですよね。
そんなキチガイ暴走族どもと本質的には相通じるものがあるマックスは、見た目の頼んなさ同様、怖気づいて一度は敵前逃亡をぶちかますのですけど、この中盤の展開には正直なところ文句もあります。
緊張の合間の弛緩という意味合いが強いのでしょうけど、もうちょっと違う選択肢はなかったのでしょうか?偶然の結果という点も気に入りません。あくまで明確な復讐心のもとにこのシーンを描いてほしかったですね。
ただこの中盤や、随所で挿入されるホラー映画的な演出は実に小気味よく、低予算ゆえにゴア描写にお金をかけられない部分を補填し、見せない恐怖、チラリズムの恐怖を見事に醸成しておりました。好きな人にはたまらん演出だと思います。
『怒りのデス・ロード』を心待ちに
すべてを失ったマックスが、ただの復讐の鬼神、怒りの暴走車、要するに単なるキチガイと化し、キチガイ対キチガイの壮絶カーバトルが展開される後半はやはり圧巻の一言。
ここで繰り出されるカースタントの凄まじさはもはや伝説でして、「これ絶対に死んでるやつや~!!」というまことしやかな噂が流れたのもさもありなん。『ソウ』にパクられたラストシーンの非情さにも痺れます。
というわけで、『怒りのデス・ロード』へ向けてのおさらい第1弾でありましたけど、意外な発見というか、記憶のなかでの地味なイメージをくつがえすかなりのキチガイ映画でして、素直に面白かったですね。
さて、近々おさらい第2弾もアップするつもりですので、お好きな方はどうぞご期待ください。『怒りのデス・ロード』の公開までには間に合わせますので。
個人的評価:7/10点
DVD&Blu-ray
VOD・動画配信
『マッドマックス』が定額見放題なおすすめ動画配信サービスはU-NEXT、プライム・ビデオ(2020年2月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。
コメント
デスロードを観にいくこととなり、予め私も(1、2を)予習してたのですが、
一作目ってもっとマッドなイメージがありましたが、
意外と中盤ダレ場があったんですね
ただ後半のチェイスシーンと目玉とびだしバキバキなどは
すげえのひとことでした
個人的にはやっぱり2作目が好きかなと思うのですが、
多分これって幼少期にみた思い出と北斗の拳がまざりあってるからってのも
ありそうですな
それにしてもメルギブ、チャニング・テイタムみたいなイケメンだったんですねー
makiさん、コメントありがとうございます!
そうですね、ほかのシリーズ作に比べたら確かにおとなしめですけど、
それでも十二分にマッドしていたと思いますよ。
あの目玉バキバキはよかったですよね~(笑)
そうそう、『怒りのデス・ロード』でもあえて使われてましたね。
なんかうれしくなっちゃいましたよ♪
このころのメルギブはなんか甘っちょろいんですよね~。
チャニング・テイタム!確かにそんな感じですね(笑)
このころの彼はまだ演劇学校に通う学生だったのですよね。
まさに運命を変えた作品です。
新3部作のどっかで出てきてくんないかな~。