ジェダイはいない、フォースも消えた。そんな絶望的終末世界でかたくなに希望を信じる盲目の達人、我らがドニー・イェン!あなたこそこの映画の原動力!新たなる希望への架け橋だ!
作品情報
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
Rogue One: A Star Wars Story
- 2016年/アメリカ/134分
- 監督:ギャレス・エドワーズ
- 脚本:クリス・ワイツ/トニー・ギルロイ
- 撮影:グリーグ・フレイザー
- 音楽:マイケル・ジアッチーノ
- 出演:フェリシティ・ジョーンズ/ディエゴ・ルナ/アラン・テュディック/ドニー・イェン/チアン・ウェン/リズ・アーメッド/ベン・メンデルソーン/フォレスト・ウィテカー/マッツ・ミケルセン/ジェームズ・アール・ジョーンズ
参考 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー – Wikipedia
予告編動画
解説
死にかけの希望を再びよみがえらせ、新たなる希望へとつなげるために命をかけて戦うならず者部隊の決死の突撃を描いた、『スター・ウォーズ』シリーズ初のスピンオフ作品です。
監督は『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズ。長編監督第2作で『ゴジラ』、そして第3作目で『スター・ウォーズ』を監督してしまった驚異の立身出世男です。主演は『怪物はささやく』のフェリシティ・ジョーンズ。
共演に『天国の口、終りの楽園。』のディエゴ・ルナをはじめとし、『孫文の義士団』のドニー・イェン、『鬼が来た!』のチアン・ウェン、『ナイトクローラー』のリズ・アーメッド、『レディ・プレイヤー1』のベン・メンデルソーンなど。
主人公ジンの父親役で『偽りなき者』のマッツ・ミケルセン、育ての親役で『大統領の執事の涙』のフォレスト・ウィテカーも出演。ドロイドのK-2SOをモーションキャプチャーで演じたのは『アイ、ロボット』でサニーを演じたアラン・テュディック。ベイダー卿の声をあてているのはもちろんジェームズ・アール・ジョーンズです。
あらすじ
『エピソード4/新たなる希望』の少し前。銀河全体をすでに掌握しつつあった帝国軍は、最終段階として惑星を一撃で破壊する威力をもつ究極兵器“デス・スター”を完成。その圧倒的な破壊力をもってすれば、帝国軍が銀河を支配するのは時間の問題だった。
しかし、そのデス・スターの設計にかかわった科学者のゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)によって、ある重要な情報が帝国へと反旗を翻すソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)へと託される。その攻撃性からゲレラと袂を分かつ反乱軍だったが、この情報は喉から手が出るほど欲しかった。
そこで白羽の矢が立ったのが、アーソの娘であり、ゲレラによって育てられた現在は一匹狼のアウトローを貫くジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)だった。父の真実と銀河の希望のため、この危険なミッションへと身を投じるジンだったが……。
感想と評価/ネタバレ多少
みんな大好き『スター・ウォーズ』シリーズで実写映画初となるスピンオフ作品。去年の『フォースの覚醒』と同じく、一年を締めくくるこの師走に公開をぶつけてくるあたり、ディズニー傘下の製作となってより商魂たくましくなったような、なっていないような。
まあ男であれ女であれ、よりたくましいものに惹かれるのは世の常。ボクのTwitterタイムライン上も、去年の今頃と同じく『スター・ウォーズ』一色となっておりました。去年はそれを鼻クソほじりながら傍観しておったボク。ええ、そうです。実はいまだに『フォースの覚醒』も観ておりません。
なぜかって?離脱覚悟でぶっちゃけちゃいますと、「昔から『スター・ウォーズ』って嫌いですねん!」ってわけです。エピソード1から6はいちおう観てますが、どれもこれも面白いと思ったことはただの一度もありません。ええ、そうです。ガキの頃からありません。
そんなボクがなぜ今回は『ローグ・ワン』を観に行ったのか?それは『Rogue One』というタイトルが示すとおり、「はぐれ者」「ならず者」たちを主役に据え、文字どおりスター・ウォーズ・サーガから外れた物語になっているのではないか?という淡い期待をいだいたから。
そんなボクのよこしまな期待、希望は叶えられたのか否か?それでは『スター・ウォーズ』嫌いによる新作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の感想、お暇ならどうぞ怒らないで読んで行ってやってください。
まずは結論から
記念すべきシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のオープニングロールの一文、「反乱軍のスパイは帝国軍の究極兵器の設計図を盗み出すことに成功」。短いこの一文を映画化したのが本作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』。
エピソード4の10分前までを映画化したというわけですな。ただ復習もしておりませんし、元来好きではないので細かい部分も覚えておらず、旧シリーズとの比較や類似を語れるほどの知識は持ち合わせておりませんので、そういう批評はどうぞほかをあたってくださいな。
ボクが語れるのはボクがこの映画を観て思ったことのみ。というわけでもったいぶらずにまず結論から。ボクが期待したほどの逸脱へとは至っていなかったものの、ルーカスの庇護から離れた特攻ならず者部隊の悲壮感を戦場映画として描き、はかない希望をなんとかつなぎ、最後まで『スター・ウォーズ』映画であり続けた及第点のスピンオフ作品だと思います。
あくまで『スター・ウォーズ』
なんか褒めてんのか貶してんのかわからん文章ですが、つまりはこういうシリーズ映画はやはりファンのためのものであり、ボクのようなはぐれ者はお呼びでないということ。今風の映像やカメラワークでありながら、画質は1970年代っぽいという演出からもそれはうかがえます。
つまりは逸脱しそうでしないウッフン映画。「これは戦争映画だ!」という賛辞もボクが観てみようと決意した一因ではあるが、やはりエピソード3と4というルーカスに挟まれている状況では、その踏み込み加減は甘いとしか言いようがない。いや、よくぞここまで踏み込んだと評価するべきか?
『ワイルドバンチ』のような特攻映画としても、やはりその悲壮感は甘い。この映画が向かうべき結末は、シリーズのファンであれば周知の事実。そこしかない。その誰もが知りうる結末への細く狭い道を、なんとかくぐり抜けていく彼らの戦いは確かに悲壮です。
しかしこれはあくまで『スター・ウォーズ』。腕がちぎれ、足がもげ、血反吐を吐きながら、それでも前へと足を進めるほどの悲壮感はここにはない。そんなものは『スター・ウォーズ』ではない?確かにそれをしてしまったらもはやそれは『スター・ウォーズ』ではないかも。
だからこそ逸脱しそうでしない『スター・ウォーズ』映画。「『スター・ウォーズ』という制約のなかでよくぞここまでやった!」と褒めるべきなのか、「やるならやるでもっと極限まで踏み込め!」と怒るべきなのか、ボクにはどうにも判断つきかねるのです。
よくやった!…のか?
あたりまえの話ですが、あくまで『スター・ウォーズ』であることを義務づけられたスピンオフ作品。その制約のなか、いや、リスペクトのなかで、ジョージ・ルーカスの前後をきちんとつなぎながら少しだけ違う顔も覗かせた、ちょっとだけ野心的な作品。
「難しい立ち位置のなかでよくやった!」と手放しで称賛することができないのは、ひとえにボクの『スター・ウォーズ』嫌いのせいなのでしょう。あとドラマ運びの野暮ったさ。中盤までのテンポの悪さはおそらく大多数の方が指摘されていることでしょう。
さらには広い画、巨大な物体を見上げる視線はいつもながら良いものの、転じて狭い空間のパース、小さなモノの映し方に工夫が感じられないのは残念。これはもうギャレス・エドワーズという監督の芸風になるのかな?
まあ要するに、元来『スター・ウォーズ』が好きではないボクにとっては終始、「微妙」な作品だったというわけです。結論としてあまり評価は高くないのですけど、「希望」、かろうじて残った「希望」を命がけでバトンしていくドラマにはボクも胸打たれましたよ。
新たなる希望へのバトン
この映画の根底にあるのは、ジェダイも、フォースも存在しない、すでに「希望」がついえた世界観。誰しもが未来に期待をしなくなった終末世界。そんななかでわずかに芽生えた希望の種を、ただの人間が、自分たちの命を使って、必死に誰かへとつなげていく物語。
そのバトンの継承のされ方をもっと上手に、悲壮感たっぷりに、高揚感全開でつないでほしかったという不満は残るものの、徐々にみんなに「フォースと共に」という希望が伝搬していく過程は素直に胸熱です。
そしてフォースの存在を、その力をかたくなに信じ、仲間に、人々につなげていったのは我らがアジア人の星、ドニー・イェン演じるチアルート・イムウェその人だったという事実!希望の種を見つけ、世界に撒いたのは主人公ジンではなく、我らがドニーさんだったのだ!
同じアジア人としてなんという誇り!ゲスト的に出演しているだけではなく、物語を前へと推し進めている原動力はドニーさんにあったと言っても過言ではないこの活躍!しかも本作『ローグ・ワン』においてはかのベイダー卿を除けばほぼ無敵の無双ぶり!
中国を代表する監督であり名優、チアン・ウェンとの絶妙のコンビぶりもたまりません!フォースを信じるチアルートと、チアルートを信じるベイズ。腐女子感涙!来年の同人誌界はきっとチアルートとベイズのふたりが席巻してしまうことでしょう!(ないって?)
このドニーさんの存在が『ローグ・ワン』を『スター・ウォーズ』たらしめ、そして『スター・ウォーズ』嫌いのボクを歓喜させるという皮肉。こういう点からもこの映画のどこか据わりが悪い立ち位置がうかがえますが、彼の活躍は本当に素直に喜ばしい。
というわけで、傑作でもなければ駄作でもない、良いところもあれば不満も多い、『スター・ウォーズ』らしからぬと見せてあくまで『スター・ウォーズ』を貫き通した及第点の映画。というのが『スター・ウォーズ』が嫌いなただの映画好きによる評価です。
まあシリーズへの愛がかけらもない人間の妄言として、どうぞファンの方々はその振り上げた斧をおしまいください。世の中には『スター・ウォーズ』が嫌いな映画ファンもおるのです。そんなはぐれたならず者の茶目っ気たっぷりなたわ言を不良品種として除去しないでね。
個人的評価:5/10点
コメント
スターウォーズは456を楽しく見て123は微妙だなと思い、7はストーリーほばネタバレでレンタルで観てそれでも楽しめたので
この映画もレンタルで観ようと思っています
スターウォーズが嫌いなのにこんなに楽しいレビューが書ける映画、そこそこスターウォーズが好きな私ならかなり楽しめそうですよね
鈴木xxxさん、コメントありがとうございます!
ボクはエピソード4は普通、5は良作、6は凡作、1、2、3は駄作という評価でして、今回の『ローグ・ワン』は凡作から良作のあいだといった感じでしょうか。つまり『スター・ウォーズ』シリーズのなかではかなり楽しめた部類の作品だったのですよね。ですので、『スター・ウォーズ』好きの方ならもっと普通に楽しむことができるのではないでしょうか?ファンの方々の評価はおおむね上々のようですし。
ただただ『ドニーがあのスターウォーズに出ている!』という状況を楽しむ映画でした。
僕はスターウォーズに良くも悪くも強い感情をもってないので普通に鑑賞できました。
が、その代わりマッハ‼︎初見時のような、ここが他の映画では味わえんポイントや!このシーンさえあれば後の一時間半はゴミでも許す!レベルの個人的盛り上がりもなかったのですが。
スターウォーズしてて良かったと思います。ファンも楽しんだみたいだし、シリーズものはファンを沸かすのが重要ですし。
明けましておめでとうございます。
本年も更新楽しみに過ごさせていただきます。
(눈_눈)さん、コメントありがとうございます!
ドニーさんが浮いているようで最もハマっていたのが意外でうれしかったですね。ボクは『スター・ウォーズ』シリーズに対してどちらかといえば「負」の感情のほうが強い人間でして、どこか素直に楽しめないところが残念ではありましたが。『スター・ウォーズ』という冠がなければもうちょっと素直に楽しめたのかもしれない、なんて思ったりもして。まあファンの方々が喜んでるからいいんじゃないんすかっ(半分なげやり)。
というわけで明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いしますね!
観たのはちょっと前ですがコメントさせてもらいますね。
僕はスター・ウォーズは全部好きで1番好きなのはファントム・メナス、それ以上にアニメシリーズのクローン・ウォーズや反乱者たちが好きという人間です。
ローグ・ワンは特に南国のような惑星スカリフから画面が明るくなり展開も面白くなるのですが主人公などの心の変化ががうまく描かれていないのでちょっと乗りきれない部分があったというのが本音のところです。
ギャレス・エドワーズはゴジラの時にも感じたのですがカット割りやシーンを作るのはうまいのですがそこへんがあまり得意じゃないんじゃないかなと感じています。
でも、あのシーンとかあのシーンとかグッときたシーンがたくさんあったので満足はしてますし、またソフト化したら観ようと思っています。
らびッとさん、コメントありがとうございます!
おっしゃるようにあの南国然としたカラッとした背景のなかで、主人公たちの決死の突撃作戦が敢行されるという図式は非常に画になってよかったし、ひとつひとつのショット、カットのセンスには感心するところもあるのですけど、ドラマ運びの野暮ったさというのがこのギャレス・エドワーズという監督の致命的な欠点ですよね。ひとつひとつはいいのに、そういう流れや乗せ方の悪さによって全体的な印象を押し下げてしまうといった感じでしょうか?エピソード8の監督は『LOOPER/ルーパー』のライアン・ジョンソンだという情報を最近教えてもらいましたので、これはけっこう期待できるかもしれませんよ。
ついでに言うならエピソード9の監督は「ジュラシック・ワールド」のコリン・トレボロウ、ハン・ソロのスピンオフ作品は「21ジャンプストリート」や「LEGO® ムービー」のフィル・ロード&クリストファー・ミラーですね。
ボバ・フェットは「クロニクル」のジョシュ・トランクが監督する予定だったのですが色々あって降りることになったみたいなのでどうなるのか気になっているのですが。
らびッとさん、再度のコメントありがとうございます!
らびッとさん『スター・ウォーズ』好きだけあってやはりお詳しいですね!エピソード9はコリン・トレヴォロウですか!ギャレス・エドワーズ同様に出世が早いですね。しかし『スター・ウォーズ』シリーズというのはあまり監督を固定しないのですね。メインのエピソードはある程度固定して、サイドのスピンオフで多種多様な監督を起用したほうが良いとも思いますが、どうなんでしょうかね?ジョシュ・トランクの降板はおそらく「アノ映画」の影響でしょうね。ボクは嫌いじゃないんだけどな~。なんでみんなそんなに毛嫌いするのか?