ブライアン・デ・パルマが好きになるおすすめ映画5選+α

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「ヒッチコックの粗悪な模造品」「女性の敵」「オチがいつも一緒」「映像バカ」って誰だ!ウチのデ・パルマをイジメるのは!だからいいんじゃねーか!いい加減デ・パルマを許してやってくれよ、お前さん方!

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ブライアン・デ・パルマとは?

ブライアン・デ・パルマ
Brian De Palma

ボクが偏愛してやまない映画監督のひとり、ブライアン・デ・パルマ。 ボクと同じく心から彼のことを愛している映画ファンは数多いものの、それと同等か、もしくはそれ以上に嫌われているのもまた事実。特に本国アメリカの映画評論家からは、新作を発表するたびにクソミソに貶されるのが一種の恒例行事と化している時期もありました。

そんな彼にこのたび、第72回ヴェネツィア国際映画祭にて「監督・ばんざい!賞」なる賞が授与されました。 長年にわたる映画界への貢献を果たしてきたフィルムメーカーをたたえる賞らしく、第1回受賞者の北野武にちなんでこんな名前になった模様。

この賞の価値や意味はとりあえず置いといて、これはもうまたとない機会ではないでしょうか!これを機にブライアン・デ・パルマという監督をより知ってもらい、好きになってもらいたい! 彼のことをよく知らないという人にも、嫌いだという人にも、あらためて彼の作る映画の魅力を知ってもらいたい!

そのために今回、ブライアン・デ・パルマが好きになるおすすめ映画を段階的に紹介していく記事を書いてみました。これを読めばきっとあなたもデ・パルマに恋する純真な乙女へと変貌しているはず。それではさっそく行ってみましょう!

ブライアン・デ・パルマが好きになるおすすめ映画5選+α

おすすめVOD

各作品が定額見放題で配信されているおすすめVODも併載しておりますので、どうぞこちらもご参考に(2020年3月現在。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください)。

Phase I アンタッチャブル

  • 原題:The Untouchables
  • 製作:1987年/アメリカ/119分
  • 出演:ケヴィン・コスナー/ショーン・コネリー/ロバート・デ・ニーロ

とりあえず観てみる

第1段階として最適だと思われるのは、やはりブライアン・デ・パルマの映画で最も一般的に認知されているであろう『アンタッチャブル』であります。禁酒法時代のシカゴを舞台に、アル・カポネ逮捕に執念を燃やす男たちの戦いを描いたクライムアクションで、デ・パルマ念願の大ヒット作でもあります。

とりあえず観ていただきたい! とかく叩かれがちな独自のスタイルを少しだけ抑え、新旧の豪華俳優たちを的確に活かし、適度なアクションとサスペンスフルな演出によって、巨悪に挑んだ男たちの熱い友情と固い信念と決死の戦いを描き出す。我を抑えて周囲への配慮を怠らなかった、万人が楽しめる犯罪娯楽映画に仕上がっていると思いますよ。ときおり暴走しておりますが。

そのときおり見せる暴走こそが我々デ・パルマ信者にはたまらんわけですけど、この映画に関しては雇われ監督として非常に控えめな描写にとどめており、それが大ヒットへとつながった間口の広さを生み出しておるのです。そういう意味でも、まずはこの映画をブライアン・デ・パルマへの入り口とするのが適切でしょう。

評価

デ・パルマ度:★★★
面白さ:★★★★

VOD

『アンタッチャブル』が定額見放題なおすすめVODはU-NEXT、Netflix。

Phase II スカーフェイス

  • 原題:Scarface
  • 製作:1983年/アメリカ/170分
  • 出演:アル・パチーノ/スティーヴン・バウアー/ミシェル・ファイファー

不良的感性を認識する

第2段階として必要なのは、独特の映像演出にばかり目が行きがちなデ・パルマの不良的感性を認識することです。そこでおすすめするのがこの『スカーフェイス』。ハワード・ホークスの往年の名作『暗黒街の顔役』をリメイクした、キューバからやって来たチンピラヤクザの成り上がり人生を、3時間の長尺でいっきに見せるピカレスクロマン。

例のごとく公開時の批評家による評価は散々で、ラジー賞のワースト監督賞にもノミネート。しかし現代ではカルト映画としての再評価が進み、特にヒップホップカルチャーにおけるアイコン化は有名な話。 あえて空疎に撮られた軽薄きわまりない映像の渦のなかで映し出される、主人公トニー・モンタナの無軌道な成り上がり人生。クライマックスにおける不死身のアル・パチーノは必見です!

極道まではいかないあくまでも不良的感性。 ストリートに根差したチンピラなわけです。そういう意味でもブラックカルチャーに与えた影響は必然ですよね。1960年代を通過してきた映像作家であるブライアン・デ・パルマの、反体制的な側面を知ってもらうための素晴らしい教材だと思います。

評価

デ・パルマ度:★★★★
面白さ:★★★

VOD

『スカーフェイス』が定額見放題なおすすめVODはU-NEXT、プライム・ビデオ、TSUTAYA TV。

Phase III キャリー

  • 原題:Carrie
  • 製作:1976年/アメリカ/98分
  • 出演:シシー・スペイセク/パイパー・ローリー/エイミー・アーヴィング

映画監督ブライアン・デ・パルマとは?

第1、第2段階でデ・パルマの世界に触れてもらったいま、この第3段階で皆さまに知ってもらいたいのはデ・パルマのすべて。「ブライアン・デ・パルマとはいったいどういう映画監督なのか?」ということです。彼のすべてが詰まった映画としておすすめするのはやはりこの『キャリー』しかないでしょうね。哀れな少女の悲しい復讐劇を描いた傑作サイキックホラーです。

この映画にはデ・パルマのすべてが詰まっております。一人称視点、スローモーション、パン・フォーカス、サラウンド・カメラ、スプリット・スクリーンなどの映像テクニックに、ヒッチコックへの過剰なオマージュ、過激なバイオレンス、負け犬のドラマ、夢オチなどの作劇スタイル。これといった長回しがなかったのが残念なぐらいで、どこを切ってもデ・パルマ印の映画なのです!

この映画を観てそのめくるめく映像テクニックに酔いしれるか?悲しくも恐ろしい復讐劇に涙と怖気をふるうか? どちらか一方でも両方でもいいのですが、そういう気持ちをいだいたあなたはきっともうデ・パルマのことを好きになっているはず。それぐらい彼の魅力が詰まったおすすめの一本なのです!

評価

デ・パルマ度:★★★★★
面白さ:★★★★★

VOD

『キャリー』が定額見放題なおすすめVODはU-NEXT。

Phase IV ファントム・オブ・パラダイス

ファントム・オブ・パラダイス Blu-ray
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 原題:Phantom of the Paradise
  • 製作:1974年/アメリカ/92分
  • 出演:ウィリアム・フィンレイ/ポール・ウィリアムズ/ジェシカ・ハーパー

最高傑作!

ここまでの段階を経たあなたはもうすでにブライアン・デ・パルマを好きになっているはずですが、ここで最後のダメを押しておきたい!そこでおすすめするのがデ・パルマの最高傑作である『ファントム・オブ・パラダイス』。『オペラ座の怪人』を下敷きにさまざまな要素をぶち込んだ、もはやカテゴライズ不能の愛すべきロックンロール映画です!

すべてを奪われた男の断末魔の咆哮と、すべてを手にした男の孤独、夢のために魂を売り渡した女の地獄が、めくるめく映像マジックと、悪趣味なブラックジョークと、秀逸なロックンロールによって彩られており、ラストの阿鼻叫喚の地獄絵図には何度目の鑑賞であろうがたまらず号泣!問答無用に泣けてしまいます!

異端の作家といえるブライアン・デ・パルマのフィルモグラフィで最も異端な作品。それがこの『ファントム・オブ・パラダイス』。それゆえの最高傑作であり、それゆえの敷居の高さでもある。この作品を越えられるかどうか?ここにすべてがかかっていると言っても過言ではない!しかしこの山を越えたあなたは、きっともうブライアン・デ・パルマのことを愛し始めているはず!彼のすべてを!

評価

デ・パルマ度:★★★★★
面白さ:★★★★★

VOD

『ファントム・オブ・パラダイス』が定額見放題なおすすめVODはU-NEXT。

Phase V ミッション・トゥ・マーズ

  • 原題:Mission to Mars
  • 製作:2000年/アメリカ/114分
  • 出演:ゲイリー・シニーズ/ティム・ロビンス/ドン・チードル

踏み絵

ブライアン・デ・パルマという監督のすべてを愛し始めたあなたに待っている最終段階とは、踏み絵という名の試練であります。そこで観ていただきたいのがこの『ミッション・トゥ・マーズ』。人類で初めて火星へと降り立った宇宙飛行士たちの体験する神秘を描いたデ・パルマ初のSF映画なのですが、この映画に対する良識ある皆さまの反応はそらもう散々なものでありました!

興行収入こそギリギリとんとんへと持ち込んだものの、評論家、一般客の評価は目を覆うばかりの酷評の嵐。でもそれも致し方ありません。だって本当にひどいんですもの!細かい論評はネタバレへとつながるので多くは語りませぬが、いまさら感満点のストーリーであります。ちょっと前にゼメキスが『コンタクト』でしてたやん!ってそらあんたもうほぼネタバレやがな!

「水と油」という言葉はデ・パルマとSFのためにあったのですね。しかし、その人の良い部分も悪い部分もすべて受け入れるのが本当の愛である。この最終段階まで到達したあなたなら、きっとこの作品のことも好きになれるはず。出来の良し悪しは問題ではありません。さあ勇気を出してこちらへ来なさい。身も心もブライアン・デ・パルマとひとつになるのです……。

評価

デ・パルマ度:★★
面白さ:★

VOD

『ミッション・トゥ・マーズ』が定額見放題なVODは現在ありません。

+α デ・パルマ

  • 原題:De Palma
  • 製作:2015年/アメリカ/110分
  • 監督:ノア・バームバック/ジェイク・パルトロー

デ・パルマ自作をおおいに語る

ノア・バームバック(ジェニファー・ジェイソン・リーの元夫)と、ジェイク・パルトロー(グウィネス・パルトローの弟)によるドキュメンタリー映画『デ・パルマ』は、我らがブライアン・デ・パルマが自作について聞いてもないのに(いや聞いてんだよ)ベラベラベラベラ喋り倒す頭のおかしい映画です。

随所で彼の作品の映像をバンバン流してはおりますが、基本は同じ部屋で、同じ構図で、ただただ自作について聞いてもないのに(いや聞いてんだって)赤裸々に喋り倒すデ・パルマの巨漢が110分間にわたって映し出されるだけなんです。

デ・パルマニア以外の需要はまったく見込めない頭のおかしい映画ではありますが、デ・パルマニアには必見必聴の爆笑ひとり漫談です!作家は自作について多くを語らぬものと相場が決まっておりますが、我らがデ・パルマは恥ずかしげもなく語りまくるのです!自画自賛と、反省と、皮肉と、恨み節を込めて語りに語り倒すのです!

いきなりこの映画を観ても何が面白いのかさっぱりわからぬでしょうから、本記事を参考に一通りのデ・パルマ道を散策してから本作を鑑賞することをおすすめいたします。さすればあなたはもっとデ・パルマのことが好きになるはず!愛を感じるはず!

評価

デ・パルマ度:★★★
面白さ:★★★

VOD

『デ・パルマ』が定額見放題なVODは現在ありません。

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終わりに

「ブライアン・デ・パルマが好きになるおすすめ映画5選」いかがでしたでしょうか?

ここで紹介させていただいた5作品は一部を除いて傑作ばかりですので、未見の映画がありましたらぜひとも試しに鑑賞していただき、デ・パルマという監督をより深く知ってもらい、そして好きになってもらいたい。これが肩身の狭いデ・パルマ信者の切なる願いなのです。

ここで紹介した映画以外にも数多くの傑作がまだまだありますので、今度は自分自身の手でさらなるブライアン・デ・パルマの世界を開拓してみてください。最後に彼のこれまでのフィルモグラフィを掲載しておきますので、作品選びの参考にでもしていただけたら幸いです。

フィルモグラフィ

ボクのおすすめ監督シリーズ

コメント

  1. 宵乃 より:

    5つのうち、「スカーフェイス」以外は観てます。
    やはり最初は「アンタッチャブル」ですよね。私もこれがブライアン・デ・パルマとの出会いだったと思います。
    随分前に観たきりなので再見したいけども、仰るとおり監督の個性は抑え気味だった印象なので、今観ても物足りないかも(笑)
    「ミッション・トゥ・マーズ」は結構地上波でやってたので、案外これを最初に観てる人も多いかもしれませんね。

  2. スパイクロッド より:

    宵乃さん、コメントありがとうございます!
    お返事が遅くなってすいません。
    ボクもファーストコンタクトは『アンタッチャブル』でした。
    まあその頃はデ・パルマ監督作だという認識はなかったのですけどね。
    何にいちばん初めに当たるのかというのはけっこう大きいと思います。
    最初が『ミッション・トゥ・マーズ』だとちとしんどいですよね~。
    やはりおすすめは『アンタッチャブル』。
    もしくは『キャリー』か『ミッション:インポッシブル』かな?

  3. バニーマン より:

    ファントム・オブ・パラダイスを見ました。
    僕にとっては、デ・パルマらしさ満開で面白かったのですが、
    やっぱりこの人、一般的にはウケないかもと思ったのも事実です(^_^;)。
    ファントム・オブ・パラダイスも傑作と思う人もいれば、もうダメという人もいるな~と、観ながら思っていました。
    デ・パルマらしいと思うほど、ひく人がいるなと思ってしまうだけ、この監督って不幸だなと思っています。
    ま~、スパイクロッドさんがこれだけ愛していればOKかな(笑)

  4. スパイクロッド より:

    バニーマンさんコメントありがとうごいます!
    とうとう観てしまいましたかこのデ・パルマの最高傑作を!変な映画だったけど妙におもしろかったでしょう?受け付けない人も多いかとは思いますけど、好きな人はもう生涯にわたって愛し続ける偉大なる作品だと思いますよ、ボクは!

  5. 私も『アンタッチャブル』は好きな映画です。
    が、やはり、初期の『悪魔のシスター』『愛のメモリー』『殺しのドレス』辺りが好きです。

  6. スパイクロッド より:

    ゆきやままさんコメントありがとうございます!
    『悪魔のシスター』はデ・パルマ初期の傑作ですよね!ラストのチャールズ・ダーニングが忘れられない(笑)。『愛のメモリー』『殺しのドレス』も大好きですが、ちょっとヒッチコックごっこが過ぎますかね?まあそれが彼の芸風ですからね。

  7. らびッと より:

    デ・パルマ一時期はまったことがあって初期の頃の作品以外は大体観ているのですが5本挙げるなら「キャリー」「ミッドナイトクロス」「カジュアリティーズ」「ミッション:インポッシブル」「スネーク・アイズ」ですかね。どちらかというと観やすい(プロットがシンプルな)作品が好きなのでこんな感じなんだと思います。「ファントム・オブ・パラダイス」この前BSで放送していたのを録画したので観てみたいと思います。
    そういえば、この前観た「グランドピアノ 狙われた黒鍵」がすごくデ・パルマっぽい感じでよかったです。

  8. スパイクロッド より:

    らびっとさんコメントありがとうございます!
    ボクはDVDで発売されているデ・パルマ作品はすべて観ております。『キャリー』はこの記事で書いたとおりですけど、『ミッドナイトクロス』の花火にはいつも泣かされております。『カジュアリティーズ』は流行に乗ってしまった感じですけど、デ・パルマらしい負け犬映画でしたよね。『スネーク・アイズ』もしかり。『ミッション:インポッシブル』も娯楽大作ながらデ・パルマらしさがあふれた作品でボクも大好きです。『ファントム・オブ・パラダイス』は本当におすすめのデ・パルマ最高傑作ですのでぜひ観てみてください!ボクも実は見逃していた、『グランドピアノ 狙われた黒鍵』を近いうちに観てみますので!

  9. ブッチ より:

    デパルマは「キャリー」でハマって以来大ファンになり、公開されると必ず見に行ってましたが、「スネークアイズ」あたりを境に雲行きが怪しくなり、「ミッション・トゥ・マーズ」で引導を渡された感があり以降の作品は見てません。でも、初期中期の作品は凄く好きで、5つ挙げるなら「ファントム・オブ・パラダイス」「キャリー」「ミッドナイトクロス」「ボディダブル」「アンタッチャブル」でしょうか。中でもスパイクロッドさんも一押しの「ファントム」は奇跡の傑作ですね!90分に悲劇も喜劇も夢も絶望も全部詰まって、全てが最高、たまりません。
    最近、もう一度見てみようと「カジュアリティーズ」を再見しました。初見の時はダメでしたが、改めて見るとしっかりとデパルマの映画でしたね。ただ、デパルマの本領は「ボディダブル」のような「いかがわしさ」だと思うので、やはり戦争が舞台だと相性が悪い気がします。
    僕のデパルマ歴に引導を渡した「ミッション・トゥ・マーズ」を上級者編で勧められているので、今度再見して見ます。

    • ブッチさん、コメントありがとうございます!

      ボクも『ミッション・トゥ・マーズ』はどうにも弁護の仕様がないのですが、そんな失敗作も含めてデ・パルマを愛しているというか、ダメなところも全部ひっくるめて好きなのですよね~。てなわけで上級者編として『ミッション・トゥ・マーズ』をすすめてはおりますがこれは地雷であり、試練であり、踏み絵であり、これを越えられるかどうかによってデ・パルマ愛が試されておるのですね。再見することによって「二度と観るか!」となられるやもしれません(笑)。

      しかしブッチさんのデ・パルマ・ベスト5は文句なしの傑作揃いですね!ちなみにボクのベスト5は『ファントム・オブ・パラダイス』『ミッドナイトクロス』『キャリー』『カリートの道』『ボディ・ダブル』の順です。『カジュアリティーズ』もいい映画なのですが、デ・パルマにしてはちょっと真面目すぎますかね。おっしゃるとおり『ボディ・ダブル』や『殺しのドレス』のようないかがわしさこそが彼の本領だと思います。

  10. kazz より:

    素晴らしいデ・パルマ愛。
    お薦め5作品に異論はありませんが、「殺しのドレス」を入れて欲しがったと強く思います。
    でも、デ・パルマ入門の選択としては、良いチョイスです。
    私は「殺しのドレス」が全編完璧なデ・パルマ印だと思っていますが!どうでもしょうか?

    • kazzさん、コメントありがとうございます!

      本記事で選出した5作品はあくまでデ・パルマを好きになってもらうための入門編ですので、デ・パルマらしい作品として選出するとまた違ったラインナップになるかと思います。kazzさんご推薦の『殺しのドレス』はもちろんデ・パルマ印が下品で過剰で力強く刻印された傑作なので、ランキング入りは確実でしょうね。本作のBlu-ray化を心待ちにしていたらとうとう来年に商品化されるとのことで、さっそくamazonnでポチってしまいました!再鑑賞した折には是非とも本ブログで熱く過剰に下品きわまりないレビューを書きたいと思いますので、是非また遊びにいらしてください!

      ちなみにボクが最もデ・パルマらしいと思う作品は傑作『ミッドナイトクロス』であります。

  11. ブッチ より:

    スパイクロッドさん曰く、デパルマの「踏み絵」である「ミッション・トゥ・マーズ」。公開時に見てあまりの出来に僕のデパルマ歴に一度終止符を打った作品ですが、再度踏み絵を踏むべく恐る恐る再見してみました。
    やはり、何処かで見たようなストーリー、デパルマお得意の撮影技巧の空回り、思わせぶりなゲイリー・シニーズ、壮大なテーマとデパルマの相性の悪さ等、どう見ても評価のしようがない映画でありました…。
    しかし、何故でしょうか、意外と楽しめちゃったのは…。
    「そんなに目くじら立てないでみてやってよ」という大らかな気持ちになるのは、スパイクロッドさんの仰る通り、同じ失敗を何度も繰り返すダメな生徒を見守る先生のような境地に立たせるからでしょうね。映画との相性が悪いほど、空振りすればするほど、同じことをやってるデパルマの不器用さが際立ち、「大目に見てやってよ」とかばいたくなっちゃうんですね、きっと。
    ああ、こんな僕はやはり一線を超えてしまったのでしょうか?

    • ブッチさん、コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまって申し訳ありません。

      ボクがデ・パルマを好きな理由って、たぶん永遠に洗練されない不器用さにあると思うんですよね。ハマった時には物凄い力を発揮するけど、外した時には目も当てられないとてつもない空振りを喫する。今では一部で評価の高い『スカーフェイス』にしても、公開当時は盛大な空振り三振だったわけですし。でも三振が絵になる選手っているじゃないですか。たぶんアレと同じなんですよね。ただ三振しただけじゃなくて、その三振ぶりもちゃんと芸になっている。それはやはり迷いがないから。『ミッション・トゥ・マーズ』もけっして迷走しているわけじゃない。迷いなく振りきってアレなんですよ!(余計イカンという話もある)